風呂が出来上がると三塚に連れて行かれ一緒に入った。いい、と断ったんだけど時間が待てないと押されてしまえば凪だって待っているのだから強くも出られない。
「そんなに恥かしがらなくたってあちこち全部見てるのに」
「…そう…だけど…」
それとこれとは別な気がする。
だってすでに湯船に入った凪の後ろで三塚のも大きくなってるし…。
気になってしまうじゃないか。
「……気になる?」
「だ、だ……って…」
後ろから耳元に囁かれるとそれだけでぞくぞくして凪は体を竦めた。いつも三塚の声だけでも感じてしまう。感じすぎなんじゃないかと思う位に敏感で自分でも困ってしまう。
「ホント…俺の声好きですよね…?声だけで身体震わせて…」
だって…!
「声…近いっ」
「いいでしょ…凪が感じるのになんも問題ないですから」
三塚の声が耳に響く。それだけで身体がじんとしてしまって力が抜けそうだ。三塚に身体を預けるようにして寄りかかってしまう。すると三塚が凪の顎に手をかけ唇を舐めそしてキスしてきた。
もう止まらない。
重ねるだけの軽いキスから舌が絡まり、口腔を舐られる深いキスに欲が浮かんでくる。
三塚の手が凪の身体を這い、それだけでも息があがってくる。
「今日の凪も…かっこよかったです…ほんと…女性がみんな目をハーマークに…いや女性だけじゃないですけど、それが俺的には気が気じゃなくてイライラするんですけどね…まぁ、それは仕方ない…無防備な所を見せるのは俺だけにしといてくださいよ…」
「三塚…だけ…だ…」
こんなにおかしくなるのも…。欲しくなるのも…。
「三塚は…本当に…僕なんかでいい…?」
「それを聞くのは俺の方でしょう。でももう離してやりませんけどね。こうして凪を手に入れたんですから。凪の全部は俺のものです。ピアニストの時は仕方ないので貸し出しますけど」
貸し出すって…三塚の言い分に思わず笑ってしまう。
「でも弾いてる時だって今は三塚の事ばかり思っている。誰かを思って…だから変われたんじゃないだろうか…?今まではどう思われるかばかりが気になって…食べられなくなったのもきっと人にどう思われるか、評価ばかりが気になっていたんだと思う。ずっと…何かが足りないと言われてきて、自分でも機械的な感じだと思ってはいたけど…」
「情感溢れるいい演奏でしたよ?じゃなければ感動なんてしません。人を感動させる音楽なんて簡単に作り出せるものじゃないですから…凪はそれが出来る特別な選ばれた人です。だからこそピアニストなんて出来るんですよ。普通の人には出来ません」
「僕は普通…」
「じゃないです。間違いなく」
断言されてしまう。
「……そんな所も凪の好きな所ですよ。そしてそんな凪だからあんな演奏が出来るんです。あるがままを受け入れて浄化させるような音楽が紡げるんです。凪、わかるでしょう?俺だったら?絶対ならない」
「…ならないな」
三塚だったら自信みなぎる迫力ある演奏になるだろう。
「………なんか言い切られるのも面白くないですけど」
三塚が複雑そうな顔をしているからまた笑ってしまう。
「三塚は自分に自信があるから…。俺はいつもいいのか?って悩んでばかりだ」
「俺だって一応悩むんですけど?」
「嘘だ」
凪が身体の向きを変えて三塚の首に腕を巻きつける。
「本当ですよ。……凪…欲しい…上がりましょう」
小さく凪が頷くとすぐに風呂を上がりそのまま寝室へ。
キスを繰り返すと燻っていた熱があっという間にあがってくる。欲しいと、凪だって思うんだから…当然だ。ずっと今日はどこか現実味を離れている気がして…。いやきっと今までの方が自分を抑えていたのかもしれない。それを解放してくれたのが三塚なんだ。隠していた部分も全部三塚が受け止めてそして引き出してくれたんだ。母親の呪縛によって思い込んでいた凪を解き放ってくれたんだと思う。
三塚が離さない、と言うけれど離してやらないのは凪のほうだ。
「……ずっと…傍にいてほしい…」
「そうするつもりです。凪のお世話全部してあげます。食事の管理も性欲の管理もね」
ベッドに横たえられて組み敷かれていた三塚の胸を顔を赤くしながらトンと叩くと三塚がくすりと笑う。
「全部俺に任せて…」
「んんっ」
さわりと三塚の手が凪の身体を撫ぜれば凪は鼻から声が漏れる。でも与えられるだけじゃなく凪も三塚に与えたいんだ。
凪も同じように三塚の身体に手を這わせた。
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