「唯、明日の金曜日は学校終わる時間がちょっと早いはずだな?」
「うん」
木曜日、航さんが帰って来て晩御飯を食べながら聞いて来た。
「学校まで迎えに行くからちょっと本庁まで、というか光流の親父とあと何人かと会ってくれるか?」
「……力の事?」
「そう」
「………うん。いいけど…航さんもいてくれる?」
「勿論」
航さんがいてくれるならと唯は頷いた。
「明日詳しい話は言われると思うけど、夏休みに唯がよければだが、検査とか色々してもらうようになるかもしれない」
「…いいよ」
「血液検査とか、脳波とか…色々あると思うぞ?」
「いいよ」
航さんが眉間をしかめて難しい顔をした。
「血液検査とかは別に今まで引っかかった事もないけど…。航さん?どうしたの?」
「いや………。なんか珍獣とかそんなような扱いのようで引っかかってるだけだ」
「別にいいのに。だって人と違うのは確かだし…。むしろ人とどこか違うんじゃないかとか思ってたから分かっている人に調べてもらえると安心するかも。…僕は宇宙人じゃないかとか…小さい頃思ってた事もあったし…」
ぷっと航さんが笑った。
「宇宙人!」
「だって!」
「どこもかしこもちゃんと人だったけど?」
「ど…」
どこもかしこもって…!
「身体はな」
かぁっと唯の身体が火照ってくる。
確かに自分じゃ見もしないとこも航さんに見られてるけど!
「そ、ゆ…事言わないで…よ」
「本当の事だ」
航さんはさらっととんでもない事をたまに言う。
「じゃ明日学校まで迎えに行く」
「うん。あれ…でも航さんの仕事は?」
「唯の事も仕事の一環だろ」
「…そう?」
「仕事だけじゃないけどな。他の奴に唯を任せるわけにはいかないし」
またそんな事を言われたらかっと顔が赤くなってしまう。
ホント、航さんといると気持ちの動揺が激しすぎる。
金曜日のお昼休みに光流がまた唯の所に顔を出しに来た。場所を移動しながら人気のない所で話をするのはいつもの事。
「今日は航さん迎えに来て警察に行って来る」
「ああ。親父から聞いた。変な事言われたら怒れよ?あと嫌な事は嫌って言っていいからな?」
「嫌って…」
「まぁ多分唯に会うのはそういうのの専門の奴だろうけど…」
「そういうのって…特殊、の?」
「だと思う。俺が知ってるのも本当はかなりマズイ事だから何も言えないけど」
「…だよね。いくらお父さんと叔父さんが警察でも…」
「まぁ将来は俺も警察入るからいいけど。唯がそうだったから俺も知った位で警察内でも極秘だからね。親父にはかなり口酸っぱく口止めされてるし」
「そうなんだ」
「そりゃそうでしょ。いいけど、さっき言ったの忘れるなよ?多分叔父貴がついてるだろうから大丈夫だとは思うけど」
「うん」
唯が頷くと光流がはぁと溜息を吐き出した。
「もうしちゃったでしょ?」
「うん?」
しちゃった?何を?
「叔父貴に食べられちゃったでしょ?って事。案外持たなかったよな…。………捕まればいいのに」
「え!?……あ…」
そういうコト?と唯がぐわっと顔を熱くさせるとその唯の顔を見て光流がもう一度溜息を大きく吐き出した。
「耳や首まで真っ赤。可愛いけど…だよねぇ…。この間うちに叔父貴来た時の雰囲気とか…あららら…って感じだったけど。やっぱね…。しかしどうなの?30歳の警察が15歳の高校生に手出すって…」
「………」
認めるわけにはいかないので唯は無言だ。
「ホンッとダメな大人だなぁ…。元々何でもどうでもいい人だったけど」
「……航さん…光流から見てもそんな感じ…?」
航さんがぽつりぽつりと言った事を思い出す。
「そうだよ。言ったでしょ?唯の前の叔父貴は普通じゃないからね?あんなの見た事ないし。そもそも誰かに執着してるの見た事ないな。家族だって家族って感じじゃない人だったし。俺なんかおもちゃかパシリだと思ってたんじゃね?今は唯の友達、って認識でしょ。一応上辺はそうは見えないだろうけどね。…唯?」
「…え?あ、うん…航さんも自分で言ってた…」
「あ、そう?ふぅん…唯にはちゃんとそういう事も話しするんだ?」
「…うん」
「やっぱ特別なんだねぇ…ちょっと引くけど」
「え!なんで!?」
「なんでって…俺からしたら唯はなんで叔父貴がいいのかわかんね」
「自分の身内なのにぃ!航さんは優しいしかっこいいよ」
はぁと光流が呆れたように溜息を吐き出した。
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