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約束。 48

 瑛貴くんが夜ご飯も日和の家で食べていつもよりも一緒にいられる時間が多くて嬉しいと思ってしまった怪我した次の日、バスでいつも通りに学校に向かうと戸田が乗ってきた。
 「はよ!大丈夫か!?」
 「大丈夫だってば」

 頭にガーゼを貼っている為に目立ってしまうのが恥かしい。
 いつも朝バスに乗る人がどうしたんだろう?という視線で日和を見ているのは感じていた。
 だからといって誰かに聞かれるわけでもなかったのは助かるけど…。
 戸田もバスの中ではそれ以上何も聞いて来ないので助かる。
 …ホント戸田って出来たやつだな、と日和はじっと戸田を見上げた。

 「何?」
 「ううん」
 くすと笑ってしまう。
 戸田にしろ瑛貴くんにしろ日和には勿体無いと思えてしまう。
 「…学校でも聞かれんだろうなぁ」
 「……だな。高宮は何も言わなくていいよ。俺がうまいこと言うから。苦手だろ?」
 「……うん」

 もし万が一囲まれて次々質問されたりなんかしたらきっと日和はパニクってしまいそうだ。
 どこに行ってもちらちらと人の視線を感じるのに小さくなって戸田の影に隠れるようにしながら登校した。
 とりあえず学校までくればなんとなく安心だ。
 そして案の定クラスまで行けばみんなに囲まれた。

 「高宮~!どうした!?」
 「それが!昨日帰りに他校のヤツに因縁つけられて!俺助けようとして間入ったんだけど、殴りかかられたのを反対に高宮に庇われて…おかげでその傷」
 「バカだな!戸田なんて放っといても怪我しねぇのに!」
 「ひでぇ!」
 「戸田だめじゃん!」
 「そんな事!僕が余計な事しちゃったから…」 

 戸田がまるで日和の中学校の頃の確執などなかったかのように、ただのとばっちりだったように話してくれたのにほっとする。
 相手が元々日和の知り合いと分かったらどうして?となるに違いないだろう。
 「縫ったのか?」
 「うん…二針だけど」
 うわぁと皆が顔を顰め体を竦める。

 「ほら!散れ散れ。高宮を大人しくさせとかないと」
 そうだな、と皆が離れてほっとしてしまう。
 「うーん…さすが高宮…もし怪我したの俺だったら傷見せてみろとか絶対言われたな…」
 「まさか」
 「いやマジで」

 「戸田ぁ!ダメじゃん!一緒いたんでしょ?何やってるの?高宮守って戸田が怪我するなら分かるけど~。反対じゃん」
 女子にも言われちゃう…。
 「だよなぁ~!それに高宮よりお前らのほうがよっぽど強そうだよな…」
 「うわ!チョー失礼なやつぅ!高宮こんな役立たないの切っちゃいな!」
 「え!」 
 「今度何かあったら言いなね~!うちらが守ってあげるから!」

 ……………女子に守ってあげるからと言われても。
 「僕も一応男なのに…」
 小さく言っても戸田が笑うだけだ。
 そこでチャイムがなって朝のホームルームで瑛貴くんが来た。

 「高宮…大丈夫か?」
 「…はい」
 瑛貴くんは今朝も日和が家を出る前にも電話をくれて大丈夫って知ってるけど…。
 「ホームルーム終わったら高宮と戸田はちょっと話があるので来なさい」
 「へ~い」
 「はい」
 …多分じゃなくても昨日の事で、なんだろうけど。

 ホームルームのあと戸田と一緒に瑛貴くんの後ろについていく。
 「向こうの学校の先生がいらしゃってる」
 瑛貴くんの目が大丈夫か?と心配そうにしながらも事務的な事を告げる。
 「…俺は別にいいんじゃね?」
 「一応。お前だってあの場にいたんだからな」
 日和にしたらこんな傷なんかより中学校の頃の方がよっぽど傷ついたのに…と思ってしまう。

 相手の先生が来たのは警察も介入してしまって事を荒立てないで欲しいというお願いだった。
 勿論日和はそんなつもりなど毛頭なかった。この怪我だって大村も言ってたけど日和を怪我させようとしたものでもない。
 でも戸田に殴りかかろうとしたのは事実だ。
 …戸田に怪我がなくてよかった、と思う。もし日和の所為で戸田が怪我してたらそれこそ日和は自分を許せなくなってしまうだろう。

 「昨日…大村…くんも…お母さんと一緒に家まできて謝ってくれたし、僕の母親も別にそれで荒立てるつもりもないですから…」
 おずおずとしながらも隣にいてくれる瑛貴くんに勇気つけられてちゃんと言った。
 だいたい日和の母親なんかもう学校に瑛貴くんがいるってだけで全部瑛貴くん頼りにしちゃってるんだから。
 日和の返事に大村の学校の先生もほっとしている様子だ。

 学校でも別に大村は問題を起こすこともないらしい。
 …中学校の時だってそうだった。背が高くて怖そうな…でも誰彼に絡むのでもないし、特に何か悪い事をするのでもなかった。
 ただ…日和にだけ絡んで当たってたんだ。
 きゅっと日和は唇を噛んだ。
 
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すみません(><)
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すみません~m(__)m

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