2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

雪に酔って 14

 「ホットワインでも作りますか?」
 「いいよ!彰吾は寝て…」
 「俺も飲みたいですから…少しだけね。…待ってて下さい」
 彰吾がすぐに少しだけホットワインを作ってきてくれて千聖はリビングのソファで小さく膝を抱えるようにしてそれを飲んだ。

 …温かい…。
 「千聖もそれ飲んだら寝ましょう。もうずっと休みなしで仕事してるでしょう」
 「…平気だ」
 「……わざとですか?それとも俺に出て行けと?」
 「何故!?違うっ!」
 「…違う?俺に飽きたんじゃ?」
 「違う!」
 慌てて千聖は首を振った。
 違う…反対なんだ…。

 「これじゃ契約不履行でしょう?」
 「…そうじゃない…」
 千聖は頭を横に振りながら否定する。
 「………そうじゃない?」
 「違う…」
 「………もう少し話したいところですが時間も遅いですし…」

 千聖の飲み終わったグラスを彰吾が取り上げキッチンに戻す間どうしようとソファに座ったままだった千聖の手を彰吾が取って手を繋ぎ、引っ張るようにして階段を上がっていく。繋がれた手が…大きい彰吾の手が愛しい。
 久しぶりの彰吾の体温だ。
 寝室に着くと千聖の服を剥いでぽいぽいと放り投げてそのまま彰吾は千聖を抱きかかえるようにしてベッドに横になった。

 「……した方いい?」
 「………いや…いい…」
 彰吾はスウェットを着たままだがそれでいい…。肌に触れたら…我慢出来なくなる。今は彰吾の体温を感じられれば…。
 千聖は彰吾の胸元を掴み、彰吾の腕の中の体温に身を委ねた。
 温かい…どこもかしこも…。

 「千聖…寝てください」
 「…………」
 どうして彰吾はこんな事を…?
 抱くわけでもなくただ千聖を守るように包むだけだ。彰吾の手を千聖の肩に触れているのが、肌に触れているのが苦しい。本当はもっと触れてほしいと思っているのに…。キスも…。

 そう思いながら千聖は顔はあげられなかった。きっと顔をあげたら物欲しそうに自分から彰吾にキスを求めてしまいそうだ。そうなったら我慢出来なくなる。
 千聖は反対に彰吾の胸元に顔を埋めた。すると彰吾がぐっと千聖の肩に力を入れて抱きしめてくれる。

 …どうして…。
 優しい温もりにあっという間に千聖の意識が混濁してくる。わざと無理して溜まっていた疲れとホットワインで身体も温まったからかもしれない。何故こんな優しい事を彰吾はするんだろう?
 知らず知らずあっという間に彰吾の体温の中で千聖は眠りに堕ちていた。
 
 キスを感じた…。
 「…ん…?」
 「千聖…まだ寝てていいです」
 また軽いキスを感じる。彰吾が…?
 そしてそっと頬を撫でられるのが気持ちいい…。
 そうだ…朝…彰吾が必ず千聖に触れていたんだ。ここ最近はずっと彰吾が起きる頃にシャワーをして入れ違いで寝てたから…。

 すり、と彰吾の手に顔をすり寄せると彰吾がまたキスした。
 「千聖…」
 千聖の名を呼んでから彰吾の手が離れ、そしてベッドからいなくなる。
 それが寂しいと心が訴えるが彰吾が千聖を呼んでキスしてくれたことに嬉しくもなっている。
 …夢見ているわけじゃないよな…?
 まどろむ意識の下で千聖は考えたけど、まだ眠いと訴える脳と体はすぐにまた意識を手放した。


 「千聖…起きて」
 声が聞こえてはっと千聖が目を覚ました。
 「もう起きてもいいかな?と思ったんですけど?」
 ベッドの脇にいたのはもう仕事着姿の彰吾でどうやら一休みの時間らしい。
 「…10時?」
 「そう。起きる?下にコーヒーセットしてきました」
 「……起きる」

 ぼうっとした頭のまま千聖が半身起き上がるとふっと彰吾が千聖から目を逸らした。
 「じゃ、下でコーヒー用意しておきます」
 そう言って彰吾がいなくなってしまう。
 ……千聖の裸体なんて見たくないか。
 くす、と千聖は苦笑してベッドから起き上がった。このままシャワーに行きたかったが、目を背けた彰吾を思い出し服を着込んだ。

 まだぼうっとする頭のまま階下に降りればすでに彰吾がコーヒーを用意してくれていていい香りが部屋に広がっていた。
 「…ありがとう」
 「これ位…」
 どうしても中途半端な時間に起きる千聖はやはり起きがけはコーヒーだ。コーヒーを飲んで彰吾は仕事に戻る。その彰吾の仕事ぶりをリビングの大きな窓越しに千聖はじっと目で追って見て確認していた。

 彰吾は一体何を考えているのだろうか…?
 どうして昨夜は千聖を腕に抱えたのだろうか?
 それに今朝も…キスした…。
 千聖はそっと自分の唇を指で辿った。夢じゃないはず…。…どうして?
 まるで恋人同士の様に腕に抱きキスで朝、なんて…。
 ……でも気分がいい。
 うっすらと千聖は笑みを浮べた。

----------------------
続きに拍手コメお返事です^^
mm3様
 そうなんです~
 気分は迷子です~
 喰われちゃってますけど迷路でした(笑)
 私は市から貰ってもいかなかった^^;
 行かなきゃ~と思いつつww
 ありがとうございます~^^

tsr様
 使い物にならなくなるから!ww
 自分が辛くて、断っても辛くて、…ですね^^;
 ご家族お休みなのに仕事ですか~(><)
 がんばってくださいね~(T^T)
 咳なかなか抜けないです~^^;
 よくなるといいんですけどね~
 ありがとうございます~^^

akm様
 きゅん、こないとね~(笑)
 更新まで数分でしたがリコメ書いててちょっと
 遅れたかなぁ~?すみません(笑)
 ありがとうございます~^^

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク