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約束。 38

 「お、おはよ…」
 「はよ…。高宮…平気?元気?」
 朝のバスに乗り込んできた戸田が心配そうに声をかけてきてくれたが、それにちょっと心苦しくなる。
 ……すっかり戸田が気にしてた事なんて忘れてた。
 「げ、元気だ、よ!」
 この上なく!

 「そっか、…よかった」
 日和が答えれば戸田が安心したように笑いを浮かべてそこにもずきっと良心が痛んでしまう。
 …忘れてたんだ、ごめん。
 そっと心の中で謝っておく。

 だって!昨日は瑛貴くんで日和の心の中は満タンだったんだ。……気にしていた戸田には後ろめたく思ってしまう。
 そういえば瑛貴くんが戸田に言ってた方がいいかも、みたいな事言ってたけど…どうするんだろう?
 日和から言う?でも瑛貴くんが言ってたから瑛貴くんが言うのかな…?
 「なんだ?」
 「え?あ、ううん!なんでもないよ」
 じっと戸田を見ていたら戸田が不思議そうにして日和を見ていて、日和は慌てて首を横に振った。


 …瑛貴くんだぁ…朝のホームルームで瑛貴くんの姿に照れてしまう。
 学校では皆の先生だけど、昨日は日和だけの瑛貴くんでそれにキスも…。夢じゃないよね?…と昨日の事を思い出して日和はかぁっと顔が熱くなってきたので顔を俯けて頬を押さえてると戸田が背中を突いてきた。
 「高宮?どうした…?」
 「な、なんでもない、よっ」
 「顔赤いみたいけど…」
 「だ、だ、大丈夫だってば」

 「コラ、そこ、俺が話してるのにいい度胸だな。戸田、高宮、昼休み俺の手伝い決定」
 「ええ~!そんな!ちょっとだけだろ~!」
 「ちょっとが命取りだな」
 にっと瑛貴くんが日和を見て笑った。
 あ…話…するつもり、なのかな…?

 ちえ~!っと戸田がごちると周りからは高宮が迷惑~!とかお勤め頑張って~とか声がかかる。
 「わり、高宮……って高宮は嬉しいのか?」
 小さく日和に聞こえるようにだけ戸田が聞いてくるのにどう答えていいのか分からなくなったけど、いつでも瑛貴くんの近くに行けるのは嬉しい事なので小さくこくんと頷くと戸田はだよな…と苦笑していた。
 なんか戸田に分かられてるのがすごく恥ずかしいけど、でもちょっと嬉しいとかも思ってしまう。


 お昼休みに弁当を食べてから戸田と一緒に職員室に行くと、待ってたぞと瑛貴くんが笑いを浮べながらこっちだ、と英語準備室に連れて行かれた。
 「何させられんだ~?」
 戸田が嫌そうな顔をしながら声を出す。
 「ん?別に何もないんだけどな」
 瑛貴くんがくっと笑い、日和と戸田が準備室に入ると瑛貴くんは準備室のドアを閉め、鍵をかけた。

 「ひよ」
 ひよ!?
 よ、呼んじゃダメでしょ!
 あわわと日和が慌てる。
 「……ひよ?」
 戸田が頭を捻って日和のほうを見た。

 「ひよ、おいで」
 瑛貴くんに呼ばれて手を出されれば日和は呪文にかかったようにその手を取ってしまう。
 「な……ど…ういう…事だ?」
 戸田が大きく目を見開いて日和と瑛貴くんを見ていた。
 「こういう事だ」
 そう言ってさらに瑛貴くんが戸田の目の前で日和をすっぽりと抱きしめる。

 な、な、なに…するのぉ!?
 「…………どういう事だ?」
 「どうもこうもない。見たまま」
 「見たままって……高宮が…告白したのか?」
 告白した事になるのだろうか…?
 「いいや。最初からずっとひよは俺のものだ」
 「…なんだそれ」
 「小さい頃からずっとな…」

 「…小さい頃…?…ひよ…」
 戸田が眉間に皺を刻んで考え込んでいる。
 「あ、ああっ!携帯の〝おにいちゃん〟ってもしかして月村の事かぁ!?それに隣の家のって!おばさんがひよちゃんって呼んでた!」
 「察しがいいな」
 ど、ど、どうしたらいいんだろう…?

 「…ひよ…なるほど…月村がそう呼ぶんだ?だからダメって言ったんだ?」
 「ん?」
 瑛貴くんが不思議そうな声を出し日和に視線を落とす。
 「ひよ?」
 「え、と…戸田…遊びに来た時に…おばさんに呼ばれて…」
 「あれ、先生のお母さんか?高宮の事ひよちゃんって呼んでて可愛いなぁと思ったんだけど…高宮に名前呼びNG出されたんだよね」
 「だ、だ、だって…ひよ…って呼ぶの…瑛貴くんだけ…」

 「…………瑛貴くん…」
 「ぁっ…」
 戸田にぼそりと呟かれて日和は顔が真っ赤になる。だって恥かしい!
 「なんだぁ?もしかしてもうずっと付き合ってんの?」
 「いいや?戸田がひよに余計な事を言ってくれたおかげだ」
 「はぁ?」

 「俺のずっと大事な人ってのをひよは自分だと思ってなかったんだけどな。戸田が余計な事ひよに吹き込んでくれたおかげでひよが誤解して…誤解が解けりゃそりゃもう離すはずないだろ」
 「………何…?俺の所為?」
 「そう。……戸田、悪いな」
 「……くっそイジワリィ!まじかよ!」
 「マジだ」
 瑛貴くんが楽しそうに笑っている。

 「戸田。ひよのいい友達を頼むぞ?」
 「わぁってるよっ!」
 がりがりっと戸田が頭をかいている。
 「戸田…色々言ってなくて…ごめんね…?」
 もう嫌とか…なんないかな…?
 そっと戸田の方に振り返った。

 「いいよ!高宮は悪くねぇ!…俺が…バカだったんだ」
 「そんな事全然ないよ!…戸田は親切でいつも優しいから…」
 「戸田」
 「わかってるよ!くっそ!あー…やだやだ…ホント俺マヌケじゃんかよ…」
 はぁ、と戸田が大きく溜息を吐き出し呟くのを聞いて、どうしようと思いながら抱きしめられている腕の中から瑛貴くんの顔を見上げれば瑛貴くんは満足そうに笑っていた。
 
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拍手コメお返事です^^
my様 
 日和可愛いありがとうございます~^^
 更新を楽しみにしていただけてるのは
 嬉しいですが~^^;
 そんなオオゴト…(滝汗)
 ありがとうございます~^^

mm3様
 やはりもうハピエンですかね?(笑)
 あらら…お仕事では大変でしたね(--;)
 ホッとに一役かっていられているようで
 嬉しいです////
 いつもありがとうございます~^^

tsr様
 進みましたね~^^
 やっと…すこしだけですが^^;
 先生ヘンタイでしょwwww
 それでもひよ可愛い~////なのでしょうけど^^;
 ひよ大人になってますね(^m^)
 にゃおさんのセンスはすごいと思います~^^
 私には考えられない^^;
 午後も頑張ってくださいね~^^/
 ありがとうございます~^^ 

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