航さんが窓際に立って上から光流の帰っていく様子を見ていた。
「大丈夫そうだ。マンション周りにも人もいないし、光流もつけられている様子はないようだ。…唯」
航さんがソファに戻ってきて唯は航さんの膝の上に乗っかって抱きついた。
「ねぇ、航さん!今日はどうして早いの?」
「昨日遅かった分、半日休みになった」
「…帰ってきた時航さんいて嬉しかったのに……光流いたから…チューしていい?」
「ダメなはずないだろ」
くすと航さんが笑って唯はその唇に軽くキスした。
「お前…わりと落ち着いてるな?」
「んん?光流がいたし…今は航さんいるし…だからかな?」
「そういえば江村くんと会ったって?」
「そう!光流がつけられてるかも、って確認するのに駅歩いてたら江村さんと会って!びっくりした!あのね、携帯の番号とアドレス交換したんだ」
「…よかったな」
よかったな、と言った航さんの声が堅い。
「ん?航さん?何?」
「何…って…別に」
ふい、と航さんが唯から視線を外した。
「航さん?」
唯は航さんの頬を手で挟んでぐいと正面を向かせた。
「…面白くねぇだけだ。光流はまぁ…仕方ないからいい。俺のものを取る気もないのも分かるし。ただ江村くんは分からないだろ。唯も…」
航さんの口調が荒んでる。
「僕が好きなの航さんだけだよ。あ、光流も江村さんも好きだけど種類が全然違う」
「一応分かってるつもりだ。でも面白くねぇというだけだ。みっともないから突くな」
「…みっともなくない…」
嬉しい、と唯は航さんの首に抱きついた。
「ね…僕も…みっともなくない?」
航さんの肩口に顔を埋めながら口を開いてみる。
「うん?」
「昨日…航さん帰ってこないかも、って電話きて、仕事って分かってるのに…亜矢加さんが一緒だって…ちらってそんな事思った…」
「ばかだな…」
航さんの声が優しく唯の耳に響いて耳にキスの音も聞こえた。
「だから…朝目が覚めて航さんいたのがすごく嬉しかった」
「唯…」
今度は航さんが唯の顔をあげてキスしてきた。
航さんのキスは重ねるだけでなくて舌を絡める濃厚なキスだ。
「ん…ふ……ぅ」
顔の角度を変え何度も舌を絡めて吸われて、唾液が溶け合う。
「何度でも言う。唯だけだ。唯以外もう誰も欲しいなんて思わない。今までだって欲しいと思った事もなかったんだからな…」
「僕も航さんだけ」
「うーん…唯はまだ若いし分からないだろ?」
「分かる!だって…航さんだけが僕の特別なんだもん。こんな風にべたべた出来るの航さんにだけなんだ…」
唯が航さんの口にちゅっちゅっと軽くキスを繰り返していると航さんがぐいと唯の身体を抱いたままソファに横に倒してきた。
「煽るなって言ってるだろう」
「煽ってないよ!」
「煽ってる。ホント…可愛い」
「…可愛いって意味ワカンナイんだけど?」
「可愛いは可愛いだ。いう事もやる事も全部可愛い」
恥ずかしいな、と唯がもじもじすると航さんが意地悪そうな笑みを浮かべた。
「唯?ちょっと堅くなってるけど?さっきのキスで感じたのか?」
「…」
そこは黙っててほしいんだけど、と睨むけど航さんには全然効かない。
そっとしておいて欲しいに航さんはまたキスをしてきた。
唯の口腔を航さんが舌で嘗め回しちゅくちゅくと音が漏れればそれだけでやらしい気分になってくる。
「やぁ…ん」
「なんで?」
「だって…まだ明るいし…」
まだ夕方の4時過ぎで部屋の中は全然明るい。
「明るくたってキス位はいいだろう?あれ?やらしい事して欲しかった?」
「違うっ!」
かぁっとして否定するけどそれが全然否定になってないって唯だって分かった。
「だってもう唯のここがして欲しいって言ってるけど?」
航さんが唯の前をさわりと撫でる。
「言ってない!…や…だめっ。意地悪」
「…だから…それが煽るだけだって言ってるのに…」
はぁと航さんが脱力した声で呟く。
「じゃあ唯に選ばせてやる。今がいいか?夜がいいか?」
「………夜」
「了解」
軽いキスをして航さんが身体を起こし、唯の手を引っ張って唯の身体も起こしてくれた。
「じゃあ夜にたっぷり、ね?」
「…それは…ちょっと…」
「明日に響かない程度で」
航さんが楽しそうに肩を揺らして笑っていた。唯は大丈夫かな…とちょっとだけ不安になった。
たくさんのポチいつもありがとうございますm(__)m
にほんブログ村小説(BL) ブログランキングへにほんブログ村 BL小説