はのんのBL部屋

　瑛貴くんの車が瑛貴くんの今住んでいるアパートに着いた。
　…そのまま日和の家まで送ってじゃなくてよかった、と日和はほっとした。
　瑛貴くんは無言のままで日和はもうずっとどきどきとしっぱなしだ。一体何を言われるんだろう？
　約束の事…言っていいの？そうしたら瑛貴くんは考えてくれるの？
　つい期待が日和を包んでしまいそうになり、小さく首を横に振る。

　「ひよ…」
　瑛貴くんが日和の手を引いてそして瑛貴くんのアパートの部屋の鍵を開けた。
　「ぁ…っ」
　ドアを閉めた途端に瑛貴くんが日和をすっぽりと抱きしめる。
　…いいの…？
　手を伸ばしても…いい…？

　「えい、き…くん…」
　小さく日和が声を出すとますますぎゅうっと瑛貴くんに抱きしめられた。
　「ひよ…約束…覚えてた？」
　「……ん……おぼえて…る…。あの…僕…、変わってない…よ…」
　いいのかな…言っても…？
　瑛貴くんが日和の頬を包んでじっと日和を見つめた。
　大事って言ってくれた…けど…いいの？本当に…？
　こくんと日和が息を飲み込む。

　「瑛貴くん…」
　「ひよ、言って？」
　「僕…ずっと…好き…瑛貴くん…大きくなっても変わらなかったら考えてくれるって……瑛貴くん、言った…」
　「…言った。ひよ…変わらない？」
　「変わらない…」
　「俺と結婚したいんだ？」
　「う……で、きない…けど…」
　くくっと瑛貴くんが笑う。

　「笑わないでよっ！」
　成長してないのはもう自分でも分かってる！結局ずっと日和は小さい頃から何も変わってないんだ。
　「笑ったんじゃない…嬉しいんだ…ひよ…」
　嬉しい…？
　「…俺はお前から逃げたのに…」
　「…僕から…？」
　「そうだ…。だってひよ、ちゃんと覚えてるか？まだ小学校のお前に…」
　「ぁっ！」

　瑛貴くんが日和の顔をぐいと上げると顔を近づけて軽く唇を重ねてきた。
　キスっ！
　でも一瞬だけで瑛貴くんの唇は離れてしまう。けど！日和の心臓がとんでもないくらいにばくばくしてる！
　「…こういう事したんだぞ？」
　じっと瑛貴くんが日和の顔を見て視線が絡まれば爆走する心臓とさらにかぁっと顔も体も火照って熱くなってくる。
　「お、お、…おぼえて、る…よっ！」
　「…あ、そう？」

　「僕の！…ファースト…キス…だもん…」
　「……セカンドは？」
　「今…瑛貴くん…したっ」
　「…………ああ、もう！」
　瑛貴くんが苦しくなる位抱きしめる。
　「…俺だけ？」
　「瑛貴くんだけ……」
　好きなのも…キスも…全部、瑛貴くんだけだ。会えない時だってずっとずっと瑛貴くんを待ってたんだ。

　「ひよ…」
　瑛貴くんが日和の肩を掴んでリビングの方に連れて行くとそのまま日和を膝に抱えて座った。
　小さい頃みたいに…。
　「ひよ…ずっと…お前から逃げてた…悪い…」
　ふる、と小さく日和は頭を横に振った。今、こうしてもらえるなら全然いい事だ！でも…。
　「逃げる…って…？」
　「…俺はどうにもひよが可愛くて可愛くて仕方ないんだ。小さい時からずっと！…お前さ、自分高校生になって思わねぇ？高校生でよそんちの小さい子とずっと一緒いるって変だろ？」

　「………うん」
　「うんって…………」
　がくっと瑛貴くんが肩を落とす。
　「え！あ！…ごめんなさぁい…でも！僕はその嬉しいなって…小さい頃も思ってたけど…自分が高校生なって…瑛貴くんがずっと…僕のためにいっぱい時間とってくれてたのとか分かって…小さい時はぜんぜん分かんなかったけど…」
　「言っちゃなんだけど！ホントに学校以外はお前に一番時間割いてたぞ！俺は！ダチにバカにされながらもな」
　「ごめんなさぁい…」
　高校生になった日和も今なら分かる。

　「小さい時は全然…わかんなかった」
　「まぁ、そうだろうけど。それでも全然俺はよかったんだ。ひよが可愛くて仕方なかったからな」
　そんな事を平然と言う瑛貴くんに照れくさくなって日和は瑛貴くんの腕の中でもぞもぞと身体を動かす。
　だって…まさかそんな風に思われてたなんて…知らなかった。

　「結婚したいって泣くし。毎日抱きついて離れねぇし」
　「……それって…迷惑っていうんじゃ」
　「いいや。全然。ひよはいつでも可愛いかった」
　「……………」

　…そうなの…？…なんか恥かしいんだけど…。
　「……可愛くて…可愛くて……怖くなった…」
　瑛貴くんがじっと日和を見た。
　「自分がおかしいのかと思ってな」
　そして苦笑した。

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続きに拍手コメお返事です^^