はのんのBL部屋

　戸田はやっぱりひよの事が好きだったんだ。
　そしてひよはずっと自分を…。
　戸田の漏らした余計な一言をひよは大分気にしていたらしい。
　ひよ以外に大事な存在などないのに。
　でもおかげでひよが手に入った。

　思わず約束の事まで…。ひよはちゃんと覚えていてそして変わっていなかった。
　しかしひよから逃げ出した自分がどうしても卑怯に思えてならない。その間にひよが思っていた事…。イジメよりも自分がいなかった方が辛かった、と…。
　いなくなった事が…会ってもひよに向き合えなかったことがひよに傷をを与えているのが分かった。

　甘やかしてやりたい…。
　自分がした事を取り消すことなんて出来ないのは分かっているが、それをやわらげられるように…。
　昨日の夜も電話したのに今朝のホームルームでひよがほっとしたような顔をした。
　いなくなるのがやだ、と昨日も何度も言ってた。

　いなくならない。もう、絶対に…。
　ひよが安心できるようにしてやらないといけない。
　今は大分自分も大人になった。
　高校生の頃の大人気ない自分と比べたら戸田の方がずっと大人だ。
　自分でひよから離れたのに今更ひよをまた捕まえて高校生相手に牽制だなんて…。

　いや、もうなりふり構わないことにしないといけない。
　一番にひよの事を考える。
　ひよが望むこと、ひよが悲しまないことを一番に考える。
　幸いにもひよはまだ瑛貴を見放してはなくまだ好きだと言ってくれている。
　真っ赤な顔で、いつも小さい手でしがみついてくる。
　離したら瑛貴がいなくなってしまうんじゃないかと思ってる位にぎっしりと。謝っても謝っても瑛貴のした事はなくならないのにそれを日和は許してくれる。

　時間をかけてゆっくり、どんなにひよを大切に思っているか分からせていくしかない。

　仕事を終えてアパートに帰る。
　大学の時から始めた一人暮らしも慣れたもので、それ位ひよと離れていたんだ…。
　今日は多分、絶対戸田がひよの所に行くな、と思って電話してみたら案の定だ。

　…でもどうやら戸田はひよにとっても友達という位置も捨てがたいらしい。
　まぁ、確かに、ひよの純粋な目で初めての友達なんだ、なんて言われたらその期待を裏切っちゃいけないとなりそうな気もする。瑛貴だってただの隣のお兄ちゃんの位置にずっといて、ひよがそうとしか思っていなければこんな風になることもなかったはず。
　幸いにして瑛貴はただのお兄ちゃんから脱出は出来たらしいけど。
　…いや、小さい頃からだって恋愛の対象だったのか…？結婚したいと言い出したのはひよだったから…。
　それがずっと変わらない、と…。

　そのままひよを自分の中に閉じ込めておきたい。
　幼いといっていいひよなのに…クラスの奴等と比べても、男子でも女子でも、ひよは幼い方だろう。
　それなのにもうキスしたくて仕方ない。
　いや、キスまでならいいか…？
　その先はさすがにダメだろう。

　普通でさえも未成年者だ。さらに自分のクラスの生徒とくれば雁字搦めでもある。
　高校卒業まで待たなきゃないか…？
　卒業したってまだ未成年だが…。
　うーん…と瑛貴は頭を抱え込む。
　いくらなんでもさすがに25超えたんだから我慢できるだろ。

　いや、我慢しないと。
　そういえばひよは3月生まれでさらに誕生日が遅いんだった…。
　まだ15…。
　あとほぼ3年？
　離れていた7年を思えば半分以下だが…。

　手に入ったひよに自分の我慢が利くかが問題だ。
　ひよも一応どこまで知っているかは謎だが、少しは分かっているらしいし…。
　…大人になってるんだ…一応。　
　そりゃいつまでも小学生じゃないんだから。そうだけど…。
　なんかどうにも複雑な気がして来る。

　ひよに電話する10時前までにやる事を済ませておかないと…。
　ついひよの事を考えていると時間が経つのが早い。
　洗濯も飯の支度も適当に済ませ時計を見て電話をする。
　ひよも毎日待っているらしくいつも電話に出るのが早い。
　『もしもし』

　ひよの可愛い声に顔が緩んでくる。なんで変わらず可愛いままなのか。どうしてもウチの子可愛いのフィルターがかかってる気もするけど、戸田もひよを好きな位なのだからかわいいに間違いはないはず。
　「ひよ、戸田はすぐ帰ったか？」
　『話してあと帰ったよ？瑛貴くんの事色々聞かれたけど…よかった？』
　「いい」
　いいに決まってる。ひよは全然戸田の思惑になんか気付いてないで自分との事を話したに違いない。戸田にはこのままひよのいい友達になってもらわないといけないから言ってくれて大いに結構だ。

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続きに拍手コメお返事です^^