克巳から重ねた唇は先ほどの激しい奪うようなさっきのキスと違い今度は甘く繰り返される。
尾崎は何度も唇を軽く重ねてから尾崎の舌が克巳の唇を舐め、そっと克巳の口腔に忍んできた。
「ん…ぅ…」
唇を啄ばまれ、舌が克巳の舌を捕えると絡めてくる。でもそれは先ほどのようにただ一方的にされるものではなくまるで克巳を味わうかのように濃厚に絡んできた。
くちゅりと湿った水音が克巳の耳のも届き、そして体が熱を持って疼いてくる。
「ん…ふ…」
唇の狭間からは熱くなった息が漏れてしまう。
「…克巳」
絡まった唾液を舌で掬うようにして、さらに軽いキスを繰り返しながら尾崎は名を呼んだ。
体から力が抜けそうになると尾崎がぐいと克巳の体を抱き寄せた。
「…感じているんだ…?」
また馬鹿にされるのだろうか…?
かっとしたが自分の反応してしまっている体は嘘をつけない。しっかり密着した尾崎に分かられてしまっている。
「…嬉しいですよ」
ちゅ、と耳元にキスの音が響いたと思ったらぐいと体が持ち上げられた。
「あ、…」
どこに、と思ったら尾崎がそのまま克巳を抱き上げて寝室に向かう。
「ちょ…っ」
まだ昼になろうかという時間なのに…?
部屋はエアコンが効いて涼しくなっているが、外は眩しいくらいの天気なのに何を…?
まさか昼寝、なんてわけじゃない…よな…?
とさっと克巳の体は尾崎のベッドに横たえられる。
「…尾崎…?」
「…きついでしょう?」
尾崎が克巳の耳朶を舐めながら囁いた。
「俺もです」
ぐいと尾崎の腰を押し当てられると尾崎のものもすでに完全に屹立しているらしい。
かっとして克巳は顔を手で覆った。
またこの間みたいにするのか…?
「この間は最後までしませんでしたが……いい…?」
そっと尾崎の手が克巳のジーンズの上から後ろを撫で上げた。
「こ、んな…時間……な、のに…」
「関係ないです。…欲しい」
尾崎が克巳の手を離しながら克巳を見ていた。
銀縁の眼鏡の奥の瞳が劣情に焦れていた。
欲しい、と…克巳を欲しいと尾崎は言うのか…?
「ダメなら逃げなさい…」
克巳は逃げる事など出来ないのに、尾崎はそんな事を言う。
「…に、げ…ない」
「どうして…?」
尾崎の手が克巳のTシャツを捲くり肌に触れてきた。
「あ、ぁ…っ」
それだけで克巳の肌はもう自分の物ではないように熱を上げていく。尾崎の目が欲しいと訴え、手は克巳を煽るように肌の上を這い、唇が体のあちこちにキスを落としていく。
どうしてって好きだからに決まっている。でもじゃあ尾崎はどうしてこんな事をするんだ?
欲しいとか逃げなさいとか、何故そういう事を言う?
「……いいんですね?」
尾崎が克巳の体から手を離し、克巳の顔をじっと見てからゆっくりと眼鏡を外した。
「…俺…男だけど?」
「当然知ってます。この間触れたでしょう?」
眼鏡を外した尾崎はヘッドボードに眼鏡を置いてくっと笑った。その顔が男の色気に満ちていた。
「男だからなんて関係ない」
そう言いながら克巳のTシャツに手をかけ脱がせた。
真昼間からって…。
一体自分は何をしているのだろう?尾崎は欲しいとは言ってくれたけど、キスもしてくれたけど、好きという言葉はない。
好きじゃなくとも出来るって事だろうか…?
それでも…いい、と思う。尾崎が自分に感じて欲しいとさえ思ってくれるなら…。
「…尾崎は…付き合っている相手は…いない?」
「……いませんけど?…克巳はいるの?」
「いるわけないっ」
友達さえいないって言ったはずなのに尾崎がそんな事を克巳に聞いてくる。でも尾崎の口からいないと聞いてほっとした。
「……克巳?なんでそんな事…」
「なんでじゃない…」
ふいと克巳は尾崎の視線から目を背けた。
気になるに決まってるじゃないか。そして甘い期待をしたくなるじゃないか。
でも尾崎が今つきあっている相手がいなくて…だからこの間もたまたま克巳が身近にいたからああなったのだろうか?
そして今も…?
「…ちょっと…克巳?」
「…え?」
尾崎が焦ったような表情になって克巳の頬を包んだ。
「…もしかして…全然…分かってない…?」
「…何が?」
はぁ、と尾崎が溜息を吐き出し、克巳の肩に倒れ込むように顔を伏せた。
「あ、の…?」
克巳は尾崎に何かされる度にびくりと体をびくつかせてしまう。
それにも尾崎ははぁと溜息を吐き出した。
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