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2014.04.25(金)
えっちはまだって…戸田に聞かれたけど…。そういや戸田はもう経験済みって言ってた…。
瑛貴くんの低い通る声が授業を進めている。
テストも無事成績まで出て日和は丁度真ん中。
ぎりぎりで学校に受かるのも危うかった事を考えれば上出来な方。
それに比べて戸田は学年でも3位内らしい。
背も高いし、カッコイイし…ズルイ。そんな戸田が何故か日和の事は気に入ってくれていつでも一緒にいる事が多い。
もてるのに…結構女子から呼び出しかかるのに彼女は今んとこいらない、と作らないらしい。…贅沢だ。
人を羨んでばかりじゃないけど…日和だって一応好きな人もいるし、多分付き合ってるだろう人だっている。
女の子じゃないけど、日和にとってはどうでもいい。
ただその人がいればいいんだ。
もう7月になる。夏休みだ。
でも学校は休みになっても先生は休みなわけじゃないらしい。瑛貴くんも生徒が休みでも学校に出なくちゃないみたいだけど、でも絶対いつもより多く会えるはず!
なんなら泊まってもいいよね…?
瑛貴くんの事はもちろん小さい頃から知ってるから親も瑛貴くんと出かけるのには安心しきってるし、瑛貴くんちに泊まると言っても反対しないはず。
でも…でも……。
瑛貴くんって…どう思ってるのかな…?
キスはしてくれたけど…。
それに、友達が少なかった日和はキス以上がどうするのかがイマイチ分かっていない。
男同士で出来るのも漠然と分かっているだけでナニをどうするっていう最終的な事がよく分かってない。
でもまさかそれを戸田には聞けないし、瑛貴くんにも聞けない。
それになんといっても自分でも自分が幼いとは思っている。
…分かってる。
教室を眺めても、日和よりも背の高い女子だっているし、男子にしたら日和は背も小さいだろう。
それを考えると経験済みだという戸田がすごく大人に見えてきてしまう。
「何?」
休み時間にじとっと戸田を見てたら戸田に促されて焦った。
「な、なんでもなぁい」
「何だよ?なんか気になる事でもあんのか?」
「ううん!」
瑛貴くんはキスもしてくれない。
いや、してくれないというのとも違うけど…。大体にして毎日会うけどそれは学校の中であって、学校ではゆっくり話す事だって出来やしない。
話は電話だけ。
…そんなのじゃ全然足りないのに。キスだって勿論できるはずもない。
「どうした?」
しゅんとした日和に戸田が顔を覗き込む。
「…え~…足りないなぁ…と思っただけ」
「あ~…はいはい」
戸田が肩を竦める。
「そこはなぁ~やっぱ考えるでしょ。大人だし、ばれたらマズイし」
「…………だよね」
「やめたら~?」
「やだ」
それは絶対嫌!
「…我慢するもん」
「ケナゲ~~」
「………バカにしてる!」
戸田が冗談にしてくれるのに助かる。そして気を遣って絶対名前も出さないし、この手の会話の時は声も小さく日和にだけ分かるようにだ。
ちゃんと考えて行動してる戸田は体とか頭だけじゃなく全部が日和とは違うんだと思う。
「うん?マジでどうした?」
またしゅんとするとすぐに戸田が気付く。
「戸田は大人だな…と思って…。僕は全然我儘ばっかりだし…考えなしだし…」
「ないない!俺から見たら高宮は我慢しすぎだし考えすぎだろ」
「…そんな事ない…子供だ…」
「うーん…そこは否定できないかな…」
むっと思わず口を尖らせ、そんな所が子供なんだ!と反省する。
「可愛いからいいよ?」
「…嬉しくない」
それでなくとも瑛貴くんは大人なんだから!子供の自分とじゃ釣り合いがとれない。
でもそれでも!絶対瑛貴くんじゃなきゃダメなんだ。
「何内緒話~?」
「内緒だから内緒話ってんだよ」
「いいけど~!夏休みプールいかね?」
「いいね!」
「…僕は苦手…」
「だろうなぁ~」
戸田と声をかけてきた大川にも頷かれた。
「でもやっぱ夏は海かプールでしょ。どうせ人は多いし速さ競うわけじゃないし!スライダーとかで遊ぶだけでいいだろ?」
「……うん」
「おし、じゃあと日にちとかメールで連絡する」
「ヤローだけ?女子は?」
「誘わねぇよ。行ってから誘うんだろうが」
「そういう事か」
「当然!」
「……やっぱ僕やめよっかな…」
「別にいいじゃん。どうせナンパなんかうまくいくはずねぇって」
…戸田いたらうまくいきそうだとは思うけど…、ま、いっか。
確かに友達と遊びに行くというのは嬉しいし。
夏休みに浮かれてるのは皆一緒か…。
日和だって瑛貴くんとの夏休みを凄く楽しみにしてるんだ。