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約束。 4

 顔を合わせたら前みたいに普通に仲良くなれると思ってたのに、先生と生徒じゃ遠い。
 でもただの生徒っていうのもヤダ。
 顔見られるだけでもとか思ってたはずなのに全然考えてる事と違うんだから…。
 ずっと…ずっと…先生の事ばかり考えてる。
 
 「いってきまーす」
 昨日授業で指名されたからきょうの授業ではきっと名前も呼ばれない。顔もきっと見てくれない。
 そんな事思いながら家を出たら隣の先生のお母さんが丁度外に出て玄関を掃いていた。
 「おはようございます」
 「おはようひよちゃん。あ!瑛貴(えいき)に伝えて欲しい事あるんだけど!ひよちゃん学校で瑛貴に会うよね?担任なんでしょ?」
 「……会います…けど…」
 
 「電話にも出ないし!メールしても返って来ないし!大切な用事があるから今日ちょっと来なさい!……って伝えてもらえる?」
 どきどきと日和の心臓が大きく鳴り始めた。
 「はい…。伝えます」
 「よろしくね!」
 先生に話しかけていい…?
 どうしよう!

 「じゃ、いってきます」
 「いってらっしゃい」
 先生のお母さんが笑って見送ってくれる。
 伝えなきゃないから…今日は先生に話しかけられる!
 どうしよう!今からもう緊張してしまう!
 だって…何年ぶり…?

 話しかけたくてもかけられなくて…先生が日和の事を見てもくれないから話しかける事もできなくて…。
 でも今日は先生のお母さんに伝えてって言われたから!
 お隣でよかった!先生の学校入ってよかった!
 いつ話しかけよう?やっぱり授業終わってから?
 何か質問するようなふりすればいい?
 どきどきと落ち着かない。
 
 「おはよう」
 「おはよ!ん?高宮?顔赤いけどどうした?」
 「え?そ、そう?なんでもないけど」
 戸田が日和が緊張してたのにすぐに気付いたらしい。
 「そうか?具合悪いとかでもない?」
 「ないよ」
 「…ならいいけど」

 苛められたらどうしようと思ってた戸田だけど、全然そんな事はなくてかえっていつも日和の事を気にしてくれて嬉しくなる。
 いつも、戸田がいてくれるから引っ込み思案の日和もクラスであぶれる事がないんだ。もし戸田がいなかったらもしかしたら誰も友達も出来なかったかもしれない。
 「戸田、高宮、おはよ!」
 戸田とセットで名前も呼ばれて声をかけられる。

 中学校時は学校に行くのが苦痛だったのに高校になったら全然そんな事なくて、先生の顔は見られるし、友達も出来たしいい事だらけだ。
 それに今日は先生に話しかけていいなんて!
 すごくいい日!
 思わず日和が笑顔になると戸田がお?という顔をした。

 「何?なんかいい事あったのか?」
 「え?あ、うん。ちょっとね」
 へへ、と笑うと戸田も笑ってくれる。
 「昨日は沈んでたみたいだったけど、よかったな」
 よしよしとまるで小さい子にするように戸田に頭を撫でられた。
 「……あのね。小さいけど子供じゃないんだから」
 先生はよく頭を撫でてくれたけど!

 「なんとなく?いやだって高宮ってちっさいし」
 「……そうだけど」
 そんなの分かってるけど!
 「まぁまぁ!よかったな!ってことで!」
 何がことで!なのかよくは分からないけど、とにかく今はいつ先生に話しかけようかそれで頭がいっぱいになってくる。

 朝のホームルームのあとはすぐに授業になっちゃうだろうしやっぱり先生の授業終わってからにしよう!
 三時間目。
 もう今日はずっと落ち着かないかも。
 だって話するの7年ぶり位?
 …年数を数えるとがっくりしてしまう。

 そんなに長い間先生は日和を避けていたという事だ。その前まではほとんど毎日といっていい位一緒にいたのに…。
 その間に日和だってちょっとは成長したのに…。
 キスの意味だって分かるようになった。
 結婚はできないけど、男同士だってえっちできるのも知った。
 それがしたい好きなのかというのは自分でもイマイチ分かってないけど、でも今までで日和が好きと言える人は先生だけなんだ。

 先生も男の人だけど、でも好き。
 大きくなっても好きだったら考えてくれるって言ったの…覚えてる?
 日和は忘れてないのに。
 でも先生はあんな事なかった事にしたいからきっと日和を避けてるんだと思う。
 日和は全部忘れたふりをしてた方がいいのかな…?
 キスも約束も。
 そうしたらまた話してもらえるようになるのかな…?

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