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2014.05.14(水)
「高宮君ちょっと」
なんだろう?
昼休みに教室に顔を出した本間先生に呼ばれて日和は頭を傾げながら廊下に出た。
…そういえばいつだったか瑛貴くんのいた視聴覚室から出てきた所で会った事があった。
瑛貴くんと噂があったともそういえば言ってたな、と思い出す。
…本当なのかな…?
ちょっと嫌な気分になりながらついていくと空き教室に連れて行かれた。
「見たのよ?」
「何をですか?」
「月村先生といるとこ」
「それがどうかしたんですか?」
…見られてた?いつだろう?あんまり瑛貴くんと一緒に外には出ていないけど…。これは学校外で、という事だろう?
頭の中ではフル回転してたけど表に出ないように気をつけ、なるべく何も知りませんという表情を崩さないようにした。
「先生と、って…ダメじゃないの?」
くす、とやらしい笑いを浮べたのにわざときょとんとして見せた。
「何がですか?月村先生はずっと小さい頃から僕の面倒見てくれて…あ、隣の家のお兄ちゃんだったんです。…何がダメなんですか?」
何も分かりません、とわざと子供っぽく見せた。
「……話してもダメなんですか?」
チッ、と嫌そうに舌打ちされたのにこの人は何も分かってるわけじゃないと安心した。
「月村先生は私と付き合っているの」
「え!?…知らなかった……ホント…?…教えてもらってないな…先生と付き合ってるなら自慢して言いそうだけど……でも…それ、…僕に言っていいんですか…?先生なのに?生徒に?」
「……嘘よ」
「え?嘘…?先生が嘘つくってのも…どうかと…」
なんなの?わけわかんないな…。
本間先生顔を顰め、嫌そうな顔をすると日和を睨んでさっさと日和を置いて出て行ってしまう。
なんなの?
わけわかんないな…と思いながら教室に戻った。
「高宮~なんだったの?いいな…俺も呼び出されたい!」
クラスの男子に言われて日和は笑って苦笑を返しただけにした。
「高宮?マジでなんだ?」
戸田が小声で聞いて来たが日和も首を捻った。
「よくわかんない。…けど…瑛貴くんといるとこ見られてたみたい。…しらばっくれてきたけど」
こそりと戸田にだけ耳打ちする。
「…噂あるって言ってたよな」
「言ってたね。今聞いたけど瑛貴くんと付き合ってるんだって」
「は?」
「嘘だって自分で言ったけど」
「何だそれ?」
「知らない~」
「……月村狙ってるって事か?」
「……かもね」
「……………高宮、全然平気そうね?」
「平気だよ?」
ちょっと前だったらきっと不安だった。でも今は瑛貴くんを信じられるから…全然平気だ。
「信じてるもん」
「あっそ」
戸田が嫌そうにべっと舌を出した。
「…言うの?」
「うん。だってワケワカンナイもん」
「なんだったのか後でおせーて?おもしろそ」
「………全然面白くない。出かけるの出来なくなっちゃうもん」
口を尖らせて不満そうに言ってみる。でも本当は別に出かけなくても瑛貴くんと一緒にいららればいいんだけど!
「タイヘンデスネー」
戸田が笑ってるのにもちょっとむっとして見せる。
「大変じゃないもん」
「あ、そうですかー」
もう!
「戸田は?好きな子いないの?」
いたらからかってやれるのに!
「うーん…いないって事にしといて?」
しといて?なんだそれ。
「もしもし?瑛貴くん!」
いつもの夜10時の電話を待機してかかってきたのにすぐに出た。
「なんか今日本間先生に呼び出しされて!」
『………もうひよのとこまで?』
はぁ…と瑛貴くんが溜息を吐き出す。
「なんなの?」
『なんて言われた?』
「瑛貴くんと一緒にいるの見た、って。あ、あと瑛貴くんって本間先生と付き合ってたの?」
『はぁっ!?…何言ってんだ?ひよ』
「え~?だってそう言われたんだもん。…多分僕の反応見る為?知らないけど。そのあと自分で嘘だって言ってた」
『当たり前だ!誰があんな女となんか付き合うか!』
…あんな女なんだ…。
ちょっと瑛貴くんの言い方にほっとしてしまった。信じてはいるけど男だったらやっぱ惹かれるよな、とは日和だって思春期の男の子としては思ってしまう。
だってね…あの胸は気持ちよさそう…とか。
好きとまた別次元の話だ。
「瑛貴くん惹かれないんだ?」
『当然』
「え…そう?僕はちょっと触ってみたいかな…気持ちよさそう…」
『ひよっ!!!』
電話口で瑛貴くんが慌てたように叫んだのに日和は笑ってしまった。