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雪に酔って 11

 一体千聖は何を考えて…もしくはどう思っているのだろう…?
 そしてそれは自分もだ…。
 千聖を抱いた。…そして何度も千聖の中でイった。
 腕の中で官能に顔を歪ませる千聖に自分の欲望を抑えることが出来なくて何度もだ。
 快感に身を委ねる千聖は綺麗で妖しい魅力に満ち、彰吾は夢中になって千聖を貪っていた。男相手など考えた事もなかったはずなのに。
 そして男しか相手できないと言った千聖に自分から条件を持ち出したんだ…。

 今も…。
 部屋を、という千聖に彰吾は自分から寝床は千聖のベッドを指定した。
 ……そうすれば千聖を…と思いが過ぎったんだ。千聖は相手が欲しかっただけだろうに…。きっと…。自分なんかじゃ物足りないだろうに。
 千聖は機微に敏いし仕事もかなり出来るらしい。

 ちょっとの彰吾の言葉で千聖はニュアンスも分かるし、そして色々と即座に頭が回転する。彰吾は父が彰吾の事を考えてくれて離したというのが分かっても果たしてそれからどうしたらいいかなんて何も考えも浮かばなかったのに千聖はあっという間に彰吾のこれからを提案してきた。

 ネットでなんて考えた事もない。デザイナーなんて考えた事もない。
 そういう世界がある事は知っていても自分がなんて少しも考えた事などなかったのに千聖はもう色々と考えているらしくさっきから色々と彰吾に質問を繰り返しては思案するを繰り返している。

 …どうして千聖は彰吾を何も言わずに受け入れる?

 さっきも…見捨てられた感が拭えないままここに来た。そしてその自分を迎えた言葉が〝おかえり〟だ。
 その言葉にどれほど救われたか…。
 ここは彰吾が帰ってきていい場所という事なのか?…でもどうして?
 千聖は抱いてくれる相手が欲しいだけじゃないのか?

 それだけじゃないのも分かっているつもりだ。好意は分かる。…今までの事でも。ここに彰吾以外は誰も個人的に来ているのを見た事はないから…。自分だけが唯一千聖に誘われるのだと…。
 でもそれは身体の相手としてではない事も確かだった。酒を酌み交わしてただのゆっくりした時間を楽しんでいたはず…。

 千聖からベッドに誘われた事だってなかったし、そんな素振りもなかったのだから。
 男しか、と聞いた時に千聖が誰か他の男と?とすぐに頭が反応して口が開いていた。抵抗なんて全然なかった。…むしろ千聖をさらに自分だけのものに…と独占欲が支配したんだ。

 滝に連れて行った時からどうにも彰吾の中で千聖の存在がおかしな事になっていた。…守りたい…感じ。可愛い…と。
 いや、もっと前からだったのかもしれない…気付かないふりをしていただけで。
 シャワーを借り、頭から少し温めのお湯をかぶった。
 千聖は違う。ただ単に抱いてくれる相手が欲しかっただけだ。勿論少しは千聖の中に入っているとは思う。だが、身体ときっと別なんだ。彰吾相手にそんな事は思った事もない、と言っていた。

 …そしてそこにイラつく。
 何もない居候の身分になるのにイラつくも何もあったものじゃないが…。
 はぁ、と大きく溜息を吐き出して風呂を出ると二階へと、もう慣れた千聖の寝室に向かった。
 千聖はきっと割り切った関係を求めているんだろう。好意とそこは別物と思っているのかもしれない。
 あくまで色々としてくれるのは好意で、身体は契約なのだと…。

 彰吾はすでにもうそうじゃなかった。千聖は彰吾の中でいつの間にか自分でも気付かないうちに特別な存在になっていたらしい。彰吾自身が気付かないふりをしていただけで…。そうでもなくば男なのに千聖を抱くなんて考えられない。妹のエリカとなんてどうしたって受け付けないのに…。無論、他の男となんて考えるのもおぞましい!それなのに…千聖だければ…キスもしたいと思うし、欲しいと欲が湧いてくるんだから…。

 「すみません、風呂お借りしました」
 「いいよ。別にいちいちそんなの疲れるだろう」
 「しかし…って……っ!」
 千聖の寝室に入ると千聖が素肌を晒してベッドに横になっていた。
 「………それは誘っているんですか?」

 こくりと彰吾が喉を鳴らした。
 千聖の裸体がどうにも艶めかしく見えてしまう。…なんでもない男の身体のはずなのに!

 「ん?…ああ、別にそうじゃないんだけど…俺は寝る時は基本何も着ないんだ」
 くすと千聖が婀娜っぽい笑みを浮べたのに彰吾は惹きつけられる様にベッドに近づき千聖の頬に触れた。
 抱け、という事なのだろうか?
 いいのか?と思いつつ唇を落とせば千聖もそれを楽しむかのように応えてきて彰吾は千聖の身体に覆いかぶさった。
 

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