「それで?」
「…それで?って何が?」
にたぁと光流が嫌な笑顔を浮べた。
「この唯の部屋のベッド使った跡がないじゃん?」
「そ、そ…れ、はっ」
わぁっと唯が慌てると光流がはぁん、ふぅんと声を漏らしてる。
「やらしー。でもシてないんだもんな。叔父貴…勃たねぇのかね」
「…………そう…なのかな…?」
やっぱり唯が女の子じゃないから…。でも昨日は学校があるからって…。
「はぁ?何言ってるの?唯」
「え…?…言ったの光流だけど…」
「ああ!もう!冗談も通じないなんて!どうせ叔父貴がやせ我慢しただけでしょ。一応いい年した大人でおまけに警察だし?ま、それも時間の問題だろうけど」
「…そう、かな…」
そうだといいんだけど…って、唯が自分からそうして欲しいって望んでるみたいじゃないか。でも昨日はドキドキして…。確かに抱っこされるのも好きだけど昨日航さんがやめちゃってほんの少しだけがっかりした気も…。昨日の時点では唯はいっぱいいっぱいだったはずなのに…。
きっと今日会った亜矢加さんとはそういう付き合いをしてたはず…だよね。大人の男女なんだから…。自分はまだ子供だし男だ。
「唯~?」
少しばかり落ち込んでしまった唯の顔を光流が覗きこんでくる。
「…叔父貴…ちゃんと言ってくんねぇの?」
「ううん…ちゃんと言ってくれる…」
子供扱いとは違うよね…?ただ唯が自分に自信がないだけだ。
「ならいっけど。あんま考えない方いいと思うけど?一応叔父貴は大人なんだから。大人なのに唯を囲っちゃって手元に置くなんてイケナイ大人だとは思うけど。唯を大事にしたいってのは見て分かるし」
「……ん」
光流の慰めに小さく唯は頷く。
「まぁそのうちに我慢の限界きてオスのスイッチ入るでしょ。きっと」
そうかなぁ…?昨日だってキスして体に触られたけど航さんはやめたし…。
それにしても光流は自分の身内なのにこんな唯を焚き付けるような…でいいのかなと思ってしまう。
「…ごめん」
「ん?何が?」
「だって光流の叔父さんなのに…」
「だから!それは別にいいってば。唯が可愛く幸せそうにしてるなら別にいいと思うし。叔父貴だってべたあまだしね。何言ったって無駄でしょ。気にしない気にしない」
ほんと光流って器がでかいな、と感心してしまう。唯の事だって変な力の事を知っても普通だし。
「それよりさっさと勉強しようか?唯ご飯作りとかするんだったら時間無駄に出来ないでしょ?」
「…うん」
唯の部屋を出てリビングに戻り、コーヒーを用意してからテーブルを挟んで床に座り光流に分からない所を確認していく。
「そういえば進路調査票そのうち渡すって言われたでしょ?唯はどうするの?」
「…どうしよう…?前はとにかくどこでもいいから大学に行って家を出ないと…ってばかり思ってたから、学部とかよりも一人暮らしするってそっちの方が重要で…」
「今はこうして叔父貴のとこいるし問題解決したもんね」
「…うん。光流は?」
「俺は法学部」
「…僕も…そうしようかな…。光流のお父さんに言われた警察にって…すごく嬉しかったし…。僕で役立つなら…そうなりたい…」
「いいと思うよ?…唯って強いよね。普通はそういう力、自分で望んだものじゃないのにそれで役に立ちたいって…避けるようにすると思うけど」
「…ずっと避けてたよ。でも今回の件で僕も役立つのかなって思ったし…。それに航さんも光流も知っても普通にしてくれて…。もうそれだけでいいかなって…」
「…安すぎ!…じゃ一緒のとこ目指す?」
「無理っ!光流は最難関大学希望でしょ?」
「まぁね。唯だって今から勉強すれば行けると思うけど?」
「………」
真面目に言ってるのだろうかと唯は疑わしそうな目で光流を見た。
「…とりあえず勉強は頑張る」
「まぁね。あ、叔父貴も同じとこ出身」
「………そうなんだ…」
「そ。だから唯もがんばろ?」
「………」
簡単に言ってくれる。…けど、受かる受からないは別にしても目標にするなら頑張れるだろうか?
「一応…考えておく…」
大学も光流と一緒だったら安心も出来ると思う。かなりハードルは高いと思うけれど…。
「じゃとりあえず今回の試験をがんばろうか」
光流がにっこり笑って唯も真面目にノートに向かった。
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