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追憶の彼方から放されたい 57

 うっすら目を開けると尾崎の腕が克巳を抱いていた。
 「ぁ…」
 時間は何時だ…?
 尾崎のアパートに来たのは昼前だったはずだが、窓から入ってくる光はどうやら大分傾いているらしい。

 …いったいどれくらいしてたんだろう?
 身体中がみしみしと音がしそうだ。
 初めてだったのに何度も受け入れた場所はまだ何かが挟まっているような感覚だ。
 「…っ!」
 ちょっと力をいれただけで悲鳴が漏れそうになる。

 「…手加減しろよな…初めてなのに…」
 「すみませんね。反省してます」
 独り言のつもりで呟いたら克巳の身体を抱きしめていた尾崎から返事が返ってきた。そしてくくっと尾崎が笑いながら克巳にキスしてくる。
 恥ずかしいな、と思いながらも克巳は表情が変わらないように気をつけた。

 「……お腹すいた」
 「ですね。昼も食べないでずっとしちゃってたから。……そうですけど、色気ないな…」
 はぁと尾崎が浅く溜息を吐き出した。
 「…色気なんて求めるな」

 「いえ?十分してる時はたっぷり煽られまくりでしたけど?おかげで止まらなかった」
 表情を変えないようにと思っていたのにぶわっと顔が熱くなってくる。その克巳の顔を見て尾崎が満足そうにくすりと笑うとまた軽くキスしてきた。
 尾崎の腕は克巳を抱きしめたままで何度もキスを繰り返していたがだるい手を上げて尾崎の顔を押さえた。

 「…だるい。動けない」
 「いいですよ。動かなくて。今日も泊まっていってください」
 「…いいなら泊まる」
 「いいに決まってるでしょう」
 尾崎と寝るのは好きだ。体温を感じるし温かい。

 「…でも…もう無理…なんだけど…」
 「うん?」
 「ちょっと…もう…体力的にも…」
 また夜もなんて…いくらでも気持ち的には受け入れたい気分だが…。
 「いや!それ位我慢しますから!がっついてましたけどいくらなんでもさらにまたなんてしませんよ」
 尾崎の言葉に思わずほっとしてしまう。

 「あのね…どんだけ節操なしだと思ってるんですか…」
 「だ、って…」
 もう無理、って何度も言ったのに尾崎が止めなくて…何度もされて後のほうは何言ってたか自分でも覚えてない位だ。
 「すみませんね…暴走しちゃって。克巳が可愛くてエロくて止まらなくなっちゃったもんんで」
 そういえば…身体もベッドもぐちゃぐちゃになっていたはずなのにその気配が全然ない。

 「?」
 「何?」
 「いや…その…身体がさっぱりしてる…」
 「そりゃあ流しましたから。いくらなんでもそのまま放置しませんよ」
 「あ、そう…?アリガト…?」
 「どういたしまして」
 クックッと尾崎が笑う。

 「………アンタ…さっきから笑いすぎ」
 克巳のだるい体を尾崎が離した。起きるつもりだろう。尾崎が下をちゃんと穿いてたのに克巳はほっとしてしまった。
 「いや、だって克巳が可愛くて」
 「それは間違ってると思うけど?」
 「間違ってませんよ?さて、何か食べ物作ってきますよ。あるものになっちゃうけどいい…?買い物も行かれなかったし」

 「……なんでもいい」
 何もできない克巳が我儘を言えるはずもない。
 「何あったかな…ああ、克巳は家の方に連絡入れといてください」
 尾崎が克巳のバッグを取ってきてくれて手渡された。

 「家では何も聞かれたり言われたりしないんですか?」
 「しないよ」
 「…ふぅん」
 尾崎は上半身裸のまま寝室を出てキッチンの方に行くと何やら始めたらしい。

 身体が動いたとしても手伝いも何も出来ないが、今日はとにかく動くのも億劫だ。尾崎がこうしたんだから責任持たせてもいいだろう、と克巳はベッドに転がったままバッグから携帯を取り出した。

 「もしもし克巳です。今日もこの間お世話になった尾崎の所に泊まる。…え?ああ、具合悪いわけじゃないから大丈夫」
 電話に出たのは家政婦だったが、この間熱を出してしまった為かまた熱でも出されたんですか?と聞かれて妙に焦ってしまった。
 そしてそれで切れると思いきや、身元も大丈夫なんですか?と聞かれた。父親がアレだし心配するのも分かる。

 「大丈夫だ。尾崎は警視庁の刑事だよ」
 それを言えば安心したのかあっさりと電話は切れた。
 「はぁ…」
 どうにもほんの少し後ろめたい気がしないでもない。セックスのしすぎで動けないとか…いや、動けたにしても帰る気はなかったかもしれないが…。

 尾崎が動いている音がする。そして自分の自由にならない重い自分の体に本当にしたんだ、とじわりと実感してきた。
 
 
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