どうやらドライでイってそのまま唯は気を失うように意識をなくしてすうすうと穏やかな息を漏らし始めた。
唯の中から抜けるときに唯がん…と声をあげたけど目覚める気配はなさそうだ。
…ヤりすぎたか?
唯の身体をシーツで包んで抱き上げ風呂場に運ぶ。
軽い細い体を抱きあげるのは余裕だ。
安心してるのかお湯で身体を流しても唯はもう目覚める気配が全然ない。…疲れ果てたというのもあるのかもだが…。
白い身体に鬱血の痕がかなり散らばっている。
「うーん…」
今まで学校があるのにキスマークはいかんだろ、と我慢してた分が全部出てしまって唯の体が怖い事になっている。
…引かれたらどうしよう?
いい年してがっついて…。それでも唯は全部を許してくれるだろうけど。
つけた本人が見てもちょっと、と思う位のキスマークの山をつけられた唯が見たら…。
「ま、いっか…」
これ位で嫌われはしないだろう。…多分。
「あ、しまった…」
そういえば唯を署に連れて行かないといけないんだった。身体検査とか脳波とか取るって言ってたが…脳波だったら服を脱ぐことはないだろうが、心電図なんかもとるのだとしたらヤバイ。
バレるのは別にいいけど、唯は憤死しそうな位恥かしがるだろう…。それに見られるのも勿体無い。
いや、勿体無いじゃなくて…。
どうにもこんな独占欲が初めてで勝手が分からない。
「唯…」
唯の髪を撫で、身体を綺麗にしてから風呂場を出て横抱きにしながら体を拭いていく。
後ろも確認すれば赤くはなっているけど傷もついてはいないようだったのに安心する。
そのまま何も着せないで寝室に運び唯を横にしてからシーツを出してセットし、唯を移動させもう半分もセットしてから肌布団をかける。
ついていた風呂場の電気などを消して再び寝室に戻り、ベッドに潜りこむと唯の身体を抱きながら目を閉じた。
唯が来てからよく眠られる。
毎日が充足に満ちている。
生まれてから一度も味わった事のなかった感覚だった。
別に親とも確執があったわけでもなかったし何があったわけでもない。それなのにいつでも飢えていた。どこか全部に冷めていた。付き合った女にもそれを埋めることは出来なかった。むしろ誰かといるとかえって眠られなく位だった。
誰かを大事に思う事もなかったし、自分はそれが普通なんだと思っていた。
それがこんな15も下の高校生に夢中って…。
腕の中で安心したように眠る唯の髪をかきあげ額にキスする。まだ子供といっていい位にあどけないのにセックスまみれにしてるのはちょっとばかり心苦しい。それでも止まれないんだから…。
しかも無意識でも意識してでも煽ってくるし。
真面目な唯はセックスにも従順だ。まだ幼いといっていい位なのに官能に染まるとエロい気が炸裂して毎回それに持っていかれる。
アンバランスさがまたそそるんだからどうしようもない。
綺麗で可愛い子だな、と最初は思っただけだったのに。
光流と同じ年とは思えない位に見た目は幼い。でも中身はそうじゃなかった。
自分よりもずっと大人で懐が広い。
亜矢加と対峙していた時の亜矢加の唯に対する言葉に愕然とした。でも唯はあれが普通だと言う。あんな目と言葉を向けられそれを唯はずっと一人で抱えてきたから精神的に大人なのだろう。
でも自分にだけは甘えたいと素直に身体を預けてくる。
それが途轍もなく嬉しくて幸せで満足する。唯が安心出来るのは声が聞こえない自分だけなんだ。別に聞こえたからといって不都合はないのだが、唯の中でそこが特別になっているのでそれで十分だ。
でも唯を甘やかせてやりたいと思っていたのに、実際甘やかされているのは自分の方だ。
仕事から帰るのが楽しみになるなんて思ってもみなかった。
一緒に住もうと自分から言い出したが初めは果たして自分が誰かと生活するのに耐えられるかと思っていたけれど杞憂だった。どこもかしこも可愛くてかえって盲目的になった位だ。あげくに安眠まで確保できるようになるなんて。
暑いのでクーラーをつけたまま唯を腕に抱いて眠るのが心地いい。冬もきっと寒い中唯を抱いて眠るのも心地いいに決まってる。
「唯…」
小さく呼ぶと唯がすりと擦り寄ってきた。
愛情に飢えていたはずなのに唯は素直で可愛い。両親も接するのにどうしていいか分からない所もあったけど愛情がないわけじゃなかったからだろう。不器用な愛だった。けれど、そこに感謝する。おかげでまんまと唯を連れ出して自分の中に閉じ込めておくことが出来るようになったのだ。
「…おやすみ」
規則正しく漏れる唯の寝息を聞きながら航もゆっくり目を閉じた。
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これで航×唯は終了です~^^
お昼からスピンオフ入ります。143pあります^^;
ちょろちょろと唯も出てきますので(^m^)
よろしくお願い致します~~m(__)m
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