「すげぇね…」
光流くんが昼でご飯を食べながら目をキラキラさせていた。
ちなみにお昼は武川刑事におねだりして買ってもらってたというちゃっかりさだ。
「唯のは直接聞かれちゃってるし分かってたけど、それ以外ってのも。びっくり。地図見て場所特定って…不思議すぎる。そういえば江村さんの透視ってどう見えるの?さっき俺がやったESPカードとか」
「裏面が透けて見える感じ」
「透けてるけどはっきり見える?」
「そうだね。なんでも透けて見えるから教科書や本を読むのが結構目が疲れる」
「うわぁ…それは確かに辛そう。唯もだけど自分でセーブできればいいのにねぇ」
「…セーブって考えた事もなかった」
唯くんが呟き、克巳も頷いた。
ずっとそのようなものだと思ってセーブするなんて考えた事もなかった。
「使おうと思って使ってるわけじゃないんだもんな…」
うーん…と光流くんが呻っている。
保護者組はただ黙って話を聞いているだけで克巳は光流くんがいて助かった、と思った。
尾崎がそこにいるのは分かっているがやはり今日は全然尾崎の姿を目に出来ていない。そのくせ気配は神経を尖らせているかのように存在を感じていた。
午前中は今まであった事件の中から地図を見て場所をさがしたり、ひき逃げの車をあてたりとかお試し的な事をさせられた。
克巳も唯くんも熊谷さんもなにしろよく分かっていない事なので手探り状態だ。
もし次に大きい事件が起こった時にどれ位の情報を知る事ができるか分かっていれば事件解決に大きい影響を与えるのだ。
それが分かっているから勿論克巳も協力するし、熊谷さんも興味本位ではないのがちゃんと分かっている。
化け物扱いじゃなくてちゃんと人として見てくれているから。
まぁ、役に立ちそうだからというのもあるだろうけれど。
午後もそれは続けられた。
やはり人に関する事だと大きく感じられるらしい。だがどうにも曖昧で、写真を見ても何一つ感じない事もある。
そしてやはり、見るが強い克巳の方が、聞く唯くんよりもそういった事は感じ取りやすいらしい。
唯くんが分からなくとも克巳だけが感じる時も何回かあった。だがその境目がどこという線引きができなくてやはりその場その場でやってみないと分からないか、という事になった。
ただ、場所だったり、車種だったり、人物だったり、ものは違えど感じ取った物事に関してはハズレはなかった。
感じ取りさえすればそこに何かがあるという事だ。
それが分かっただけでもいいか、という事になった。
そして今週は八月に入る週なので予定のある唯くんも、法事の入っている克巳もしばらく休みという事になる。
「色々しちゃって疲れてない?力がなくなっちゃうとか…ないのかな?」
熊谷さんが少しばかり心配そうに言った。
「…そういうのはないですね。精神的な影響とかもないし」
「僕も。なくなるならかえっていいんだけど…」
「ああ~!そういう事は言わない!ダメダメ!」
熊谷さんが慌てたように手をばたばたと振っていた。
「やっと出来た貴重な人材なんだから!」
「聞いてみたかったんですけど、俺達以外にいないんですか?」
克巳は今まで聞きたいが黙っていた事を聞いてみた。
「まだいないねぇ。…本当はいたんだよ。いやそれも嘘だったんだけど。…マジックモドキだったんだよね。部署作って…俺も抜擢されて。でもまがい物だったわけで…。解散かな、と思ったら江村くんが来てくれたんだよね!いや、助かったよ。俺無職になるとこだった」
あはは、と軽く熊谷さんが笑ってた。
「まがい物…だったんだ…?」
「そうそう。で、唯くんまで現れて、おまけに事件まで解決でしょ?ホント助かった」
確かに成果をあげられないなら必要ない部署になってしまうだろう。
今の所克巳も唯くんもあくまで協力者なだけだけら関係ないといえば関係ないのだが…。
「将来はここに就職希望ってことでお願いするよ。マジで。人の為というか是非俺の生活の為にまず、お願いしたいなぁ…」
「唯、そんなの考えてやる必要ないからな」
「克巳も、自分が嫌ならいつだって辞めていいです」
すかさず武川刑事と尾崎が後ろからキツイ一言だ。
「うわぁ…警察側のはずなのに味方がいない…」
とりあえず辞める気はないけど、と唯くんと顔を合わせてくすりと表情を緩ませた。
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