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2014.05.04(日)
危なかった…。
瑛貴は平常を取り戻そうと深呼吸を小さく繰り返した。
子供っぽいと思ってたひよが…。
瑛貴の膝の上で物欲しそうに口を半開きにしながら顔を近付けてきたのを享受してしまった。
伏せた目が大人っぽく色気をまとって、それに見惚れ、あげく欲情を誘うように瑛貴の唇を啄ばんできたのに完璧に煽られてしまった。
もうひよを滅茶苦茶にしてやりたい衝動が湧いてきて止まらなくなったのだ。
欲しくて欲しくて…。耳に聞こえる喘ぐ日和の声も、上気した頬も濡れた唇も…どれもが瑛貴を欲情させてしまった。細い体の線の背を辿った時も日和の息が熱く漏れ、ふるりと体を震わせたのに日和が感じているのが分かればさらに箍が外れた。……全部を奪えと脳内で何かが囁いた。我慢なんかする事ないと、日和だってそうされるのを望んでいると。
…………ダメだろ。
普段はまだ子供だ、と枷を架しているのに…。
それが脆くもあっという間に崩れ去っていったのだ。
日和のお母さんからの電話がなかったら…止まれなかっただろう。正気をなくしていた、…と思う。それ位日和に夢中で貪りついていた。
前に日和の部屋で深いキスした時もどうにも離しがたくて…。でもあの時はまだ正気が残っていた。とにかく今のは本当に頭で考える隙もなく欲情の赴くままに日和を押し倒していたんだ。
自分は理性的で自制がきくと思っていたのに…日和が官能的なキスなんかしてくるから…。…………どこで覚えたんだ?あんなキス…ってこの間の自分のキスか!……悪いのは自分かよ…。
はぁ、とまた瑛貴は溜息を吐き出した。
「…瑛貴くん?」
日和が不安そうな顔で瑛貴を見ている。また余計な事を考えてる、って顔だ。子供の頃は全面的に好きを表現して瑛貴にぶつかってきてそして瑛貴もそれを受け止めていたのに…今は日和はそれを抑える。…それもきっと瑛貴の所為なんだ。黙ってひよから離れた報いなんだ…。
あまり広くないリビングでソファも置いていないでテーブルとクッションのみ。それでも寝室や狭いながらもウォークインクローゼットもあって贅沢は言えないが…。一人では十分すぎる空間だった。そこに今こうして目の前にひよがいる。
「ひよ」
不安そうに揺れる眼差しを安心させるためにひよの体を膝に抱き寄せた。…これはハグ。ひよを安心させるためのもので欲はなし。
ほっとひよも安心したのかうっすらと笑みを浮かべて俯く。
ほんの少しの事でもひよは気にしてしまうんだ。
拒絶のつもりなんてなくとも、瑛貴の中だけの事情であってもひよには拒絶に感じてしまう事があるらしい。そして一人で我慢するんだ。
大村の事もさっさと言ってくれればよかったのに…自分もついもう大丈夫だろうと思っていたのが仇になった。だがこうしてひよが手元にいるのだからいいのか?……いや、さっきの事を考えればダメだろう。
またいつ箍が外れてしまうか…。
いっそう気をつけなければならない。
キスしなきゃスイッチも入らないだろうけど…そこはやはり我慢できないな…。先は我慢してもキスはしたい。欲が湧き上がるようなキスをしなきゃいいんだ。スマックくらいで。
だったら大丈夫。………だろう、多分。
それにキスもしなけりゃひよもまた不安を感じるかもしれない。好きだと言っているのにどこか懐疑的な感じを見せる時があるんだから。
……そこの均衡がなかなか難しい。
ひよにはちゃんと瑛貴がこんなに好きなのだ、大事なんだと分かるように。それでいて自分の欲は抑えつけられる範囲で。
そんな事できるのか?…自分がイマイチ信用できなくなった。
そもそも高校生の時にひよが可愛くて我慢出来なくてキスした前科があるんだ。どうにも考えれば考えるほど自分が危険なヤツに思えてくる。
…どうしたってひよにとって自分は有害じゃないのか?と思えてくる。
それでもやっと手に入ったひよを独占したいと思っているのだからどれだけひよ中心なのだろうか…。はっきり言ってひよがよければ他などどうでもいい位にひよが大事だ。………離れていた分が余計にそう思わせているのかもしれない。
だから箍が一気に外れてしまうんだ。
普段抑えている気持ちが放出してしまうと自分でも止めようがない位に一気に気持ちが流れ出てしまうんだ。