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熱吐息 fuoco~熱烈~6

 瑞希のアパートからマンションまで程近いマンションにあっという間に宗に連れられて引越しになってしまった。
 結局瑞希は一度も部屋を見ないまま連れられていった。
 きっと宗は瑞希が喜んで頷くはずがないと分かっているから。
 …でも。
 「……宗…。買った、って言った?」
 「言った」
 にこにこと宗が笑っている。
 瑞希は部屋を見て絶句した。
 下の部屋、パソコンが並んだオフィスみたいなフロアで広さは分かっていたけど。
 「ごめんな?勝手に決めて」
 そして宗は謝るんだ。
 瑞希は首を振る。
 「俺、家賃いくらかでも払うから」
 「いらない」
 だってそれじゃダメになりそうだ。
 全部宗におんぶに抱っこになってしまう。
 何から何まで。
 「今はいい。そうだな…あと2年。もしくは長くて4年だな。それまでは会社で頑張って人脈とか作って。それ以降の時間はあと全部俺が貰うから」
 「?」
 どういう事?
 「会社立ち上げるから。そうしたら瑞希は俺の隣にいつでもいること。仕事でもプライベートでも」
 「………え?」
 「だから俺は瑞希の全部貰うから。だからお前からは何もいらない。いやだったらその何年か後に仕事で返してもらう。いい?」
 「……返すの大変だよ?」
 「だからいいんだろ。そしたら瑞希は俺から離れない」
 くっと宗が笑いながら口を開いた。
 「俺、狂ってるかも…?」
 「………俺はもう前からおかしい、よ…」
 瑞希はぎゅっと宗に抱きついた。
 「ダメだって…全部、宗に負担とか、かけてるのに…でも、ダメなんだ…ごめん…宗…」
 「俺が勝手にやってるだけだ。瑞希。寝室こっちな」
 宗が瑞希を肩に担いだ。
 「そ、宗…!?」
 ドアを開けると広いベッドが置かれていた。
 部屋はフロア全部がモノトーンで纏められておしゃれで、宗によく似合っている。
 ベッドカバーも白黒でそのベッドに瑞希の身体を下ろした。
 「隣は一応瑞希の部屋な。でもベッドないから。このベッドちょっとでかいんだよな。瑞希のアパートの小さいベッドで瑞希抱きしめて寝るのもよかったんだけど」
 「そ、宗?」
 宗の手が瑞希の服を脱がせていく。
 「これからは好きな時に出来るから」
 「だ、誰か来たら?」
 「来ない。誰も知らないから。ああ、坂下は知ってるけど、俺がお前といるのに邪魔しに来ないだろ」
 宗が瑞希の首筋に舌を這わせる。
 「あっ…」
 ぞくりと官能が瑞希の体に走る。
 「声いっぱい出していいよ。フロアまるごとだから。ここの部屋」
 「だから、桁違いすぎる…」
 「慣れてね」
 くすくすと宗が笑った。
 「…新しいベッドなのにもう汚しちゃうなぁ…。あ、風呂も大きいから二人で入れるから」
 「……いやだ」
 一体何を言い出すのか!
 「嫌って言ってもダメ」
 宗の手は瑞希の着ていた物を全部脱がしていった。
 瑞希も手を宗の服にかけた。
 「俺、何もない、のに…」
 「瑞希の先を貰ってるんだから」
 「役に立つかどうか分からないのに?」
 「……役に立つから俺といるの?そういや桐生も同じ事言ってたな…役に立つかどうかなんて関係ないだろ。俺は瑞希と一緒にいたい。したいときにセックスしたい。だからしてる。役に立つ?別にそんなの求めていない。一緒にいたい………そうだな、瑞希は俺がもし会社失敗しました。明日から借金地獄ですって言ったら逃げる?」
 「逃げないっ!俺が食わせてく!」
 宗が笑った。
 「だろ?今は俺が食わせてく。でも俺がやってることはいつそうなってもおかしくない事だ。綱渡り。まぁ、潰す気はないけどいつそうなってもおかしくはないから。それでもいい?」
 「いい、に決まってる!」
 じゃあ、自分はお金を使わないでやっぱり貯めておこう。そしたらいつか宗の役に立つかもしれない。
 そう思ったら気が楽になった。
 「俺、一緒、いて…いい?」
 「……ほんと可愛いよな…4コも上なのに」
 瑞希はかっとした。
 どうしても最初の印象が強くて宗が年上に見えてしまうのだ。
 「頼られるの嬉しい…」
 宗が瑞希にキスしてきた。
 啄ばんで舌を差し込んでくる。
 「あ……宗っ」
 「名前、呼ばれるのもいい…瑞希は…?」
 「んっ……呼んで…宗っ」
 宗が瑞希を呼ぶ声が好き。
 ううん、なんでもいい。宗がいてくれるなら、なんでも…。
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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