「もしかして今日も光流が来てたのか?テスト終わったのに?」
「うん。今日は勉強なしでゲーム大会」
帰ってきた航さんに唯が答えれば航さんがぷっと笑った。リビングのテレビの前にはゲームしてました、と言わんばかりの証拠にゲームが出しっぱなしになっていた。
「妬けるくらい仲いいな」
「そ、そんな…んじゃ…」
妬けるとか…!そんなこと航さんが言うなんて。
「まぁ、光流だからいいけど…。光流じゃなかったら気が気じゃないな」
「…そんな事…」
光流は好きだけど、恋愛の意味で好きなのは航さんだけだ。
「僕…好きなの…航さんだけ、だ…」
「…だといいんだが」
航さんが唯の頭を抱えると髪に軽くキスしてきてかぁっと顔が火照ってくる。いつも航さんはさらっとそういうコトをしてきてその度に唯は心臓が壊れそうになる位どきどきするんだけど…。
そういえば、テストも終わったし…今日は金曜日で明日明後日は学校が休みだ。
「あ、明日仕事休みなんだ。唯も学校休みだろう?」
「え?休み?」
「そう。どこか出かけるか?それとも光流と約束してる?」
「してないっ」
慌てて答えると航さんがくすりと笑う。
「勉強も頑張ってたし、飯の支度まで毎日してくれてたからな。出かけて夜はどこかで食べてこようか」
それって…デートなのかな…?
「行きたい所とかあるか?」
「え?…と…どこ…だろう…?あんまり出かけた事ないから…分からない」
出かける事は避けていた。人が多い所は勿論行けなかったし…。
「…人が多くてぶつかるような所は嫌だろうな…?俺が唯を抱えるようにしておけば問題ないかもしれないが」
「そ、そ…それはちょっと…」
唯はいいけど航さんに悪い。
「車でドライブで、適当に…とか?」
「…うん」
一緒に航さんと出かけられるだけで嬉しい。
それにしても…と唯は着替えをするためにだろう寝室に姿を消した航さんの残像を追うように短い廊下から視線を追った。
ずっと航さんは軽いキスとさっきみたいなスキンシップ位だけで、来た日のような深いキスもしてないし、そういう雰囲気にはアレ以降なった事がなかった。寝る時は唯が先に寝るようになって航さんは書き物をしたりパソコンをしてたりで、仕事をしているらしい。
唯の為に早く帰って来てるからそうしなきゃないのだろうか?とずっと引っかかっていた。
でも朝目を覚ませば航さんは唯の隣で寝ていて航さんの腕の中だ。
それが嬉しくて安心していられたけど…。
唯が試験期間だから…そういう事をしなかったのだろうか?それともしたくない…?
もう自分の中ではすっかり航さんのソウイウコトをされるのを待っているみたいだ。
…だって大人のチューは気持ちよくって…考える事とかが麻痺してしまう位で…。
唯は肌を航さんの手で撫でられた時の事を思い出してぞくりと身体を震わせるとかっと顔が赤くなったのが分かり首を横に振った。
「…何考えてるんだよ…」
小さく呟いてからご飯の用意しなきゃ、とはっとしてキッチンに向かった。
料理は簡単レシピを本とネットで見ながらこなし、お弁当も朝ちょっと早く起きて作るようになっていた。冷食の手も借りるけど、毎日買うよりはずっと経済的でなんだかんだといいながらも出来るものだ、と自画自賛だ。
元々不器用ではなかったし、ちょっと慣れた今は生活のリズムも出来上がっていた。
航さんの所にしてまる二週間になる。
航さんは優しいし唯の事を大事にしてくれているのはよく分かった。
そんな中で唯は安心する事が出来たし、初めての日だってぐっすり眠れた位で家にいた時よりもずっと安定している。家の事は色々しなくちゃないけど、それだって唯にとっては嬉しい事だった。家にいる時は何もしないで自分の部屋に引きこもりだったのに、今はご飯作ったりお風呂洗ったり、ちょっとの掃除とか洗濯物を片付けたりとしなければならない事があるのが、唯がここにいていいような気がしてしまう。
航さんはしなくていいって言ってくれるけど、仕事で忙しい航さんだし、何より自分がしたいと思ってるんだ。
「航さんにありがとうって言われるし…」
それだけで唯には充分だ。こんなに自分が変われるなんて思ってもみなかった。とても毎日が充実していると思えた。今まではただ毎日が早く過ぎればいいと思っていたのに…。
今はそうは思わなくなっていた。
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mm3さんいつもお気遣いありがとうございます~(T-T)
大丈夫ですよ~~^^b
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