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2014.05.01(木)
「高宮、戸田、ちょっと」
昼休みに瑛貴くんがわざわざクラスに呼び出しに来た。
…もしかして戸田に言うのかな…?
戸田とセットで呼び出されれば怪我の事でだろうと誰もが思うはず。
空いている教室に連れて行かれて瑛貴くんがドアを閉めた。
「ひよ、戸田に言った?」
「ううん」
「何?」
戸田が瑛貴くんと日和の顔を交互に眺める。
「戸田、実は俺が今住んでるアパートがお前の家と近いんだけど」
「そうなの?」
「そう」
「え?そう?」
日和も驚いた。瑛貴くんちは車でしか連れて行ってもらってないし、いつも戸田は日和の家に来る方だったので全然知らなかった。
「日和を預かることになったんだ。今日から」
「は?」
戸田がきょとんとしている。
「どういうこと?」
「…毎日あの大村ってヤツがひよの家の前に来ているらしい」
「え!?高宮!ほんとか!?」
「…うん」
「なんでいわねぇんだよ!」
「……俺も聞いたの昨日だった」
「え~!月村も聞いてなかったのかよ?信用なってねぇ~」
「うるさい」
「そ、そんなんじゃなくて!迷惑だと思って…」
慌ててしまう!昨日瑛貴くんも自分でそんな事言ってたし!信用してなくてじゃないのに!
「で、少しの間俺が預かろうかと…ひよのご両親にも了解済みだ。で、学校の帰りとか俺がひよについていられない間…戸田に…」
「僕大丈夫だよ!そんな…瑛貴くんにも迷惑かけて、戸田にまでなんて…っ」
「いいよ。勿論」
日和の遠慮など無視して瑛貴くんと戸田が話を進める。
「今日の夜ひよを迎えに行く。お前についてて欲しいのは来週になる…」
「勿論俺はいい。いいけど!センセ…いいのぉ?俺で?」
「…………かなり不本意だけど…事情を知ってるのも戸田だけだし…仕方ない。日和のほうが大事だ」
戸田がにやにやしながら瑛貴くんに聞いている。
「それに戸田はひよの信頼を裏切らないだろう?」
「……くっそ!」
今度は瑛貴くんがにやっと笑っていた。…なんか二人が楽しそう?
「……どうして二人ともそんなに仲いいの?」
「いいわけあるか!」
「………ひよはいいから。…じゃあ戸田、そういう事で。あとでひよから連絡入れさせる」
「分かった。高宮、今日は?」
「今日も病院だからお母さん来てくれる」
「…ならいいな」
「じゃ、ひよ、夜な?」
「…うん」
戸田が呆れたような顔で日和と瑛貴くんを見てきてそれに日和はちょっと照れくさくなってくる。
「あ~あ…まじかよ…お泊りか…」
「うん」
教室に戻る廊下を歩きながらちろ~っと戸田が見てくる。昼休みで色々な声があちこちから聞こえて小さな声での会話は他の人には聞こえないだろう。
「何?」
「………ヤられちゃうよなぁ…」
「?」
ヤる?何を……?
「っ!………なっ…にっ…」
ぐわっと顔が真っ赤になった。
「…あ、知ってるんだ?」
「し、し、しら…ない」
「またまた…あ~あ…そっか……」
「あ、の…戸田…どう、するか…知ってる…?僕…ホントに…よく知らなくて…」
「……は?マジ?…でも、出来るのは知ってるんだよな?」
「な、な、なんと…なく……」
どうしたらいいの!?と日和は真っ赤になっているだろう頬を押さえる。
「あ~………ま、高宮は知らなくたって月村知ってるだろうからいいだろ。俺が余計な事言った方怒られそうな感じがしないでもない…。でも…はぁ~……そっか…高宮はヤられる気満々か…」
「ま、ま、ま、満々じゃないっ!」
だってよく分かりもしないのに!
「…そっか…」
はぁ~、と日和の返事なんて聞こえないように戸田が何度も溜息を吐き出している。
「しかたねぇよなぁ~…もう高宮見てるだけでも月村しか見てねぇし」
「そ、…そう…?」
「そう。かえって親も公認でお泊りってストーカー野朗のおかげじゃん。よかったな」
「………うん」
「頷くのかよっ」
また戸田にはぁ、と溜息を吐かれる。
「だ、だ、だって!普通の日ってあんまり会えないんだもん!」
「あ~そうですか。毎日会ってても会えないってどういうこっちゃ」
「だ、だ、だって…」
抱っことか、キスとかは…出来ないもん…。
「…あ~そうですね。イチャコラはできねぇわな」
日和の思っている事を見透かしたように言われてますますかっとしてしまう。
「戸田っ!」
「よかったねぇぇぇぇ」
からかってくる戸田の背中をどんどんと叩いてやる!
「暴力反対~」
「全然痛くなんかないでしょ」
「いたかねぇけど~。そっか~…高宮も大人になっちゃうんだ~…される側でだろうけど」
さらに真っ赤になりながら強く戸田の背中を叩いてやった!
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