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雪に酔って 12

 彰吾に抱かれる度に淫らに腰をふり、自分から求め彰吾が千聖の中でイくのに快感を覚える。彰吾の熱い身体も滾るモノももう千聖のものだと言わんばかりに咥え込んで離したくなくて…。
 そして初めての時に後処理までしなくてちょっと調子を崩したのを知った後は必ず丁寧に後処理まで施してくるようになった。

 何度も精を放つ彰吾にくたくたになる千聖を彰吾は毎回抱き上げ丁寧に中も綺麗にしてくれて甲斐甲斐しくされるのにもどうしたものかと困っていた。どうして…こんなに優しく抱くのか…。
 まるでいつも千聖を求めるように彰吾は千聖を抱く。

 さすがに毎日では千聖が使い物にならなくなるのでいい、と断る日もあったが、そんな日でも彰吾はまるで恋人のように千聖にキスを繰り返し身体を抱きしめ、眠りに堕ちるのだ。

 勘違いしそうになる…。
 好きだ、と言ってしまいたくなる時がある。
 ……おかしくなりそうだった。
 彰吾は優しい。
 優しいのは分かっていたが、今は居候しているとでも思っているのか余計に気遣いが感じられる。
 …それが千聖は苦しくて仕方ないんだ。
 そういうつもりじゃなかったのに…。

 彰吾を雁字搦めにして離したくないと思っている心を押し殺して割り切るようにと自分に言い聞かせていた。
 彰吾が千聖を抱くのは契約があるからだ。それに錯覚をして自分を欲しがっているなんて思っちゃいけない…そう思いながらも夜毎彰吾に抱かれるのに歓喜するんだ。感じまくり快感に身体を全部彰吾に委ねる。
 隆々とした彰吾の身体が汗を浮かべているのにも、荒い息で千聖とキスを交わしながら短く声を吐き出してイくのももう千聖は覚えた。こんなに特定の人とだけという事がなかった千聖だったが…彰吾とのセックスは気持ちがよすぎてさらに夢中になりそうで怖かった。

 一緒に住むのも…。とにかく特定の誰かとという事がなかった千聖だったのに彰吾との生活は快適で楽しいものだった。
 朝はあまり早起きは相変わらず出来ないが隣に体温を感じる事は出来た。くたくたになっていない時は彰吾に起こされて無理に朝ごはんを食べさせられたり、彰吾の仕事は今はまだ千聖の庭なので昼も一緒で、なんだかんだと一日彰吾の顔を見ている事が出来る生活で、しかも飽きることはなく、ドキドキしてかえって苦しさが増えた。

 彰吾の優しさが義務なのか、ただ優しいだけなのか…。もしくはそうじゃないのか…とつい期待しそうになってしまう事が多い。

 その度に違う、うぬぼれるな、と自分に言い聞かせなければならないのが苦痛になってきた。
 ……割り切って、でいいと思っていたのに…。
 何故人は段々と貪欲になっていくのだろうか?

 そのくせ彰吾を離す事も解放する事も出来ないんだ。
 泥沼に嵌まっていく感じがする。
 抜け出せなくて一人でもがいて苦しんでいるような…。
 浅はかな考えをして目先の事に惑い、そして自分が苦しい思いをしているのだから仕方ない。
 「千聖?」
 「え…?あ、何?」
 夜に向かい合わせでダイニングに座るのにも慣れた。視線が合うのが嬉しいとつい顔が緩んでしまう。

 「ガゼボ、やっと届くみたいですので」
 「そうか。庭ももう終わりに近いな…」
 「ええ。雪降らないうちにね。全部終わらせないと」
 千聖の庭が終わるまでは彰吾は一応まだ小笠原造園での仕事という事で、その後の事を考えなければならない。
 「………彰吾、今日からは夜は…その…いい。PCの方に籠もるから」
 「千聖…?」

 「仕事が溜まっているんだ。夜のほうがやっぱ進むんだ…。切羽詰ってなければいいのだが…年末近づいてくるとどうしても急ぎなどが入ってくるから」
 「…そう、ですか…」
 「ああ、だから落ち着くまでは俺は昼夜逆になるからベッドも一人で使っていい」
 「…………本当ですか…?」
 「仕事?…ああ。勿論」

 嘘だ。…仕事は詰まっているがそこまで本当は切羽つまっていない。
 ただ…なるべく彰吾と離れた方がいいか、と思っただけだ。
 もっと、と求めてしまいそうで…。

 「その合間に彰吾のホームページにも手をつけて平行で作るから彰吾も休みの日とかにウチの庭の写真とか纏めておいて。あと、説明とかも…。俺はそっちはどうしても分からないから」
 「……そんな忙しいのにいいですよ?」
 「いや、一箇所にかかりきりになるより息抜き出来るからその方がいいんだ」
 「………そう…?」
 疑わしそうな目を向ける彰吾に頷いて見せた。
 「………分かりました。すみません…俺の事まで」
 「いや、それは全然構わない」
 そう。そんなHP作りなんて全然。酷いのは千聖の気持ちのほうだ…。
 

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