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約束。 20

 そっと瑛貴くんが日和を離したので日和も手を離した。
 「少しは緊張解けたか?」
 「…ん…」

 そこから勉強を見てもらってあっという間に時間が過ぎてしまう。
 なんで楽しい時間って時間が過ぎるのがあっという間なんだろう?
 緊張もしたけど、でもやっぱり瑛貴くんと一緒にいられるのが嬉しい。
 小さい頃みたいに…って瑛貴くんが言ってくれたのも嬉しい。

 …嬉しいんだけど、日和の中ではもう小さい頃の好きよりもやっぱり濃くなっている気がする。
 小さい頃の方が純粋にただ好きだけでよかった…。
 そして瑛貴くんだって日和の事を好きなんだと疑った事さえなかった。一緒にいてくれるのが当然でそれが普通だった。

 そんな事なかったのに…。小さくて分からなかったと言えばそれまでだけど。
 今だって好きは変わりない。でも、その外にも色々考えてしまう位日和も大人になったという事だ。
 瑛貴くんがどう思うか…。好かれたい。…そして欲まで孕んでくるんだ。
 …大人になるって…いいのか悪いのか。

 「ひよ、もう6時なる!送ってく!」
 「………うん」
 …もっと一緒にいたいのに…。まだ外も暗くもなってないのに…。
 恋人同士になったらもっと一緒にいられる?キスとかも…。
 …でもまさか瑛貴くんが日和にそんな事を求めるはずなんかあり得ない。
 日和に…?じゃあ、他の人には…?

 「…瑛貴くん…彼女、とか…いるの…?」
 おずおずと教科書ノートを片付けながら聞いてみた。
 聞きたくもないけど、…聞きたい。気になってしまう。
 …でもいる、って言われたら?…言われてもやっぱり確認しておかないと…。
 だって彼女いるのに日和が入り浸るのもダメだろうし、小さい時みたいにそれが普通なんて思っちゃダメなんだ。

 「…今はいねぇよ」
 「………いない…の?……じゃ、…僕…また、来ても…いい?」
 「ああ。ここはひよのバス路線だから定期使えるだろ」
 「え…そ、う…なの?」
 車だったから路線だなんて全然分からなかった。浮かれてたというのもあるのかもしれないけど…。

 「そう。ま、俺休みでひよが来るって言うなら迎え行ってやるけど」
 「う、うんっ」
 車を運転する瑛貴くんはすごく大人みたいでカッコイイ。勿論、瑛貴くんは大人で先生なんだけど…。
 小さい頃から比べたら大人にはなっただろうけど、まだ高校生の日和とは全然違う。
 いつまで経っても瑛貴くんとの差が埋まる分けないのは分かる。いつも日和はかなり後ろを追いかけているんだと思う。

 「…しばらく彼女も作る気もないからいつでもいいぞ?」
 「う、うん!」
 やった!嬉しい!日和は思わず力強く頷いてしまう。
 「さ、送ってってやるよ」
 「………うん」
 そこにはちょっとがっくりするけど、でも今日だけじゃないんだ。
 いつでもいいって!

 …とは言っても普通の日は学校あるからきっと無理なんだろうとは思うけど。
 「ねぇ…瑛貴くんっていっつも何時位に帰ってくるの…?」
 授業が終わって生徒が帰ってもいつも先生達は残っている。
 「うーん…七時八時位が多いかな…。六時位の時もあるけど。帰ってきたって一人だしな」
 「…ふぅん…」
 担任もしているしきっとやる事がいっぱいあるんだろう。

 「運動部の部活持ってればもっと大変なんだろうけどな」
 「…そうだよね。若いのに…運動部じゃないんだね?」
 「ああ?当たり前だ。めんどくせぇ。ボク、運動苦手なんで、と言って逃げてるさ」
 ぷっと笑ってしまう。
 「え~!…僕がそれ言うなら分かるけど、瑛貴くんがそれはちょっと…」
 「あ、偏見だな。背がでかいからって皆運動が得意かっていったらそうじゃないだろう?」
 「…そうだけど。…瑛貴くんホントに苦手なの?」
 「いや?わりと得意なほうだけど?」
 「ほらーーーー!!っ」

 もう!
 笑いながら瑛貴くんの車に乗り込む。
 …よかった、普通だ。
 はじめはすごく緊張したけど…。
 今度はちゃんとシートベルトも締める。
 「じゃ、出すぞ?」
 「うん」

 帰りたくないな…とやっぱり思ってしまって顔を俯けた。もっと一緒にいたい。もっと…。
 ぐりと瑛貴くんが頭を撫でてくれた。
 「テスト頑張ったらどこかドライブにでも行くか?ちょっと遠出して」
 「う、うんっ!行きたいっ!」
 やった!

 「テスト頑張ったら、だぞ?追試とかあるんじゃ問題外だ」
 「が、がんばる…っ」
 「じゃ、行きたいとこも考えとけ」
 「うん!」
 瑛貴くんがくすと笑ってくれたのが嬉しい。
 日和の事を考えてくれるのが嬉しい。

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