夢の世界だ。
12月23日から瑞希はずっと夢の中をゆらゆらたゆたっているんだ。
ずっと誰も頼る人もいず一人で気を張って生きてきた。
母親にさえ捨てられた。
それが瑞希の精神を蝕んでいた。
女は裏切る。
多分そう思っている。
だからどうしたって女の子を可愛いなんて思えなかった。
だから男?
でも母親にさえ捨てられた自分が誰を信じる事ができるのか。
出来るはずなどない。
だから自分に壁を作ってきた。
幸いにも容姿は壁をつくる楯になってくれた。
綺麗だと称される容姿を武器にすることなど簡単だ。
それなのに…。
あの日宗を車でひっかけてしまって、動揺して取り繕う暇もなく思わず中に入れてしまって、それが膨らみすぎてもう後戻りできなくなっている。
何もいらない。
温かい宗が欲しい。
雁字搦めにして離さないと宗は言ってくれる。
そうしてほしい。
お金も豪華なマンションも何もいらない。
自分を欲してくれる人が欲しい。
宗は全部を与えようとしてくれる。
いいのに…。
高かったプライドはどこに行ってしまったのか?
宗になら、瑞希だけだというならば、金で買われてもいい。
離してくれないというならばいくらでも縛り付けて欲しい。
渇ききった心と身体は宗を求めて彷徨ってしまう。
これではダメだ。
依存しすぎる。
分かっているけれど初めての事に戸惑い、そしてそれ以上に求めすぎている。
宗が瑞希を欲しいと言ってくれるのが好きだ。
求めてくれれば安心する。
全部、全部…。
何でもする。
だから、お願いだから離さないで…。
「宗っ」
宗の指が瑞希の後孔を探ってきた。
「うつ伏せなって」
宗の手が瑞希の身体をひっくり返した。
宗の顔にあられもなく受け入れる場所を突き出すようにされれば羞恥が湧く。でもそれを宗が欲している。
いくらでも…。なんでもする。
だからお願いだから厭きないで。嫌いにならないで。
「あ、ああっ…宗……っ!」
宗の舌が瑞希の中に入ってくるのを感じた。
思わず腰が揺れ、もっとと言いたくなる。
だってそんな事してくれるなんて…。
宗も言ってたけど、そんな事好きじゃなきゃ出来ない。
だって宗は本当は男なんて好きでもなんでもないんだから。
嬉しい…。
瑞希は枕に顔を埋めて身体を震わせる。
「あっ!」
舌に加え、宗の指も感じた。
「瑞希…やらしい……ぴくぴくして…欲しい…?」
「欲し……宗……ちょうだいっ…」
言って宗が与えてくれるなら。
本当はいつでも欲しい。
声が聞こえるからいやだ、なんて建前だった。
それでも宗が求めてくれるなら瑞希は拒絶なんてしなかった。
でも宗は瑞希が嫌がる事は決してしないし、気遣って我慢するという。
なんで?我慢なんてしなくていいのに。
宗が瑞希を抱いていてくれれば瑞希は宗を感じられる。
宗が瑞希を欲して滾るのを感じられるのに。
「早、く……欲し、い…」
宗のいきり立ったものが瑞希に宛がわれたのを感じた。
早く…。
「あ、ああぁっ!」
みしみしと宗が瑞希の中に入ってくる。
もう何度も宗を受け入れているそこは宗を待ち構えているようだ。
圧迫感はあってももう痛みは感じないほど慣れていた。
そして続いて与えられる官能を待ち構えて瑞希自身ももう起ち上がっている。
「瑞希…気持ちいいんだ?」
「だって…宗が…してくれる……」
宗がゆっくり動き出す。
「瑞希、触んなくてももう先から零れてる…」
「んっ!…宗、もっと…してっ…ああっ!やっ……!」
宗が大きく腰を引いた。
そうしたと思ったら深く穿ってきて瑞希の顎が反った。
何度も何度も宗が腰を打ち付けてきた。
内壁が擦れ、そこから刺激と疼きが瑞希の全身を包んでいく。
「宗っ……!あ、ああっ……」
宗が瑞希の腰を押さえて激しく抽送を繰り返し、最奥まで深く突き刺してくると瑞希の奥に送の熱い滾りを感じ、そしてそれに瑞希もまた自分の熱を放出してしまった。
「瑞希…、まだまだだ」
宗が息を乱し、同じく乱れた息の瑞希の身体を仰向けに戻して首筋をきゅっと吸い上げた。
「あ、んっ」
思わず下肢に力が入り締め付けると宗が中でまた力を取り戻していくのを感じた。
テーマ : BL小説
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