はのんのBL部屋

　何回か来た事のあるビルに彰吾を案内して入っていくと受付嬢に案内され社長室に通された。
　「久しぶりだ。田舎暮らしはどうだ？」
　「お久しぶりです。快適ですよ」
　社長とにこやかに挨拶して握手を交わした。

　「こちらが…？」
　「小笠原　彰吾です」
　「芹沢　洸生（せりざわこうせい）です」
　互いに名刺を出して交換しているのを千聖は傍観した。
　多分この人は彰吾の事は気に入るだろうとは思っていた。とにかく仕事が出来る人間が好きな人だ。

　「どうぞ」
　応接のソファに勧められ千聖は彰吾と並んで座るが今日のメインは彰吾のはず。
　芹沢は彰吾を見たかっただけだろうと思う。自分の目で確かめないと気が済まない人だろうから。でも顔が広くて今旬のこの人に認められたらそれは彰吾にとってかなりのプラスになるはずだ。
　ポンポンと芹沢と彰吾が交わす会話を千聖はただ黙って見守っていた。

　「ここのスペースだが…無駄じゃないのか？」
　「いえ、ここは人の動線がこちらに向かって流れるようになっているので…」
　テーブルの上に彰吾が用意して来た資料が並ぶ。千聖の庭の時と同じように質問に対し的確に答えと資料を出して答える彰吾に千聖は自慢したい位で表情が緩んできそうだ。
　やはりこっちでも彰吾は十分通用する。
　自分の目に自信は持っていたがやはり出来る人に彰吾が認められるのは嬉しい。
　「………長澤？」

　社長が不審そうな顔で千聖を見ていた。そしてふっと笑う。
　本気の相手なんていらないと、遊びと割り切っている相手だった。寝たのは一度だけだが、それ以降も仕事はずっと請け負っていた。
　「…なんでもないですよ？」
　「…………長澤が勧めるのなら間違いないとは思っていたがな」
　「それはどうも」
　その評価も素直に嬉しいものだ。

　「それならわざわざ俺まで呼びつける事はなかったでしょうに」
　「目の保養をしたかっただけだ」
　しれっと芹沢が言った言葉に千聖は溜息を吐き出した。
　「もうよほどじゃない時以外は呼びつけないで下さい。今回は彰吾…っと…彼の件もあったから来ましたけど」
　「なぜ？たまには戻ってきて遊んだら？」
　「いりません。……ここは空気が悪い」
　「……まぁそれは確かだな」
　芹沢が肩を竦めた。

　「今日の夜は？どこかで食事でも？」
　「結構です」
　芹沢が千聖と彰吾の顔を見ながら誘って来たが勿論断るに決まっている。誰かがいたら彰吾とゆっくりする時間など持てなくなるに決まってる。そんなのはいらない。そして芹沢も誘いを断ったからといってそれを気にする人物でもないので言える事というのもある。
　そこから少し雑談を交わしたが彰吾の表情がほんの少し硬い気がした。微かにの事で千聖が分かる程度の事だったが…。
　もしかして千聖が芹沢と寝た事があるのに彰吾は気付いたのだろうか…？


　「ではよろしくお願い致します」
　「こちらこそ。自社ビルが出来た暁にはお二人をセレモニーに招待しますよ」　
　退出するのに挨拶を交わしながら立って会話が成された。
　しかしその内容に呼ばれたかないな…と千聖が眉間に皺を寄せると芹沢がくっと笑う。
　「小笠原さんはご自分でデザインされたものの完成がどんなものか見たいでしょう？」
　「そうですね…」
　千聖をちらと見て言いよどみながらも彰吾が答えるのに千聖は嘆息した。…それはそうだろうなとは思う。そこは千聖だって見てみたい。

　「……仕方ないな」
　千聖が答えると芹沢がくっくっと笑い出した。
　「お前もどうやら年貢の納め時に嵌まっていたのか？」
　「…………そうですよ」
　「悪かないだろう？」
　「まぁ…」
　千聖がこっちを出る前に本気の相手が芹沢にも出来たらしいとは噂で聞いた事があったが本当だったのだろうか…？まぁ、千聖には関係のない事だが、今の言い方だと噂は合っているらしい。

　「……いい男でしょう？」
　「ああ」
　千聖が彰吾を見上げながら芹沢に得意気な視線を向ければくすと芹沢が微笑を漏らしながらも頷き、それに千聖も満足した。
　「ああ、お二方にうちの新ブランドの服を送らせてもらおう。フォーマルブランドなので、セレモニーにはそれを着てきてもらおうか。見目いい二人なら目立つ事間違いなしだからな」

　「送らせて…って、ただで宣伝に使う気だろう？」
　「ただじゃないだろう？送らせてもらうと言ってる」
　「…それがタダで、って言うんだろうが」
　社長とはいってもまだ三〇越したばかりで若い芹沢は気に入った者に関しては寛容だ。
　「ではセレモニーで会おう」
　芹沢が彰吾と握手を交わし彰吾も小さく頭を下げ、そして彰吾の初仕事が正式に決定された。

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坂崎　若様より彰吾×千聖いただきましたー！
背後注意です～(^m^)二の腕が…いいっす////（好物なもので　笑）
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Neo Universe～BL illustration

続きに拍手コメお返事です～^^