学校は二期制なので終業式もなく、成績表もただ普通に渡された。
中を確かめてみればクラスで6位。学年でも30位内に入っていて光流に感謝してしまう。
その光流はきっと学年一位なんだろうけど。
つくづくずるいよな、と思ってしまう。
唯が一所懸命勉強してる脇でゲームしてたのに…。
こんなんで同じ大学に入れるのだろうか、とちょっと不安はあるけど、まだ先はあるから頑張るだけだ。
夏休みの宿題以外にも問題集とか買って自分でやろうと目標が出来て前向きだなんて自分をちょっとだけ褒めたくなった。
「やぁっと夏休みだねぇ~」
毎日暑い日が続いていたけれど唯の気分は上々だった。
亜矢加さんの事は気になるけれどその気持ちも少しは分かるから。
航さんも光流もあれ以降何も聞いては来ない。一応まだ警戒して学校帰りには光流が唯について送ってくれていたけれど、何もおきてはいなかった。
「土日は光流はまた道場?」
「そう。唯は?叔父貴の休みは日曜だっけ?」
「うん。実家に行く予定なんだ。成績表と前に買ったやつ…まだ持っていってないから」
「…ばたばたしてたからね」
嫉妬やいろいろな事で黒く染まりそうだった心が、航さんがそれでもいいと言ってくれたおかげで軽くなっていた。まだ全部がなくなったわけじゃないけれど、それを変に隠す事もなくていいと航さんがいってくれたから。
「夏休み、唯は色々検査とか、って言ってたよね?」
「うん。江村さんと会えるのも楽しみなんだ。…江村さんも心配してくれてメールとかくれてたし…」
「あの人も綺麗な人だよねぇ」
「だよね!」
「唯は可愛いも入るけど、あの人はちょっと人から離れてるような綺麗さだよね。でも唯と話してる時はそうでもないようだったけど」
「…そう?」
「そ。あ、俺も行っていいような日あったら誘って?」
「うん」
「ESPカードとかやってみたい~!俺にもなにかないかな…」
「あってもいい事ないのに…」
「そんな事ないでしょ。唯と仲間になれるしね」
「………光流は友達でいい」
唯の事を知っても友達という存在が特別なんだから。
「か~わい~」
光流が唯の頭を抱きしめて頭をぐりぐりと撫でる。
「…馬鹿にしてない?」
「してないって~」
人がいる所でも光流にこんな事されても全然平気だけど、もし相手が航さんだったらそうはいかない。やっぱり意識が全然違うんだな、と変な所に納得してしまう。
光流に触られるとき勿論声も聞こえてくるけれど、だいたい口で言ってるのと同じ言葉が聞こえてくる。
最近は少しは光流に触られるのも前よりは構えなくなった。ちゃんと光流は分かっていて触ってくるから、だから少しは大丈夫だ。
そのまま光流とマンションに帰って来て飲み物を飲みながら宿題を早速広げて少しでもやってしまおうと光流と頭を並べた。
「あ、そういえば光流は学年一位?」
「当然」
「………あ、っそ」
そうだろうとは思ってたけど。
「唯は?」
「30位内に入ってた」
「お!すごいじゃん!じゃあ大学も頑張ればやっぱいけるんじゃない?」
「…そうかなぁ…?頑張るけど。一応」
「もし不安だったら江村さんに家庭教師頼むとかしてみたら?」
「あ…そっか」
「唯の事も知ってるしね」
「…いいかも」
「どういう勉強して大学受かったかとかも聞けるでしょ?」
「そうだね!あ…でも…航さんがあんまいい顔しないかも…」
「は?なんで?」
「…えっと…」
嫉妬してとか言ったら笑われそうだ。
「もしかして叔父貴ヤキモチか?ばっかくせ…」
はんと光流が呆れた笑いを漏らした。
「いいじゃん。勝手に嫉妬させとけ。唯が迷惑被ってる分やきもきさせればいいんだよ」
「……光流って航さんには辛辣だよね。自分の叔父さんなのに」
「同族嫌悪があるのかもね」
似てるって認めてるんじゃん、とは突っ込まないでおこう。
「どう見たって百合にしか見えないってのにね」
「?」
百合?何それ?
きょとんとすると光流がけたけたと笑う。
「意味わかんないんだ?叔父貴に後で聞いとけ」
「……」
なんかいい意味合いではなさそうだけどと思いながら唯は頷いた。
その後帰ってきた航さんに意味を聞いて本当にろくな事言わないな…と唯はガックリきてしまった。
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