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トロイメライ 82

 父親の事を立花 創英に言われて動揺していたのに三塚に話せば魔法をかけられたようにどうでもいい事のように思えてくる。
 桐生 明羅の曲も…以前の凪だったら絶対曲なんか書いてもらえる価値もなかったはず。もし書いてもらったとしてもプレッシャーに押しつぶされていたはずだ。

 それが三塚の言葉一つで昇華されてしまうんだから不思議だ。
 父親の事も気にならないといえば嘘だが、それでもそんな事よりも目の前の三塚の方が大事だと思えるんだ。
 「凪…」
 すぐにでも凪が欲しいと言った三塚だったが…本当に…?

 「ちょ…」
 ご飯を食べて片付けを終えた三塚がすぐにいそいそと凪を寝室に連れて行く。
 「すぐに…って言ったでしょ?」
 「で、でもっ…」
 ベッドに横たえられて服を脱がされていく。部屋のエアコンはいつの間につけてあったのか…ちゃんと部屋が冷えていた。

 「お風呂も責任持ってちゃんと後で入れてあげます」
 そういう事じゃなくて…。
 「汗クサイし…」
 「全然?あ、俺の方臭いですかね?火使うと汗かくし…凪はいい匂いですよ」

 「…嘘だ…。いや、そこまで匂うわけでもないと思うけど…三塚はいつでも甘いおいしそうな匂いがする」
 三塚の顔を引っ張り鼻を近づけてくんと匂いを嗅ぐ。
 「けっこう凪って匂いフェチ?」

 「そ、そうじゃ…っ!」
 「だって初めの方でも匂われて俺びっくりしましたからね」
 「あ、あれは!だって…チョコとかクリームとか…甘いいい匂いがしたから…」
 「凪はケーキ大好きですからね。今もいい匂いします?」
 「……する。いつもおいしそうな匂いだ…」

 「食べていいですよ?…って凪喰うの俺の方ですけど」
 凪は三塚の首筋をくんと匂ってからかぷりと歯を立てた。
 「甘くない」
 「…………………あのね…、どんだけ煽ってくんですか」
 「おいしそうな匂いはするんだけどな…」
 「甘いのはあとで運動したあとに!」

 ぱぱっと着ていたものを全部剥かれてしまう。そして凪の身体に跨ったまま三塚もすらりと脱いだ。筋肉に形作られた綺麗な身体が電気の下で浮かび上がる。
 「凪のもう大きくなってる」
 「だ、だってっ!」
 ちょっと噛み付いたりいつもと違う事したから…。

 「え?あ、三塚っ!や、め…」
 「どうして?うん…凪の匂いが濃い」
 「や、やめっ!」
 恥かしいっ!
 三塚がこれから与えられる快感を待って震える勃った凪を手で包むと口に含んできた。

 「キタナイっ」
 「汚くないです。言ってるでしょ。凪はいつでも綺麗だ。ここも、ここも」
 「あ、ぁっ」
 三塚の指がちょんと凪の後孔をつつく。
 それだけでひくりと凪の身体が反応してしまうくらいもう三塚の熱を覚えてしまっているんだ。
 三塚の舌が凪の先の割れ目をつついてくればそれだけでとろりと先走りが滲んでくる。

 「感じやすい身体だ…俺にだけ…?」
 「三塚…だけ…だ………こんな僕を…知っているのは…」
 自分でもやらしい気分になっているのが分かる。早く欲しくて感じたい、と思ってしまうんだ。
 腰がゆれてねだるように…。触って欲しくて、快感が欲しくて…。

 勃ちあがっているものを舌で舐め上げられ口に含まれ手で擦られればもう出したくなってきてしまう。でもそうじゃなくて…もっと深く交わりたい。凪の身体は三塚のものを欲しがっている。こんな自分が信じられないけど…。
 「凪…言って?どうして欲しい…?ここは…?」
 三塚が意地悪で後ろをさわりとなぞる。

 「ひくひくして腰揺らして…でもちゃんと言ってくれないと?」
 「や……触って…」
 「触ってますよ?」
 「そ…じゃな、い……」
 「弄って欲しい?中を…?」
 「んっ!」
 誘導尋問されるように囁かれればその声に頷いてしまう。

 「凪…うつ伏せなって」
 くるりと身体をひっくり返され、四つんばいになり頭を枕に押し付け腰を高く上げられればそこが三塚の目の前に晒される。
 「して欲しくて…誘ってるんですよね?ほら…お口がぱくぱくしてる」
 「や、め…ろ……」

 「やですよ。言葉で言われるのも凪感じるでしょう?ほらまだ中も弄ってないのに前からたらたら零してますもん」
 やめろというのに!恥かしい!
 「恥かしがらなくていいのに…凪から来てって言ってほしいな…」
 三塚が後ろから覆いかぶさってわざと凪の耳元にヤラシイ言葉で囁く。それだけでもう身体がじんと痺れてしまうのに…。
 
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