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2014.05.05(月)
戸田に言われた事を考えてしまう。
授業中も考えるのは瑛貴くんの事ばかりで、ダメだろうと思うけど…でもやっぱり考えてしまう。
日和の我儘なんだ。
でも日和はやっぱりキスしたいしそれ以上だって…。
よく分かってもないのにしたいとかっておかしいけど。
でも瑛貴くんの全部を感じて、そして欲しいと日和は思ってるんだ。
それでもお母さんに責任を持って預かりますと言った瑛貴くんを考えればなるほど、頷ける。
だったら早く大村の件が片付けば…。でもそうしたら日和は家に帰らないといけない。
うーーーん……心の中で呻ってしまう。
学校を終わるとお母さんが迎えに来てくれて病院へ。抜糸してもらって瑛貴くんのアパートまで送ってもらう。
「じゃあ瑛貴くんに迷惑かけないようにね」
「うん。大丈夫。…多分」
晩御飯のおかずも作って持ってきてくれたので今日は瑛貴くんも楽かも。お母さんが帰って、そして瑛貴くんが今日は早めに帰ってきた。
「お帰りなさい!」
今から帰ると瑛貴くんから電話は貰っていたので玄関まで出迎え!やっぱり一緒にいるとこういう所がいいな、と思う。
「…ただいま…ひよのお帰りなさい…聞くの久しぶりだ」
瑛貴くんもどこか嬉しそうに見える。小さい時もいっつも瑛貴くんの帰りを待っていたものだったけど…。
「早いね」
「ああ、親戚の子を預かってるって逃げてきた」
……間違ってはないような気もするけどちょっと面白くないかも…と思ったら瑛貴くんが日和の表情を読んだのか、ぷっと小さくふき出した。
…笑われても仕方ないとは思うけどやっぱりちょっと面白くない。
「お母さんがおかず作ってきてくれた」
笑われた事は無視した。
「それは助かる。あ…ひよ」
瑛貴くんが日和の前髪を上げて傷を確かめた。
「抜糸したんだな」
「うん。もう平気」
「…よかった。でも傷…」
「………傷痕…気持ち悪い?」
「ばぁか。んなわけあるか。何の心配してるんだよ」
じっと傷痕を見ていた瑛貴くんがその傷痕に軽くキスしてくれたのに日和はほっとした。もう傷はふさがっているし痛くもない。そんな事よりも瑛貴くんがそんな事してくれるのが嬉しい。
やっぱり一緒にいるのがいい。このままずっと一緒にいたいなぁ…と思ったって期間限定の事で無理だろうけど、と日和は浅く溜息をついた。
お母さんに貰ったおかずでご飯を一緒に食べて、夜は瑛貴くんのベッドで一緒には寝るけどただ寝るだけで、やっぱり…と思ってしまう。
誘惑したら、と戸田に言われたけど、でも瑛貴くんの気持ちを思ったら、とも言ってたのにそうだよな、と日和も思って大人しく寝る事にする。
瑛貴くんといられるのが嬉しいのに…ちょっと寂しいなんて思ったら贅沢なんだ。
瑛貴くんの腕が日和を捕まえていてくれるのに足りないなんて思っちゃいけないんだ。
「…ひよ?…寝たのか?」
電気を消した部屋で瑛貴くんが話しかけてきた。もう意識が沈みそうになりかかっていた時で返事をし損ねた。
「…ひよ」
瑛貴くんが呼んでいる。
そしてぎゅっと腕に力を入れて日和を抱きしめると何度も日和の頭や傷痕のあるところや耳やあちこちにキスを落としている。
…くすぐったい。
半分寝ててよかった…起きてたら絶対反応しちゃってた。
好き…と思いながら安心して日和の意識は堕ちた。
昨日は家にも大村は現れなかったらしい。
それが不気味なように感じてしまう。そう思ってしまうからかなんとなく今日は朝から落ち着かない感じでどうしたんだろう?と自分でも不思議だ。
「ひよ…大丈夫だ」
朝ごはんを食べながら日和が落ち着かないのを分かってか瑛貴くんが声をかけてくれる。
「帰り戸田にここまでついて貰ってくるように。俺から言っておくが」
「え?それはいいよ!」
「戸田はそんな事位なんとも思わないから大丈夫だ」
自信ありげに瑛貴くんが言うけどそれに日和は首を捻ってしまう。
どうして瑛貴くんも戸田もお互いの事をそんなによく分かるのだろう?
…不思議だ。
「じゃ何かあったらすぐ連絡」
「…うん。いってきます」
どこかからか大村が出てきそうな気がしてならない。いや、瑛貴くんちを知っているはずないのだからそれはありえないんだけど。
そしてバスが来ると戸田が乗っていて顔を見てほっとした。
「おす。どうした?顔強張ってる」
「うん…。昨日…うちに来なかったみたいなんだ」
「………ああ…そっちね…。……うーん…学校まで…来るかな…?」
「……どう、だろ…」
「家いなくても学校なら…って思いそうだもんな…」
「……うん」
「でもそれならそれでかえって安心だろう?」
そう…。何と言ったって学校には瑛貴くんがいるんだから。
「そうだね…」
小さく日和は頷いた。何をどう思って日和を付け狙っているのか分からないが……学校に来てくれたほうがいいと瑛貴くんも言ってたんだから、きっと大丈夫。
そう思ってもやっぱりなんとなく落ち着かない。
姿を見ても動揺するし、見なくても気になるなんて…、と日和はバスの中で顔を俯け小さく息を吐き出した。