三塚がシャワーの下でキスを繰り返す。そして鎖骨や胸にキスマークを残していく。
「…凪もつける?」
「ん…?ぁ…?……三塚に……?」
「そう」
いいのかな…と思いながらも三塚の鎖骨の辺りに唇をつけてきゅっと吸い上げるけれど薄く色づく程度だ。
「…なんか上手くつかない…」
凪が自分が三塚につけた痕を見て首を捻った。
「もっと強く吸って」
くすりと三塚に笑われて今度はもっと大胆に肌を吸い上げる。
「凪は色も白いからかすぐにつきますけどね…」
さわりと三塚の腕が凪の背を伝って尻を掴まれる。
「あ……ついた…」
くっきりと三塚の肌に凪のつけた自分の印が主張しているのに凪は満足した。
「いつでもつけていいです。俺は凪のものなので」
いつでも…?
「……もっと…いい…?」
「どうぞ?凪しか見ないので。……そういえば…キスマークつけられたのは初めてだな…」
「そ、そうか?」
「そう」
ちょっと嬉しいかも、と凪は照れてしまう。
…ずっと気になって、それでも三塚を信じようと思っていたけれど心のどこかに不安もあった。それがちょっと話してもらっただけでもこんなに安心してしまう。
「三塚…」
凪はシャワーに打ち付けられる下で三塚の首に腕を回した。三塚の手は凪の決して触り心地がいいとはいえない尻を撫でている。
「好き…なんだ…」
「俺もですよ。ほんとどうしようもない位…凪中心で物事を考えています。全部…凪は家にいるのに心配だし」
「………何もないのに」
「いや!だって立花来てるでしょ」
「そうだけど…」
「もうそれだけで心配。その他にも具合悪くしないかとかもね…倒れる所見てるから」
「……大げさだな」
「だって!心配にもなりますよ。あの時は真っ青な顔してて…今は一緒にいるから大丈夫だって分かってるからまだいいですけど」
「…うん…もうコンサートまで一ヶ月切ったけど…全然平気だ」
「……凪、俺全然弾いてるところ聴いた事ないんですけど…大丈夫…?いえ、大丈夫ってのはわかるんですけど…」
「うん。大丈夫だ。気持ちよく練習出来てる」
くすりと凪も笑ってしまう。心配はお互い様らしい。
「三塚…今はそんな事より…」
欲しい…。
肌が触れ、抱き合った身体の前は期待に勃ち上がっている。三塚のもしかり、で凪は自分からもぞりと腰を動かす。
「触るだけでいい?中にも欲しい?」
欲しい…と思うが…。
「僕は…おかしい…だろうか…?してほしい…なんて思う…の…」
男なのに…。じゃあ女にしたいのかと思えばそうじゃないし、男なら誰でもいいのかといったら勿論そうじゃない。
「俺限定で…ですよね…?」
「勿論だ!…他の誰かなんて…考える事も出来ない」
自分をずっと守るように…そして抑え込んでいだ心を解放してくれた相手だからこそこんなに欲しいと思うのだ。いや、自分が三塚を求めていたから心も開いたのだろうか…?どちらが先かなんて凪にも分からない。でも何にしろ凪が欲しいと思うのは三塚に対してだけだ。
「僕が自分自ら欲しいと…思ったのは三塚だけだ…何に対しても僕は受動的…だと思う…それに執着も薄いと思う…それを分かってなかったのが…ピアノに対しても自信にも繋がっていなかったし、生活においても精神的に弱かったんだと思う。あ…でも弱いのは変わっていないかも…。もし三塚が僕の前からいなくなったりしたら…きっと壊れると思う…」
「そこは自信持っていいですよ。いなくなるなんてないですから。…俺も自分にたった一人の人だけが欲しいと思う日がくるとは思ってもいなかった。セックスなんて気持ちよけりゃいい、溜まった欲を吐き出せりゃいい位でしかなかったんですけどね…。凪とのセックスは違う。身体もですけど心まで繋がっているように感じる…凪の全部が俺用に出来てるんじゃないかと思う位。俺がもういいや、と諦めていたピアノを思い出させてくれて、俺の作ったスイーツを毎日食ってたって幸せそうな顔してくれて…その顔が見られるだけで俺も幸せだなんて思えるなんてね…」
少し照れたように言う三塚が可愛くて三塚の頬をつかんで自分から凪はキスした。
「毎日…僕も幸せだと思える…。そんな風に思える日がくるなんて…思いもしなかったよ…」
「凪は結構強烈な過去ですもんね」
どん、と三塚の胸を叩くと三塚が笑っている。そんな風に冗談交じりにしてくれるのも凪にはありがたいんだ。
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