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追憶の彼方には戻らない 92

 「唯…」
 航さんが唯の足を割り膝を立てられた。
 なんだかもういたたまれない。男同士なんだからそこまで意識しなくてもいいと思うのに、上半身でさえも恥ずかしいってどういうことだろう?

 いや、唯は下だって脱がせられて航さんの目に晒しているのだからやっぱり恥ずかしいは恥ずかしいだと思う。
 「えっ!?」
 グイと航さんが唯の足を掴んだと思ったら腰を上げさせられた。
 「やぁっ」

 足を曲げさせられて航さんの目の前に自分でも見ない場所を露に晒している。そこに…航さんを受け入れる場所に航さんが舌を這わせてきた。
 嘘っ!
 「やっ!ダメ…汚いよぉっ」
 唯が体を捩って逃げようとしたが航さんの手は腰をしっかりと押さえ自由にならない。

 「汚くない。綺麗だ」
 平然とした声で航さんが答えるとちゅくりと湿った音に合わせて航さんが舌を唯の中に差し入れながら蠢かす。
 自分の情けない姿と、そんなとこを舐める航さんの顔が見えるのがいたたまれなくて唯は顔を手で隠した。
 「よく解さないとな…」
 「やだ…」

 唯の主張など航さんは無視するつもりだ。勿論さっきは聞かなくていいから、とは言ったもののそんな事されるなんて思ってもみなかった。
 ざわざわとして身体が落ち着かない。
 「んんっ!」
 入り口あたりを蠢くだけだったのがゆっくりと何かが中に入ってくるのを感じた。

 「な、何?」
 「指」 
 「あ…やめ…やだっ…なんか変!」
 「大丈夫」
 大丈夫じゃない!ともう唯の中が大変な事になっている。

 「航さぁん…」
 泣きそうな声で航さんを呼ぶけど航さんはやめてくれない。
 「ちゃんと準備しないとダメだ。流血沙汰になってしまう。……それとも唯はもう本当に嫌か?」
 「…ずるい」
 そんな事聞かれたら嫌なんて言えないじゃないか。

 「確かにずるい聞き方だな…」
 航さんは苦笑しながらそれでも唯が嫌とは言わなかった事にだろうか?ほっとしている顔を見せた。
 「ゆっくりゆっくりする。唯が怖くないように…いいと思えるように…だから…進めていいか?」
 今度はずるくない聞き方で諭すように言われ唯はこくこくと小さく頷いた。
 本当は恥ずかしいし、すごく中に入れられた指が気持ち悪い。航さんが嫌というんじゃなくて…。

 「…ん!…いい。あぁっ」
 唯の中に入っていた指がぐっと中まで入ってきた。
 「んっ!?冷たいっ」
 「ああ…中の滑りをよくするのにな…ちょっとだけ我慢して」
 「や…ぁ」

 さらにぐちゅぐちゅといやらしい音が聞こえてくる。唯の中をかき混ぜて内壁をぐるりとかき回しそして航さんの指が出入りを繰り返す。
 変な感覚はどこかにいって今度はまた違う感覚になってくる。
 「はぁ!んっ!」

 「ん…ここか?」
 「や!何…これっ」
 「前立腺だな…。唯のいいところだ」
 ぐりぐりと航さんの指は容赦なくそこを刺激してきて唯の身体がびくびくと震えた。
 「ん…んっ」
 声を我慢しようと思っても我慢しきれず、航さんの指が唯のそこを刺激する度に体が跳ねそうになり声が出てしまう。

 指が中から抜けたと思ったら今度はさらに圧迫感が増えて中をかき回しはじめる。
 もう唯はどうなってしまうのだろうか…? 
 待って、とつい言いたくなりそうだけれど飲み込む。
 「航さんっ…」
 「唯…前もとろとろになってる…」

 「そ…ゆ事…あ、…んっ……」
 航さんの楽しそうな意地悪な言い方に唯はぎゅっと目を閉じた。恥ずかしい…けどどこか航さんが不安そうだ。見た目にそうは見えないんだけど、どうしてかそう思えてしまう。
 「で、ちゃう…」
 さっきも出したばっかりなのに航さんに弄られた刺激でもうぐちゃぐちゃになっている。

 「もうちょっと我慢だ…だいぶ柔らかくなってきたし…」
 航さんはずっと唯の入り口を広げるように、中の感じる所を刺激するように指の抽挿を繰り返している。最初は違和感しかなかったそこが別の感覚に支配されようとしている。
 「航さん…」

 唯がこの格好が嫌だなと手を伸ばすと航さんは唯の腰を下ろして顔を近づけてきたので腕を航さんの首に巻きつけ、そして自分からキスした。
 キスしたいとか、自分から求めるとかありえないと思いつつも航さんは唯がしたいようにさせてくれる。
 拙いだろうキスで航さんの唇にキスを繰り返していると航さんもすぐにそれに応えてくれて後ろだけに向かっていた感覚をキスに向けさせた。
 
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