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花に酔って 6

 案内された部屋はスイートだった。
 「……あの…ここ…」
 彰吾が恐る恐る声を出したのに千聖は苦笑する。
 「支払いはいい。タダだ。気にするな」
 千聖はスーツの上着を脱いでぽいっと投げ捨てると広い部屋にある立派なソファにどかりと座り頭をぐしゃぐしゃと掻いた。

 「…千聖?」
 「彰吾!こっち!」
 ぽんぽんとソファの隣を叩くと彰吾が座り、その膝の上に千聖はよじ上ると彰吾に抱きついた。
 「……なんとなく色々事情は察した?」
 「…何となく…。ここのホテルは千聖さんのご身内の方の経営?」
 「そうらしい。ああ、母親な。母親は仕事の人だって言っただろ。それ。ただここのホテルは違ってたはずだったのに買収したか…」

 「…初めに俺がホテルとろうとした所は…」
 「そう。系列だ。だから嫌だと言った。まさかこっちまでとは思ってもなかったけど!しかも会う確率なんか低いはずなのにいるし!」
 「………やっぱり帰ればよかったですか…?」
 「いいや。こうなったらもう何言っても遅いからいいよ。彰吾…折角お前の仕事の第一歩の日なのに…」

 「……俺は構わないですけど。千聖の事を知る事が出来るのは嬉しいですから」
 こつんと彰吾が千聖の額に額を合わせたのに千聖は自分からキスを求めた。
 「…お姉さんとは似てない…」
 「多分…半分血は違うと思う。もう一人の姉ともな…父親という存在はいた事ない」
 彰吾の腕が千聖の腰を抱きしめてくれるのに安堵する。

 「…彰吾…」
 彰吾の首に腕を巻きつけ肩口に顔を伏せた。
 …滅入ってきそうだ。
 「ちょっとこうしてて…」 
 彰吾は黙って千聖をあやすように背中を摩ってくれる。
 ああ…安心する…。今までこうして誰かに縋ったことなどなかったが…。姉の所為でささくれ立った千聖の心の中が少しずつ落ち着いてくる。

 「…んっ!」
 背中をさすっていた彰吾の手が千聖のシャツの中に入ってきて肌にふれたのにぞくりとして声が漏れた。
 「…彰吾」
 「千聖…」
 千聖が顔を上げると彰吾がキスしてきて千聖もそれに応える。
 「ん…ぅ…」
 声まで漏れてついそのまま彰吾に身を任せたくなるが…。
 「ダメだ」
 千聖は手で彰吾の唇を押さえた。

 「どうして?」
 「アレがやってくる…」
 「…アレ…って…お姉さん?」
 「そう」
 はぁ、と大きくもう一度溜息を吐き出しそしてちらと彰吾を見て自分から軽く口付ける。
 「…ニュースちゃんとチェックしとけばよかった…まさか買収とか…」
 はぁ、ともう一度溜息を吐き出す。
 「……千聖さんは…跡取り…じゃ?」
 「放棄してる」

 何から話したらいいのだろうか…。でも…。
 つっと千聖は視線を彰吾の目に焦点を当てた。
 「……彰吾は…嫌になるかな…」
 「何がです?…千聖を?」
 「そう…」
 千聖が顔を歪めると彰吾はくすりと笑って千聖の頬を撫でた。
 「なりませんよ」
 「………どうかな…」

 「それより…俺がやはり千聖には釣り合ってないでしょう…」
 「………なんだ?それは?」
 千聖はぎっと眉間に皺を寄せた。 
 「あなたに似合っているのはあの今日会った芹沢社長みたいな方だ。華やかで地位もあって…」
 「………彰吾は…俺が…いやなんだ…?」
 千聖の顔がわなわなとさらに歪んでくる。
 「いやじゃなくて!」

 「なぜ!?地位が俺の何になる?華やかさ?ああ!…散々今まで華やかな夜の街で夜毎遊んで好き勝手してた!そりゃあもう!やってないのは薬に殺し位って位好き放題してた!男と寝るのは一度きり!相手を変え…それこそ芹沢のような上等の男をさがして遊んださ!…でもそれが?…それが俺に似合いか?…ずっと飢えたように何かを探して彷徨って…それが…?俺に…?」
 千聖が顔を覆った。

 「…彰吾の様に…真面目で出来る男に似合ってないのは分かっている…俺なんかのような…人として欠陥があるような…ヤツなんかと…一緒になんて…」
 「千聖!違う!」
 「そういう事だろう?女などいなくなればいいと思ってる!人なんかどうでもいいと思っている!…ずっと…そう…」
 彰吾に会って初めて温かい気持ちになれたのに…人として、千聖個人として愛される事を初めて知ったのに…。

 「千聖!」
 彰吾が荒々しく千聖の口唇を貪るようにキスしてきた。
 「んんっ!」
 ぎっちりと千聖を抱きしめ、何度も何度も。千聖は抵抗するように彰吾の身体を押したがそんなの見せかけだ。そうして欲しいと望んでいるのに千聖が本気で抵抗なんてするはずないんだ。
 
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続きに拍手コメお返事です~^^ 
 
tsr様
 社長なにげに人気でした(笑)
 今度は掃除のか食堂のおばちゃんですかwwww
 色々出没忙しそうですね(笑)
 似てないお姉さまでしたww
 詳細はこれから~^^
 花粉暴走してますか~(><)
 お薬強いのでも花粉の方が強いんですかね…(--;)
 負けずに頑張ってくださいね~(T^T)
 ありがとうございます~^^

S様
 しゃちょうはモチロン!(笑)
 使えるものは利用しないと~wwww 
 裸族1号2号ですかね?(^m^)
 言ってそうですね~~~ww
 ありがとうございます~^^

mm3様
 サプライズ?(笑)
 千聖ちゃん嫌がっております(--;)かなり…
 千聖はそれなりに気付いてるけどそこまで目立つとは
 思ってませんでした(笑)
 インフル流行ってるんですか~!?(><)
 私もなかなか風邪が抜け切らないのですが、
 mm3さんもお気をつけ下さいね~
 ありがとうございます~^^

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