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2014.05.11(日)
何…?
熱を孕んだ存在を主張するものをあてがわれてどきりとする。
「瑛貴く、ん…?
薄く目を開けたら瑛貴くんの苦しそうな表情が目の前にあった。
「ん、あぁっ!…」
熱い!
身体が裂ける様な感覚に日和の顔が歪む。でもこれは瑛貴くんなんだ。
「日和…ごめん…」
「やっ!あや、…まらない…でっ…」
そう、これは日和が望んだことなんだ!瑛貴くんが謝る事じゃないんだから!
さっきまでとは明らかに身体の中に埋め込まれているものの存在感が違う。
身体の中に異物が入ってきて違和感を覚える。
圧倒的な存在。…これが瑛貴くん…?
「日和…力ぬけ…ゆっくり深呼吸しろ…」
息を詰めていたのに自分でも気付いてなかった!だって…苦しい。
「んは…っ…ぁあ…」
息を吐き出しぜいぜいと呼吸を繰り返してから深くゆっくりと息を整える。
「そう…ゆっくり…」
瑛貴くんの声…。
小さき頃は隣にいるのが当然だった存在。いなくなって…どれだけ寂しかったか…。どれだけ泣いたか。
小さいながらも瑛貴くんに捨てられたんだ、と漠然と思った。
…それでも、家に帰ってくるたび考えるのは瑛貴くんの事ばかり。
長かった…。
中1の時に瑛貴くんが大学を終わって帰ってくると聞いてかなり喜んだ。
帰ってきたらきっとまた元通りに傍にいてくれるものだと思っていた。…思い込んでいた。
ところが瑛貴くんは戻ってこなかった。
どうして?とまた泣いた。
日和の事が嫌で戻ってこないのだ、と…。
でも直接瑛貴くんに確かめたわけでもはなしをしたわけじゃない。
きっと違う。否定しながらも会ってもくれない瑛貴くんに毎日のように自問自答した。
高校の教師になったと聞いて、それなら自分から会いに行く、とそこからひたすら勉強。それまでは真面目に勉強なんて気分にもなれなかったのに、目標が瑛貴くんに正面から堂々と会いに行きたいが為だけに、…頑張った。
そして半分反対されながらもどうにか合格。
これで瑛貴くんとは普通に戻れる、と勝手に思い込んでいた。
きっとよくやった、と誉めてくれると思っていた。
久しぶりに会った隣のおにいちゃんは勿論日和よりも大きいは大きいけど、小さい頃に思っていたような、お父さんよりも大きい大人な人だと思っていたけど、そうじゃなくて…かっこよくて…どうしよう!と思った。
おにいちゃん、と声をかけようとしたのに、日和の事は驚いた顔をしたので分かったはずなのに瑛貴くんに顔を背けられた。
追ってきちゃいけなかったんだ、とまた泣いた。
でも担任になって毎日顔を見て。
それだけでいいと思ってたのに…そうじゃなくなって…。
「瑛貴くん…」
「日和…好きだ。ずっとな…お前だけいればいい…」
そんな事言われて嬉し過ぎて涙が浮かんできた。
「…日和?」
「……嬉しい…んだ…」
「……ひよ…」
日和が思っていた事が分かったのか瑛貴くんの手が優しく髪を撫でてくれる。
「もう二度と離れない…離さない。…な?……」
「んっ…!……ぁっ」
ぐっとさらに日和の中が埋まっていく。
ゆっくり、ゆっくり満ちていくようだ。
ずっとずっと追って探して求めてたものが埋まって充足してくれるよう…。
どうしてこんなに欲しい、と思ってしまうんだろう?
どうしてさらにもっと、と足らなくなるんだろう?
そしてどうして…こんなに泣きたくなるんだろう?
「痛いか…?苦しい…?」
ぽろぽろと涙を零し始めた日和に瑛貴くんが困惑の表情で問うてくる。
違う、と日和は首を横に振った。
「瑛貴くん…瑛貴くん…」
ぎゅうっと首にしがみついた。
瑛貴くんを手に入れた。
…それでいいのだろうか…?
「日和」
瑛貴くんの声が殊更甘くなった。
「好きなのも欲しいのもお前だけだ。日和」
「っ!………んあっ!」
瑛貴くんの手が日和の細い腰を持ち上げるようにして抱くとず、っと奥まで衝いてきたのに顎が仰け反った。
「ひよ…日和…」
熱に浮かされたように瑛貴くんが日和の名前を繰り返しそしてゆっくりと腰を動かし始めた。
中が擦れるのが感じられる。瑛貴くんの大きくなったものが日和の中に埋まっているのを感じられる事が出来る。
苦しさと快感が入り混じり、満足感を日和を包んだ。
与えてくれるのは瑛貴くんだ。
全部…。苦しいのも嬉しいのも満足なのも切ないのもそして好きも…。全部が瑛貴くんだけなんだ。
もうそれはずっと小さい頃から何も変わってない。
こんなに自分がたった一人だけでいいなんて。
日和が欲しいのは全部瑛貴くんだけなんだ。