2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

熱吐息 piacere~喜び~5

 マンションに着いて宗は瑞希の腕を引っ張って部屋に入った。そのまま瑞希の着替えの置いてある部屋に入ると、宗が無言で瑞希のスーツに手をかけて脱がせていく。
 「そ、宗?」
 「…着替え」
 宗の成すがままにされて、Tシャツを着せられる。
 着替えを終えるとソファに連れて行かれ、宗が瑞希の身体を足の間に入れて背中ごしに抱きしめてきた。
 何から話せばいいんだろう…?
 「……宗…?」 
 「…………俺は瑞希を好きだと言った」
 「………」
 瑞希は宗の言葉に顔を俯けた。
 「…何が不安だ?…ずっと、だろう…?」
 「………ずっと、だよ……俺、宗に釣り合わない……」
 「は?釣り合う?なんだそれ」
 「だって、…宗は……かっこいいし、なんでも出来るし…、会社だって自分でしようとしてる位だし…俺なんて、……親にも捨てられた、んだよ…?」
 ぐっと宗の抱きしめる力が強くなった。
 「…瑞希はそれがトラウマになってることは分かってる。…でもな、俺は離す気ないから。…って何度も言ってるんだけど、全然信用ねぇんだよな……」
 はぁ、と宗が溜息を吐き出した。
 「…いいよ。信用なくても、お前が逃げようとしたって掴まえにいけばいいんだろ?」
 「…逃げない…」
 「嘘だ。二回目だろうが。桐生の事も誤解して、また」
 「だってっ!……手、握ってた、……」
 「は?いつ?」
 「………」
 宗が頭を捻って考えて込む。
 「ああ!あれは是非お前を紹介しろって頼まれてたんだ」
 「……はい?……俺?」
 何故?
 「お前と一緒に歩いてる所を見られたらしい。ちゃんと瑞希は俺のものだからダメだと断ったんだが、それでもいいから、と…」
 宗が困った様にしていた。
 「え……?」
 瑞希は宗に振り返った。
 「え?ってなんだ?……瑞希は俺のものじゃないのか…?」
 「ううんっ!…宗ので、いい…」
 宗がにっと笑った。
 「…俺は?」
 「宗…は…?」
 「誰の?」
 「………俺の、で…いい、の…?」
 「当たり前だろ。誤解する位だったら、それで瑞希が一人でぐだぐだなる位だったら乗り込んで来い。まぁ、どれも誤解だと思うけどな」
 「そんなの…出来ない……」
 「していいから。別に俺は隠す気ないし」
 「え?」
 宗が瑞希の顎をぐいと掴んで唇を重ねた。
 「瑞希……」
 宗の吐息が熱い。
 瑞希は体勢を変えて宗の首に腕を回した。
 「やだ……俺…宗、…全部、欲しい……」
 「……全部あげてるつもりなんだけど…。まだ足りない?」
 「足りない…っ」
 「いくらでも、好きなだけやるよ。だから…逃げるな」
 「宗…っ」
 ぎゅっと宗に抱きついた腕に力を込めた。
 「怖いんだ……宗に…嫌われたり、飽きられたりしたら……」
 だって瑞希の事を知ってもいてくれたのは宗だけだ。
 「とりあえず嫌いなとこはない。……瑞希こそ、嫌にならないか?」
 「……?宗を?どこが?」 
 「上司の携帯まで連絡入れて勝手に追いかけるような奴で」
 「…………嬉しい、から」
 だってそれ位宗が瑞希を必要としてくれた、って事だ。
 「もっと……離さないでいてくれた、ほうが、いい……から…」
 宗が瑞希の唇を啄ばんだ。
 そして宗の手がTシャツの中に入り込んでくる。
 「そ、宗……」
 瑞希の声が掠れた。
 全然宗は今週はしてくれなかった、けど…。
 「…して、くれる…の?」
 「…くれる、って……」
 宗が絶句してた。
 「だって……宗、もう…俺、して…くれない、かと…」
 はぁ、と宗が溜息を吐き出した。
 「前もそうだったな…。お前がひどいと思って……仕事も大変だし、帰って来ても食事用意だなんだって動いてるし、胃も完全に治ってないと思って……。足りなかったんだ…?」
 「…足りない、……」
 「だったら言えよな。俺我慢してたのに」
 「……我慢しなくていい、のに……俺、いつでも、宗…に、して欲しい…」
 瑞希は耳まで真っ赤になる。こんな事言うのなんて恥ずかしい。
 「……やっぱ俺ばか?必死に我慢してあげく瑞希は帰ってこないし?」
 「だって……宗…女の子と……」
 「はいはい。俺が悪いんです。これから人と会うときは瑞希いる時にするから」
 「そんな、事…しなくて…」
 「だってそれでまた誤解されたら俺は気が気じゃない」
 宗が嘆息した。
 
 
 
 

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク