くれぐれも風呂場に入ってくるな、と釘を刺して凪は風呂場に向かった。
前回、初めての時にシャワーを浴びる凪の所に待ちきれない三塚が乱入してきたためだ。今日はちゃんと大人しく待ってますと手を上げて三塚は約束したが…。
毎日三塚は凪の家に泊まりに来ていたが仕事後にシャワーを浴びてから来てたので本当に食事の用意と寝に来るだけだった。だからこそ凪も心苦しいと思っていたのだが…。
今日は…。
前に三塚にされた事を思い出し、一人で顔を赤くしながら風呂場の鏡に映った自分の身体を見た。
胸などに残っていたキスマークはもうとっくの昔に消えている。こんな平べったい身体で三塚は満足なのだろうか…と思いつつも念入りに身体を洗ってしまう自分が恥かしい。
だって…。
しばらくしない、なんて自分から言ったけど、それは照れもあっての事だったのに…馬鹿真面目に三塚がとるから…でもそれ位に考えてくれているという事でもある。
約束通りに三塚が入ってこなくてほっとしながら風呂を上がると三塚がアイスを用意してくれていた。
「どうぞ?」
「もう…食べられるのか?」
「OKです。じゃ凪は食べてて。俺は風呂お借りしますけどさっと行ってきますから」
器に盛ったアイスを受け取りながら小さく凪が頷くと、三塚が凪の頭を抱き寄せて頭にキスする。
「すぐ来ますから待ってて」
「べ、別にっ…」
そんな期待してるわけじゃ…って抗議する前に三塚はいそいそと風呂場の方にいなくなってしまう。
恥かしいな…と思いつつスプーンの刺さったアイスを口に運べば風呂上りに冷たくてさらにおいしく感じてしまう。
…贅沢だ!
濃厚で舌触りがよく滑らかで…売ってるカップアイスと全然違う。こんなのが家にいて味わえるなんて。
ゆっくりと堪能しながらスプーンを口に運ぶ。
ああ、おいしい。幸せだ、と凪は顔が緩んでしまう。
本当になんで三塚みたいな人がいたんだろう?スイーツ作れてしかもピアノの話も出来て、なんて凪にとっては文句なしの人だと思う。でもなんか得してるのが自分だけのような気がして申し訳ないような気もする。
三塚は凪のいったいどこがいいのだろう?
おいしい!って食べるのなんて、きっと自分以外だってみんな三塚のケーキを食べたらそうなるはずで、自分だけが特別じゃないと思う。それなのに三塚はそんなところが好きだとか言う。
そんな恥かしいとこじゃなくて…別のとこ…と思ってもとてもじゃないが自分にいい所なんか思い当たらない。
うーん…と悩んでいると三塚が風呂を上がってきた。
腰にはタオル一つだけだ。
「な!…んで…っ」
かっと凪は三塚のいい身体を前にして顔を赤らめた。
「え?だってどうせすぐ脱ぎますから。凪、アイスは?おいしかった?」
「ああ!すごく!…まだ残ってる…?」
「ありますよ。明日パンケーキ作ってあげましょうか?アイス乗せて食べたら?」
美味そう!と凪は口元を緩めてこくりと頷くと三塚がソファに座ったままの凪を抱きしめる。
「…ホント…可愛い……凪の為に自分がケーキやらスイーツやら作れてよかった!と思いますよ」
「その…僕は…満足しすぎる位させてもらってるんだけど…三塚は…」
「これから満足させてくれるんでしょ?」
凪の耳元に三塚が艶やかな声を響かせた。
「…っ」
その声だけで凪の身体が震えてしまう。
「凪」
三塚が凪の手を取って立たせるとそのまま手を引いて寝室に連れて行かれる。
心臓がどきどきとうるさい。自分から勿論いいと言ったんだからいいんだけど…。顔を俯けたまま三塚の後ろをついていく。
凪の寝室に入ってドアを閉められると逃げだしたい衝動に駆られる。恥かしくて!
毎日三塚と一緒にいたのになんでこんなに心臓がうるさいのだろう。
「み、つづか…」
小さく凪が呼ぶと三塚が手を離しそして凪を抱きしめた。
「…緊張してるの?」
小さく何度も俯きながら頷くと三塚がくすっと笑う。
「あ~…っとにもう!こんなんだから滅茶苦茶にしたくなっちゃうんですよ!エロいとこ見せて?嫌じゃないんですよね?」
「…いや、じゃない…」
三塚が食べるようにして凪に荒々しくキスしながらベッドに凪の身体を押し倒しさらに舌を絡めて貪る。凪も三塚の首に腕を回し、自分からも求めた。肌を合わせるのが気持ちいいと知った凪の身体は官能に従順に反応してしまう。
※拍手コメントありがとうございます~(T-T)
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