はのんのBL部屋

　「…寝取ったんですか？」
　「するか！…むこうから…声かけてきたんだ…」
　「……でもお姉さんと年…離れてますよね？その婚約者といったら…」
　彰吾が千聖の隣に腰かけると千聖の身体をぐいと抱き寄せた。
　「俺…一五。相手三〇」
　「……………」

　「…初めてだった。…無理やりだったよ…」
　「千聖……」
　彰吾が千聖の身体を抱えると今度は膝に乗せて抱きしめる。
　「ナニコレ？…恥かしいけど…？」
　「誰も見てないでしょう」
　…そりゃそうだけど…それなら、と千聖も自分から抱きついた。
　さっきだって自分から彰吾の膝に乗ったけれど、自分からする分には恥かしいとは思わないのになんで彰吾からされるとこんなに恥かしいんだ？

　「小さい頃から姉二人に…ああ、今のは下の姉、もう一人上にいる。…あかんぼの頃から俺可愛いねって誉められまくりだったらしいんだよね。それが姉二人は面白くなかったらしい。母親は仕事でいないし、生きたオモチャだよな…しかも異性で」
　「……イタズラ…？」
　「されまくり…。さすがに幼稚園小学校なっておかしいぞって自分でも思った…。本番まではさすがになかったけど。さらにプラス蹴られたりとか…」
　「…………」

　ぎゅっと彰吾の腕が強く千聖を抱きしめた。
　「で、森脇が…あれは元々母親の秘書してたんだけど、気付いて離してくれた。そん時にはもう女という生き物は信じられなくなってたね。俺にあんな事こんな事する姉が綺麗に化粧して男連れ込んで媚売って腰振って…」
　「………」
　彰吾の手が優しく千聖の頭を撫でてくるのが気持ちいい。

　「母親が姉の結婚相手探してきて婚約。俺は女は好きになれなかったけど、だからって男が好きかっていえばそうでもなかった…。仄かにいいな、と思うヤツはいたけど、まさか男の俺が相手なんてされるはずないだろう。だから別に中学生位までは真面目なＰＣオタクみたいな感じ」
　「…パソコンオタク…」
　ぷっと彰吾が笑う。

　「する事ないからパソコンばっか弄ってた。調べればなんでも色々出てきて…ハッカーの一歩手前の辺りまでいってたかも…。やばくね？と思ってやめたけどな…」
　「……すごいですね」

　「暇だったんだ。……その姉の婚約者ってのが、勿論男なわけで…優しかったんだ…姉の言いなりになっているような大人しい男だった。…それがたまたま実家行った時に二人きりになった事あって…。無理やり…嫌だって一応抵抗した。…けど本当は抵抗じゃなかったかも…。あの姉の男を…取ってやったらいいかも、とか思ってたかもしれない…あと…興味もあったかも…それまでは優しい人だったから…ところがタイミング最悪なところにアレが帰ってきた」
　千聖は顔を彰吾の胸に埋めた。

　「そうしたら男が豹変…俺が誘って来たって…さ」
　「そんな…無理やりだったのに…？」
　「そ。あとはもう俺が何言ったってあの女は信じるはずないし。腹いせだとか…当然だろうという気もするけど…それより…人は皆そんなものかと…達観したね。ただその辺りにばあ様が亡くなって遺産分配とかあって…俺は誰もあんな洋館…田舎だったからな。いらないっていうのを貰って。…あそこが…たった一回しか行った事なかったけど綺麗だったから。ああ、ちなみに行った時がその姉から離すための一時措置みたいな時だ。彰吾と会ってたのには驚いたけど」

　「……ああ……なるほど…。お姉さんが嫉妬するのも分かりますね。納得した。ものすごく可愛かったですもん…俺が一目ぼれしちゃった位」
　「………うるさい」
　そんな事を言う彰吾に恥かしくなる。
　「あとはもう色々遊びいったり…金は株で作ったりしてたから結構もっててかなり遊んだ」
　「………株？未成年で？年齢ひっかかるでしょう？」

　「バカ姉の名義だ」
　「…………」
　彰吾がくすっと笑う。どうやら話を聞いても彰吾の態度は変わらないらしい。ずっと手が優しく動いている。
　「こっちを出たのは本当に何もかもに疲れたんだ。今度は会社を乗っ取るつもりだとバカ姉達が言い出した。そんなモノ俺はいらない。そう言ったって勿論信じるはずもなく、一夜の相手と思っていた男がつけ回すようになってきたり…何もかもどうでもよくなって…そういやあの綺麗な洋館があった、と住んでたマンション売り払って車で出て来た。来たらお化け屋敷になってたけど」

　くっくっと彰吾が声を出して笑う。
　「本当に…ホラーハウスでしたもんね」
　「最初はどうなるかと思った……」
　「今は？」
　「………悪くない」
　「それだけ？」
　彰吾が千聖の顔を覗きこんでにっと笑うのに千聖は彰吾の鼻を摘んでやった。

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続きに拍手コメお返事です～^^