「凪…好きです」
その三塚の声にぞくんと凪の身体が震えればくすりと笑われてそれをしっかりと分かられてるのに恥かしくなる。
「凪も素直になったら?」
「別に僕はひねくれてない」
「まぁ…確かに…。キスにも気持ちよさそうにしてますしね」
ドンと凪が三塚の胸を押すと三塚が腕を離して凪から離れた。
「ちゃんと俺の事信じてくれたら自分の気持ちに素直になります?」
「……何を言っているのか分からない」
心臓がうるさい。
……そんなつもりがないと言っておきながらキスが二回。それに週に何度も三塚が来てご飯一緒に食べてって…。
「俺通い妻してるんですけど?」
かぁっとまた凪が顔を赤くすると三塚がくくっと笑う。
「お泊りもいつでもいいですけど?」
お泊りって…そういう…事、か?
「し、…したい…って思うのか…?」
「当たり前でしょう!凪の様子に流して流せないことないですけど」
なんだそれは!?流して抱かれるか!
「……試してみます?」
凪がむっとすると三塚が挑戦的に笑みを浮べたが凪は慌てて首を横に振った。
「しない!」
「怖くないですよ?気持ちよくしてあげます」
三塚がつっと指で凪の首から顎をなぞってこられるとまたきゅっと凪の心臓が跳ねる。
……確かに流されるかも…。
だいたいずっと凪が思った通りに全然いってないんだ。三塚に関しては…。
どうして受け入れてしまっているのか、と問われたら困ってしまう。
凪が三塚を拒絶していないからだ。結局全部三塚のする事を受け入れてしまっている。だったら抱かれてもそれを受け入れるのだろうか…?
いや!そんな事考えるのは間違っている!
…でも確かにさっきのキスの流れで三塚は無理にでも進めようと思えば進められた…?でも腕を離したんだ…。
じっと三塚の顔を見た。
「何?」
「お前、本当に…本気?ふざけているだけだろ?」
「あのね。ふざけてるだけでしたらもう凪なんてとっくの昔にいただいてます」
「!」
「本気で…大事にしたいから我慢して手出さないんです。…キス位は許してくださいよ?あとは帰ってあなたのエロい顔思い出しながら自分で出しますから」
「~~~~~っ!」
「凪以外はいりませんので」
「そんなの分からないだろう?今までだって女も男も…って言ってた」
「言いましたけど。こんなに欲しいとか、献身的にした事なんてありませんよ?俺健気でしょう?振り向いてももらっていない相手におさんどんしにきたり。凪に振り向いてもらえるように必死ですから」
「じ、自分でそんな事言うか?普通」
「自己PRです」
当然と言わんばかりに三塚が言い放つ。
………やっぱりどこか信用ならない気がする。
今の気持ちは本当かもしれないけど、でもふざけている感じもする。
「…じゃあ間違ってもそういう事はないから…もう来なくていい」
「ダメ。絶対凪を手に入れますから来ます」
「………」
絶対って!
「ない!」
「分からないでしょう?…ただ流されるんじゃなくて凪から俺が欲しいと思われたい。だからキス以上はしません。……俺の我慢が効けば、ですけど」
「……効かなくなったら…?」
「襲います」
「!」
悪びれもせずに三塚は平然と言い放った。
「……そうはしないつもりです。凪の気持ちを待ちますよ。出来る限りね。…なので早めに認めてください」
「………勝手だ」
「そうですか?」
まるで見透かしたような目で凪を見てくすりと三塚が笑う。
「凪は怖がっているだけです」
「違う」
「……けっこう強情ですね」
そう言いながらも三塚は気分を害した風でもなく笑うだけだ。そういや前に拒絶した時も三塚は怒る事もなかった。
いつも悠然として余裕の表情で凪を眺めているんだ。
それで本気?…やっぱりそんなはずないだろう。凪は余裕なんてないし心臓はうるさいし、こんなに動揺しているのに。
これじゃ凪の方がまるで夢中になっているみたいじゃないか。違う!絶対に。
「凪…俺が本気だという事を疑ってる?」
「僕には関係ない事だ」
「つれないですね。…一人で立っている凪もいいですけど。俺としては俺だけに甘えて欲しいそう思ってるんですけど」
「………無理」
甘えるという事がどういう事なのか凪には意味が分からないのだ。
分からない事を出来るはずもない。
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