はのんのBL部屋

　三塚の車がアパートの駐車場に入り車を降りると三塚が荷物を持ち凪の腕を無言で引っ張っていく。ぐいぐいと引っ張られ、凪は止める暇もないまま引きずられるようにしながらもついていく。

　余裕もなく焦っている様子で、でもそれでも段差やエレベーター乗る時は凪の腰を支えるようにしてくれるのにちょっと笑いたくなる。
　べつに女性でもないんだけどな…と思うけれどあまりにも自然にするのと夜で人影もまばらだし大事そうに大切そうに扱われるのは嬉しいと思うので黙っておく。
　でも部屋までも三塚はもどかしそうで凪は思わず笑ってしまった。

　「……余裕ですね」
　三塚の低い声がさらに低く響いて凪は肩を竦めた。
　「…余裕じゃないけど…」
　凪だって早く欲しい。
　隣に立つ三塚をちらと見上げると瞳にはもう肉欲が見え隠れしていた。

　「すみません…部屋は本当に何もないですよ？とりあえず凪に追い出されたので一人ですぐ住めるとこで探したんで」
　「追い出してない！」
　「それと今日と昨日はお菓子作ってないんで凪の好きな甘い匂いは薄いですけどすみません…。ああ…ケーキ！何か用意しておけばよかった！」
　しまった！と三塚が舌打ちしている。

　「別に！匂いもケーキもいらない…」
　「でも凪好きでしょ？」
　「そりゃ…好き、だけど…」
　別に三塚に変わりないし…そんな事は気にしなくても…。

　「声だけで我慢して？」
　「だから！別に…」
　ぐいぐいと三塚に引っ張られる。
　そして部屋の前なのだろう凪を離して鍵を取り出すとそれももどかしそうに鍵を開けた。
　「！」

　ドアが開いたと思ったらすぐに凪の身体を引っ張り部屋の中に滑り込んだと思ったら荷物を放り出しもう唇が塞がれていた。
　「んっん…ぅ」
　キスしながら三塚が腕を伸ばして電気をつける。

　電気がついたと思ったら凪は体を抱き上げられ、靴は放り出し、そのまま敷いてあった布団に運ばれ組敷かれた。
　凪は燕尾服から着替えて普通にロンＴとジーパンだったが、もうベルトに手をかけられカチャカチャと外される。
　「や……っ」
　もう！？

　「だめ…待てない」
　貪るようなキスを少し落ち着かせ、だが唇は触れたまま三塚が囁く。
　三塚はスーツのままなのに！
　凪が三塚の上着を脱がせネクタイに手をかけ緩める。その間に三塚の手はもう欲しいと主張する凪の下肢はむき出しになっていた。

　一週間ぶり…なんだ…こんな風に近いのが…。
　ボタンを外していた手を三塚の首に巻きつけ抱きついた。そしてまたキスを交わす。
　離れないって言ったのに！いや、自分が悪いんだけど！
　さっさと三塚に話すれば離れる必要もなかったのに！

　…でも今日のコンサートの事を思えばよかったんだ。よかったんだけど…寂しかった。
　ずっと一人だった自分がこんなに変わるなんて。
　でも離れていても信じていたから平気だった。これがもし本当の別れだったらきっと耐えられなかったはず。
　舌を絡めて互いを貪っていると三塚の手が凪の肌を撫でていく。

　「創英には本当に何もされてないでしょうね！？」
　「されてないよ…部屋にシャワーもついてたし…。一日ずっとレッスンばっかりだったし…」
　「俺の痕べたべたつけてたから見ても萎えるでしょうけど…って…勃たないんでしたっけ？本当に？」
　「僕に確認されても知らないよ！でも…冗談でもそんな事言わないだろ…？」
　「まぁ…男としては同情しますが…」
　複雑そうに三塚も答える。

　「でもなんでそんな話に！？」
　三塚が凪を軽く睨む。
　「僕だって一応警戒はしてた…。それに気付いて…」
　はぁ、と三塚の手で肌を撫でられると熱い息が漏れてしまう。
　今は話なんかよりも三塚を感じたい。

　凪は自分から三塚の顔を引き寄せキスを求めた。舌を絡め口腔を貪る。熱い吐息に唾液が混じりあい口端を伝う。歯列をなぞられ三塚の舌が凪の口腔を犯す。
　もうそれだけでイってしまいそう…。
　早く…もっと…。

　足りなくて足りなくて…。自分からも舌を差し出し濃厚に絡める。もっと触れて、もっと感じたい。
　感じすぎてどうにかなりそうなのにさらにもっと、なんて…。すでに三塚のものも大きく勃ちあがっているし、凪のは欲しくてヨダレを垂らしている。まだ触れられてもないのに！触れられたらもうすぐにでもイってしまいそうだ。あまりにも甘く痺れて身体中がおかしいのにさらにもっとと欲求が大きくなってしまうんだ。　
　
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