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2014.04.28(月)
泣きだしたひよに瑛貴は安心した。ずっと気を張って我慢して…きっと中学校の頃もこうして我慢していたんだと思えば矮小だった自分に憤りが浮かんでくる。
「ひよ…絶対もう一人にしない…。守ってやる…。ひよ?新しい約束な?」
ぱっとひよが顔を上げて大きなくりっとした目を潤ませながら瑛貴を凝視するとまた目に涙が浮かんでくる。
「…約束…?」
「そう。いっぱいひよとは約束してるけど…。まだ全部約束守ってないけど…約束守る為にもずっとひよの近くにいないと。…な?」
「う、…うんっ…」
「もっともっと約束が増えてくんだ」
「そ…そうなの…?」
「そう。それで俺はひよから離れられなくなるんだ」
「………んっ!……」
「とりあえず二つ。牧場と…大きくなったら考える、は守った事になる?」
「ん!もっと…いっぱい約束が欲しい…」
「いいよ。何があってもひよとの約束は守る」
「うん」
安心したようにひよが泣き笑いを浮かべ、そしてどん!と抱きついてきた。
「こら…怪我してるのに頭…っ」
「怪我は大丈夫だよ!…約束、嬉しい…」
いくらかひよの不安は消せているだろうか…?
ひよを小さい頃のように抱っこしたまましばらくひよをあやすようにしていた。
どうやら自分の中でひよは今は守るべき対象になっていて色欲の対象になっていない事に自分でほっとする。たまにどうしようもない衝動が湧く事はあるがそこを過ぎてしまえばひよは大事な大事な守らなくてはならない大事な存在だ。
たとえ瑛貴であっても傷つけちゃいけない。
それなのに自分がひよを傷つけた。
だからこそひよを大事に守っていかなきゃいけない。
ひよを守るのは瑛貴の役目なんだ。
…学校で会ってはいても普段一緒にいる事が出来なくてなかなかひよを甘やかしてやれない。本当は大事に大事にしまっておきたいのだが、まさかそうもいかない。
ひよは大事でもあるが、生徒でもあるんだ。
そこはやはり考えなくてはならない。
……まだ我慢できるし、まだ大丈夫だ。
すがるひよを抱きしめながらひよの存在を確かめる。
よくも7年間も離れていられた…。
勿論大学も忙しかった。こっちに戻ってきても先生業に慣れるまでも忙しかった。
でも常に頭の中にはひよがいつもいた。ずっと…。
自分でひよの事を考えないようにしていたんだ。気にしながらもずっと。
…だがこうして腕の中にいれてしまえばもうひよを離せない。
こんなにひよの存在が足りてなかったのだと思いしらされるばかりだ。
つくづく自分がバカだったと呆れるしかない。
その間にひよに愛想つかされてたら自分はどうなってしまったのだろう?
幸いにもひよに見捨てられてはなかったが…。
ひよに見捨てられてたらどうなっていたのだろうか?
「…ひよ…」
「なぁにぃ?」
この甘ったれたようなひよの言い方が可愛い。ああ、くそ!と思いながらぎゅっと抱きしめる。
「瑛貴くん!苦しいよ」
くすくす笑い出すひよは小さい頃なら何も変わらない。そして瑛貴も変わらない。
…まったくもって成長してないという事か?
ひよは見た目は育っているが…可愛いとこは変わっていない。
いや、育っているのは見た目だけじゃない。小さい頃はストレートに瑛貴に向かってきたのに今は我慢したり自分を抑えたりとやっぱり成長しているのに、全然変わらないのは自分だ。
自分の勝手な都合でひよから離れ、近づき、そして今も…。
ひよは何も言わないけれど、こうして会えたときに甘えてくるのが可愛いけど…それ位本当は近くにいて欲しいと思ってくれているのじゃないのか?そんな風に思うのは瑛貴の自惚れだろうか。
…それに、よっぽど甘えているのは瑛貴のほうだろう。
約束をもちだしてひよを都合よく手に入れ、自分が気が向いた時にひよを連れ出し…。
いや、違う。そういうつもりなんかじゃない。
…ひよはどう思っているのだろうか…?
こうしてくれるだけで嬉しい、とひよは言うけれど…。
本当に?鵜呑みにしてるだけじゃないのか?
ひよのほうがよほど瑛貴よりもしっかりしてるし大人だろう。
自分が我儘だけのダメな大人に思えてくる。ひよを守ってやると言いながらそれを大義名分にしているのは自分なんだ。
「瑛貴くん?」
「……なんでもない。ひよ」
どうしたの?というような顔して仄かに顔を赤くしてるひよが可愛い。ちゃんとひよは瑛貴を意識してくれているのが分かる。
もっと我儘を言ってくれればいいのに…。
自分がしでかしたことでひよが遠慮しているのは分かっていてもそう思ってしまうんだ…。