「じゃあ、何か?尾崎は俺の嫌なとこ見つけたら捨てて逃げるのか?」
「まさか!」
「アンタは普通の人だ。俺は…普通じゃない。もしかしたら宇宙人かもしれないじゃないか。普通の人があんな力なんか持ってないだろう?」
「キミは人です。強い綺麗な人だ」
尾崎が克巳の身体を撫でながら首や鎖骨、あちこちにキスしながら舌を這わせ、そして肌を吸い上げていく。
「…そんな事俺に言うのは尾崎だけかもだけど?」
「そんな事はないですよ」
尾崎は泣きそうな感じに顔を歪めた。
「………あるよ。俺の全部をそのまま受け止めて受け入れてくれたのは尾崎が初めてだ」
そっと尾崎の髪を撫で、そして髪をかき混ぜた。
「前髪下ろしてるとこ好きだ」
尾崎のセットした髪を乱れさせ額に前髪がかかると満足感を覚える。いつも隙がないような尾崎を好きにできるのは自分だけ。
そう思いたい。
「そう…?」
「ああ。びしっとして胡散臭いのもいいけど」
「………結構克巳は俺の事好きなんですね?」
「結構どこじゃないけど?女とただ会っていただけでもおかしくなりそうだった」
小さく呟いて尾崎の首に抱きついた。
「克巳…どうしたらいい?知れば知るほど離したくなくなる」
「…離さなければ?」
くくっと尾崎が肩を揺らして笑い出す。
「いいの?狂気じみてきそうなんだけど?」
「別に構わない」
「せっかく自分を押さえ込んで眠らせているのに」
「俺にだけ向けるならな。隠す必要なんてない」
「……大事にしたいのに」
「俺は女じゃない」
はぁと尾崎が大きく溜息を吐き出した。
「…本当にどうしたらいいかな…」
尾崎が困ったような声を絞り出した。
「何が?」
「俺が一人をこんなに欲しいと思った事ないんですけど?」
「………もっと他にも欲しいと思うのか?」
尾崎が目を見開き克巳を凝視して、そして数秒見つめあった後声を出して笑い始めた。
「いらないです。克巳だけでいい」
「だったらいいだろう?」
「いいんだ…?」
尾崎が止まっていた愛撫を再開する。
「いい…」
尾崎の手の動きとキスに合わせて克巳の息遣いも熱いものに変わっていく。
尾崎の手がもう勃ちあがっていた克巳に触れた。
「俺に触られているだけで気持ちいい…?」
「…ん……っ」
尾崎のキスが首筋をおりて胸の尖っている小さな主張を啄ばんだ。舌で転がされ吸われ、飾り物でしかないと思っていたそんな所でさえも身体が敏感に反応して火照ってくる。
何を尾崎は不安なのだろうか?
馬鹿だな、と克巳はくすりと笑ってしまった。
「うん?克巳?」
「…なんでもない」
「……俺がこんなに余裕ないのに克巳は余裕みたいですね」
「そうじゃないけど…」
なにしろ誰かとこんな事をするのなんて尾崎が初めてでまだ二回目だ、その前のを合わせても三回目。余裕なんてあるはずがない。余裕がないような尾崎を見るのが楽しいんだ。いつもの尾崎がいない事が嬉しいと思う。
「尾崎が余裕ないのを見られるのが嬉しいから…」
克巳が尾崎の耳元に小さく囁くと尾崎の腕が克巳の背中に回ってきてぎゅっと抱きしめられた。
「煽るの天才ですね」
「ば…っ……何言って…」
「克巳が可愛い事ばっかり言うから」
尾崎がぐりぐりと腰を押し付けてくる。そこがもうすっかり臨戦態勢になっているのは服の上からも分かる。硬くなったものを克巳のものに押し付けて腰を揺らされれば克巳のもますます屹立がきつくなってしまう。
「克巳ももうすっかり勃っているしね」
…当たり前だ。
「アンタも脱げ」
自分だけがシャワー上がりでマッパだ。恥ずかしいのでつい言葉がぞんざいになるけれど尾崎は気にした風もなくいそいそと自分の服を脱ぎ始めた。
「…これでいい?」
「…ん」
わざわざ確認しなともいいのに。
「…俺もシャワーした方いいのかな?臭い?」
「アンタはいい、よ」
尾崎の匂いがするのは別にいい。自分はされる方だから気になっただけだ。
「俺だって克巳の匂いした方いいのに…。ああ、でもボディソープの香りとかシャンプーの香りもいいな」
「……尾崎の使ってるんだから匂いなんて一緒だろ」
「ちょっと違いますよ?克巳のほうが甘い香りがする」
「そんなわけあるか」
照れくさい。
尾崎が軽いキスを繰り返しながら囁く言葉こそ甘い、と克巳は思う。
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