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2014.05.15(木)
「ひよ」
メールで宣言通りに瑛貴くんが家にやってきて、今は日和の部屋で日和を前にしてじとりと睨んでいた。
「なぁに?」
「ひよは俺よりも本間先生の方がいいのか?」
「はい?なにそれ?」
「俺には気持ちよさそうな胸もないし?」
「あったら怖いでしょ!もう!何言ってるのかな…。それ言ったら僕だって胸ないけど?」
「別に俺は胸は求めてない」
「僕だって別に求めてないよ?…好きなのは瑛貴くんだけだし」
はぁと瑛貴くんが溜息を吐いてひよを抱きしめた。
「瑛貴くん」
瑛貴くんの体温だ。
瑛貴くんの首に手を回して日和からも抱きついた。
「…でもこうして瑛貴くんが来てくれるなら…いいかも…」
「勘弁してくれ。気が気じゃなくて一日イライラだ。おまけに…」
瑛貴くんが日和を離すとカーテンの端から外をちらりと眺めた。
「どうしたの?」
「俺の後ろついてきたんだ」
「え?……本間先生?」
「そう。仕方ないので車は家に入れたら通り過ぎてったけど。表札確認しただろきっと」
「…………」
隣は本当に瑛貴くんの家だし何も問題ないけど…。
「瑛貴くんちにお泊りとか…無理かな…見られたら…」
きっと何言われるか分からない…。誤魔化したにしたって高校生にもなってそんな遠いわけでもないのにお泊りって…やっぱり変だよね…。
日和はいい。けれど瑛貴くんには歓迎出来ない事態になったりしたら…。
「いいよ……僕、我慢出きる」
「ひよ?」
「今はね…大丈夫…。瑛貴くんが約束してくれたから…。信じられるし待てる。……でも…やっぱり会いたいよ?学校でじゃなくて…それに…こうしてたい…」
瑛貴くんの背中に抱きついた。
「…残念だな…俺はもうこんなんじゃ足りねぇな。ひよ」
瑛貴くんがくるりと向きを変えながら正面から抱きしめてくれる。そしてキス。
「んっ…」
舌も絡める濃いキスに身体が熱を持ってしまう。
「ぁ…っ……」
はぁ、と息が漏れると瑛貴くんがくすっと笑った。
「感じた?」
「だ、だ、だって…」
「…残念…さすがに下にお前の親いるし…できねぇな」
「……ずるい」
もう瑛貴くんの全部を知ってるのに…この中途半端な熱はどうしたらいいの?
「ひよ…」
何度も瑛貴くんがキスしてくれる。
「鍵は持ってていい。ひよだけのものだ。俺はなるべくこっちに来るようにする。………ウチの母親にゃうるせぇから会いたくないが。裏から出入りすれば気付かれないだろう」
「うん…」
「出かけるのも…」
日和は首を振った。
「ううん。いいんだ。瑛貴くんがいてくれればそれだけでいい」
「…ああ。お前が高校卒業するまでの我慢だ。会えないわけでもない」
「うん…。大丈夫」
「本間先生もそのうち諦めるだろう」
「…でも僕が高校出るまでは気をつけた方がいいもん。変ないいがかりとかつけられて万が一な事になって瑛貴くんが離れてしまうとか…そんな事になったら…その方が耐えられない。だったら少しの我慢の方がずっといい。会えたほうがずっといい」
「ああ。ひよ…約束したからな」
「うん…」
そう…約束があるから大丈夫。
「僕も…瑛貴くんを守りたい」
「……ひよ…ホント大人になっちゃったなぁ」
瑛貴くんが苦笑した。
「そっか…ひよに守ってもらえるんだ?」
「うん」
「……ああ…ほんっと…ひよ、可愛い」
「ちょ…くすぐったい」
瑛貴くんがあちこちに軽いキスを落としていくのにくすくすと笑ってしまう。
「掻っ攫って閉じ込めておきたいけど」
「僕はそれでも全然平気だけどね。中学校の頃なんてどこにも出かけた事もなくて部屋に閉じこもってたし」
「だからこそ…お前を閉じ込めちゃいけないんだ。友達といっぱい遊べ。あ、でも勉強はちゃんとしろよ?留年なんかしたら俺はぶちきれるぞ?」
「しないよ…そんな事。僕だってやだもん。早く…瑛貴くんの隣に立てるようになりたい」
「ひよ。俺は今のひよでも十分なんだけどな」
「……ね…もし、僕が戸田みたいに大きくなっちゃったらどうする?」
「え!?…………うーーーーーーん……やだ!…けど、ひよはひよかなぁ…多分」
「なんないと思うけど」
「ああ。俺もそう思う」
顔を合わせてくすりと笑ってそしてまたキスを交わした。
自然なんだ、と思う。瑛貴くんといるのがすごく。