「………恥かしい…」
「今さらでしょ。もう何回もしてるのに」
「そう、…だけど…」
恥かしいものは恥かしい。
汗だくになってどろどろになった身体を流され、後ろに手を這わされて中をかきだされるのは何回されたって絶対慣れないと思う。
「…ゴム…あるのに…」
「全然使ってないって?だって…生のほういいでしょ?ゴム使うと凪がいやぁな顔するんですけど?」
「ぅ……」
だって…なんか…違うから……。
「俺はこれも楽しいからいいんですけど。凪の中弄るとぴくぴくして恥かしがって真っ赤になってるのも可愛いし」
ちゅっと音をたてながら目尻にキスされて、それもまた恥かしい…。
「お前…慣れすぎっ」
「すみませんね。凪はいっぱいいっぱいだよね。でももう俺は凪以外はいらないので今までの分は勘弁してください…。凪をよくする為のお勉強だったと思って」
「………じゃあ僕もお勉強した方よかったかな?」
「やめてください!凪はいいの!」
「なんか……ずるい気がする」
「ずるくないです!…それとも凪は俺以外にもされたいとか思うの…?」
「思わないっ!」
「なら俺だけでいいでしょう!」
そうだけど…。なんとなく面白くないだけだ。むぅっと凪が唇を尖らせると笑いながら三塚がキスする。
「今日の演奏…本当にステキでしたよ」
…そんな事言われるのが恥かしい。どうにも褒められるのに慣れていないので照れてしまう。それでなくとも体も火照っているのにさらに羞恥プレイかと思う位に恥かしい。
「………ありがとう」
三塚の顔を見られなくて三塚の肩口に顔を埋めて小さく言えば三塚がくすくすと笑う。
「ホント可愛いんだから…ケーキもおいしかった?」
「ん……すごく!」
「まぁ、俺が作ったわけじゃないですけどね。やっぱり凪には俺の作ったのを食べて欲しいとは思うけど」
「うん…僕もやっぱり三塚のがおいしいと思う」
「名前」
「え?」
「名前でって言ったでしょ」
「…こ、…絋士」
小さく呼ぶと三塚がくすりと笑った。なんかちょっとこれも恥かしい、というか照れくさい。
「東京でコンサートっていつです?」
ベッドに戻って横になりながら三塚が聞いて来た。
「9月末」
「曲は?」
「リスト。巡礼の年からとハンガリー狂詩曲から何曲かずつ」
「いいですね。…ステージの凪はかっこいいから…俺だけの凪じゃないのが実はちょっと面白くないけど、って言ったら狭量ですけどね」
「うん?そんな事ない…三塚…傍にいてくれる…か?じゃないと…僕はダメかもしれない…」
「勿論離れるつもりもないですし、ステージ後に倒れさせる気もありません。…でもちゃんと食事受け付けられるかな…?」
「三塚のだったら…多分大丈夫だ…。前の雑炊もケーキもおいしい、と思ったし…。あの時だってほとんど食べられない状態だったのに…三塚のはおいしかったから…」
「ならいいです。生活は全部ちゃんと俺が管理しますから凪は安心してて」
「すまない…なんか本当に三塚に頼ってばかりで…」
情けないとは思うが…。
「全然。俺がいないとダメなんて俺は嬉しいですけど。任せて下さい」
三塚の腕が凪を捕まえる。
「………依存してしまいそうだ。三塚が甘やかすから」
「してください。俺がいないとダメになってほしい」
「…なってるよ、もう…」
そっと凪が三塚の首に腕を回す。
「なってる?」
「なってる。今日だって今までにない位に落ち着いてたのも全部三塚がいてくれたからだ。今日だけのことじゃなくて…毎日が…。僕はほとんど家にいて生徒が来る位でたまに生徒の親と話する位で人と接する事も少ない。今まではレッスン終われば一人だし…それが三塚はピアノの話だって合うしなんでも聞いてくれるから…毎日レッスン終わって三塚がいてくれるのが楽しみで仕方ないんだ」
「……本当に?俺が…?楽しみはデザートじゃないの?」
「ち、違うっ!いや、それも楽しみ…だけど…」
毎日デザートは店のものかもしくはさっと三塚が作ってくれたりとか、それも楽しみではあるんだけど、それだけじゃない。
「三塚…だからだよ」
「…名前って言ったでしょ?」
「……恥かしいし、慣れない。野田さんだって三塚って言ってる」
「あれはダチ。凪は恋人なんですから。ああ?恋人というかパートナー…。そうありたいと俺は思ってるんですけど?」
「……うん」
パートナー…。互いに助け合える存在になりたい。凪はおんぶしている状態だけど…。そうありたいと小さく頷いた。
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