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2014.04.23(水)
送って行くと瑛貴くんに言われてもっと一緒にいたいのに、と日和は思うけれど仕方なく頷く。
「うーん…」
送ってもらう帰りの車の中で瑛貴くんが呻った。
「…戸田には言った方いいかな…」
「え!?どうして!?」
「…………どうしても。牽制しとかないとな」
「牽制?」
「そう。ひよは俺じゃなきゃダメだって」
「……戸田…知ってるもん…」
「ああん?」
「…僕が瑛貴くん好きなの…知ってる…」
小さく日和が顔を赤くしながら言えば瑛貴くんが日和の頭を撫でた。
「俺もひよじゃなきゃダメって事も知らせとかないと、って事だ」
そんな…事…。
かぁっと日和はますます顔を熱くなってくる。だって!そんな事…瑛貴くんの口から聞けるなんて!
自分はずっと瑛貴くんだけだったけど…まさか瑛貴くんが、とまだ信じられない。
「…どうしよう…夢だったら…」
思わず小さく呟いてしまうと瑛貴くんが笑い出した。
「夢じゃない…ひよ。夢でだってもう離れないから」
「う~……」
甘い声で瑛貴くんがそんな事を言ってくれるけど…甘やかしすぎだと思う!
「しかし…戸田が知ってる?」
「…え?…あ、…ん……その…僕が瑛貴くんばっかり見てたみたいで…戸田に…気付かれて…」
「……………なるほど。……やっぱ言っておかないとダメだな…」
瑛貴くんが考え込むようにして頷いた。
「ど、どうして…?」
「どうしても」
そんな事言っているうちにあっという間に日和の家に到着。
「じゃ、ひよ…明日学校でな」
「…うん」
でも車から降りたくないなぁとぐずぐずしてると瑛貴くんが日和の頭を撫でてくれる。
「瑛貴くん…お家帰ってこないの?」
「帰らないな」
「帰ってくればいいのに…」
「ダメ。家いたらひよに悪い事できないだろ?」
「……っ!」
「お?…意味分かるんだ?ひよ…大人になったなぁ…」
かぁっとまた耳まで熱くなってくる。一体一日で何度赤面やら心臓ドキドキとかさせるつもりなんだろう!
「じゃっ…あ、明日、ねっ!」
「おう。おやすみ…電話どうする?する?」
「……瑛貴くん毎日…面倒じゃない…?」
「そんなわけあるか」
「瑛貴くんがよければ……声…聞きたい…」
「…………ホント可愛いな、ひよ」
またそういう事言う!
「お、お、おやすみっ」
くすくすと瑛貴くんが笑っていてすごく余裕がある。
もう日和は言われる事で動揺しっぱなしだし、心臓がうるさい位なのに!
そりゃ瑛貴くんはもう大人で余裕なのも分かるけど!
車を見送り日和はただいまー!と家に入ってそのままばたばたと二階に上がっていく。
今日一日の事は夢じゃない?ホントの事?
瑛貴くんが大事なのが日和だって…。
瑛貴くんの迷惑になるなら付き纏うのを最後にしよう、って位意気込んで行ったのにそれが180度ひっくり返った事がまだ信じられない。
大事って…好きって…ずっとって…。
悶えてしまう。
ずっと瑛貴くんにとったら日和は子供扱いなんだと思ってたのに!
キスも…二回目!
うわーうわー!と枕を抱きしめて悶えてしまう。
キスも…もっと先も…?ホントに…?
もし離れてた事でこんなにいい事になったのならもう全然いい!
そういえば中学校はずっと毎日苦しくて我慢ばっかりだったけど、高校に入ってからは友達もできたし、瑛貴くんとは会えたし、こんなにいい事ばっかりだ!
きっと苦しくて我慢してた分だ。
毎日朝が来るのが嫌だったのに、今は朝が来るのが嬉しい。
そう思える日が来るなんて中学校の頃は思ってもみなかった。
中学校の時の自分に言ってやりたい!あとでいい事あるから我慢して、って!
また目が潤んできた。
だって…嬉しい…。
「瑛貴くん…」
約束が…。
日和が小さい頃の子供のほんの小さな約束。日和が大きくなっても好きだったら考えてくれるって!
牧場の事も忘れてなかった…。
全部全部…。
離れていた事さえも…瑛貴くんにしたら日和の事を考えての事だったなんて…。
ただ日和が嫌になったんじゃなかった…。…それが嬉しい。
ちゃんと真剣に想ってくれていたって事だ。
もうずっと…って事?
子供の時のキスだって…。
ああ、どうしよう…もう嬉しいが止まらない。だってそんなに瑛貴くんが日和の事考えてたなんて知らなかったんだもん!