はのんのBL部屋

　電話を切ってそしていつも寂しくなる。
　でも！日曜日に瑛貴くんの部屋に行ける！
　それはすごく嬉しい！
　こんなに早く連れて行ってもらえるなんて！そう思いながら携帯の履歴を眺める。
　並んでるのはおにいちゃん、の字。

　電話の声も近くて好き。本当は、いちばんはやっぱり直に会っての方がいいに決まってる！
　ひよ、って…。
　ぎゅっと自分の身体を抱きしめた。
　キス…なんかしちゃったどうなっちゃうんだろう？
　声だけでもこんなにどきどきするのに。
　それに…される側って…。
　戸田に言われた言葉で日和の頭の中がぐるぐるしてしまう。　

　こくんと日和は息を飲み込み、そして瑛貴くんの声をリアルに思い出してしまう。
　ひよ…、って耳元に囁かれてるような声。あの声でキスされて…それ以上も…って…まさか…瑛貴くんは考えてもないよね。
　日和は…？
　されたい…？どうされるかなんてよくはわかってもないけれど…。
　キスはしたい…と思うけど…どう…なんだろう…？
　瑛貴くんのアレを…って、見た事なんてないけど…裸で…抱き合って…？

　うわぁ…と自分で考えて想像してしまって顔が熱くなってくる。
　どんな風にされるんだろう…？
　って！される前提で考えてるけど！違うし！…あくまで想像！
　「ぁ…」
　思わず自分の前が反応してしまう。
　一回思い浮かべて、熱を感じてしまったらどうしようもなく身体が火照ってくる。

　滅多に自分ではしないから…一回こうなっちゃうとさすがにしないと治まらないかも。しかも瑛貴くんとの事考えちゃってるからどうしたって治まりそうにないと思う。
　そっとウェストのゴムから手を入れて自分の主張してるものに触れた。
　「瑛貴くん…」
　小さい声で呼んでみる。
　ひよ…。
　瑛貴くんに耳元でひよって呼ばれてるのを想像して、この間抱きついた時の腕を思い出して手の動きを早めていく。

　「え…ぃき…くん……んっ……」
　あっという間に上りつめてびくびくと身体を震わせた。
　………瑛貴くん思い浮かべながらって……。
　ティッシュを取りながら後ろめたくなってくる。
　戸田があんな事言うから！…と戸田の所為にしても仕方ない。
　「あ～ぁ……」
　嘆息してそそくさと処理すると電気を消して布団に潜った。

　瑛貴くんに悪い気がしてくる。
　……中途半端に大人になってきてこんな事してるなんて。子供の時の方がよかったかも。好き、だって普通にさらっと言えたし…。今はそんな事言えない。意味の違う好きなら言えるかもしれないけど、今はもう恋愛の対象として好きだから…簡単に好きなんて言えない。
　「…寝よ」
　日和は余計な事考えようにしよう！と自分に言い聞かせながら無理やり目を閉じた。


　日曜日。
　朝からそわそわしてしまう。
　だって瑛貴くんが迎えに来てくれるから…。迎えに11時位に行くと言われたのに、時間がまだ早いのに外ばかり気になっちゃう。
　勉強道具もちゃんと用意した！…けど一番は瑛貴くんに会うのが目的なんだから。それに久しぶりに長い時間瑛貴くんといられるんだ。

　この間は夜のほんのちょっとだけだけだったし…それを考えれば瑛貴くんが大学行く前以来だから七年ぶりの事でどきどきと緊張までしてくる。
　小さい時なんか何も考えてなかったのに…。ただ瑛貴くんといるのが普通だったのに。

　ううん、違う。本当は全然普通じゃなかったんだ。中学高校生だった瑛貴くんがわざわざ日和の為に時間を取ってくれていたんだ。友達と遊んだりする時間もなくして日和に付き合ってくれてたんだ。
　瑛貴くんがちょっと帰り遅いときとか休みの日に友達と出かけるとかたまにはあったけど、その度に日和はむくれて勝手にヘソまげて…。でも必ずその後、日和のご機嫌を取るように抱っこしてくれて頭撫でてくれたり…。

　……なんかすっごい我儘じゃん！
　子供だったから我慢なんて今よりももたないのは当たり前かもしれないけど。なんか小さい頃にしてた事、言ってた事ってなんでこんなに恥ずかしいんだろ。しかも小さい頃は日和のほとんどは瑛貴くん一色だったわけで、全部が瑛貴くんに関してだ。学校なんかではあまり喋ったりが出きなくていたのに瑛貴くんにだけは何でも言ったり我儘言ったり好き勝手に言ってたんだ。

　瑛貴くんが優しくて日和の我儘をきいてくれたから…。
　そりゃ…小さい頃からずっと付き纏って…逃げたくもなるかな…日和は思わず苦笑してしまった。でも瑛貴くんが来るか、って言ってくれたんだから…いいんだよね？嫌だったら瑛貴くんから言ってくれないはず…。
　日和は自分のいいように解釈してしまいそうになって小さく首を横に振った。

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続きに拍手コメお返事です^^