結局またそこから尾崎にめちゃくちゃにされた。
すぐにイってしまったのが許せなかったらしい。克巳の身体も自分の吐き出したもので汚れ、ベッドも汗や体液でぐちゃぐちゃになった。
落ちそうになりながらもう許してと懇願しやっと解放された。
乱暴なわけじゃなくてよすぎるからわけがわからなくなるんだ。
もう指先一つ動かすのも億劫になった身体は尾崎に抱き上げられ風呂場に連れて行かれて綺麗にしてくれ、尾崎は甲斐甲斐しく克巳の世話を焼く。
「ちょっと待ってて。シーツ交換してくるから」
克巳をリビングに置いて尾崎が寝室に消えた。
「はぁ…」
身体がだるい。
けれど甘いだるさだ、とも思う。いつも飄々としている尾崎が熱く克巳を飢えたように何度も貪り、身体の中を満たしていくようだ。
克巳もまた愛情に飢えているからかそれ位でいいのかもしれない。
「…身体はだるいけど」
小さく呟き、起きていられない身体をずるずると横にした。
ピリピリと寝室から携帯の着信音が聞こえた。自分のじゃないから尾崎のだろう。
「え!…ああ、ちょっと待って。克巳!テレビ」
尾崎が寝室から声を上げて克巳はだるい腕をリモコンを手にテレビをつけた。
「あ!」
そして尾崎も電話を持ったままリビングに来る。
「分かった。待機しとく」
じゃ、と尾崎が電話を切り、テレビに視線を向ける。克巳も食い入るように見た。
どこも特別報道番組になっていて、そこにはバスジャックされた映像が流れていた。
LIVEとなっているので今まさに起きている事件らしい。
「尾崎!」
「犯人が何人かも全然分かっていないようです。バスに乗っている人数も確認中らしい」
場所はどこか…。
何処かの駐車場に停まっている大型バスらしい。カーテンも引かれて中の状況も犯人も何もかもが全然まだ分からない状況らしい。
食い入るように尾崎と一緒にニュースを見た。
「警察は?」
「初動はもう出てる」
尾崎が短く答えた。
「俺は部署が違いますし今の所待機でいいらしいが…犯人の人数も凶器も何も分かっていないらしい」
こういう時に克巳の力が役立てばいいのに!
なんでカードが見えてこういう物を見透かす能力はないのだろうか。
見えろ、と思いながらテレビを凝視していた。
「………あ…あ、の…尾崎…」
「なんです?」
克巳は自分でも動揺した。
「…見える」
「はい?」
尾崎がテレビから目を離して克巳を見た。
「何が?」
「透けて…見える…」
「え?………バスの中?」
「いや…。テレビ」
「……はい?」
尾崎がきょとんとした。
「尾崎!連れてけ!」
克巳は尾崎の体に圧し掛かるように抱きついた。
場所は都内でそう離れていない。
「これは映像だから中が見えないけど」
尾崎がはっとしたように気付いた。
「テレビ本体の中が透けて見えるって事ですか?」
「そう。だから…バス本体が見えたら…」
「中が見える?」
克巳が小さく頷いた。
「行きますよ」
尾崎は携帯を手にして克巳のバッグから克巳の着替えを取り出し克巳に着せていく。
「いい、自分で着替えるから…尾崎も着替え」
身体は今終わったばかりの情事で疲弊していたがそれどころではない。
「分かりました。…あ、本部長今ですね…」
尾崎が電話をかけた先は光流くんのお父さんらしい。
尾崎が寝室に行って着替えをしながら克巳の説明をしているらしい。
「克巳、着替え終わった?」
「ん」
電話も着替えも終えて尾崎が戻くると聞いて来た言葉に克巳が固い表情で頷くと尾崎が克巳を肩に抱え上げた。
「ちょ…」
「暴れない。身体重いでしょ?…しまったな…こんな事になるなら自制しとくんだった…」
尾崎が反省を見せながら呟き、部屋の電気を消してドアに施錠しそのまま克巳を抱えたまま車に向かう。
「アンタ…今誰かに見られたら犯罪かと思われるよ?」
「確かにね」
くっと笑いながら克巳を車の助手席に丁寧に下ろしてくれる。
「行きますよ。熊谷さんも現場まで来るよう手配するそうです。俺はとりあえず丸腰だけど克巳の護衛だけって事でいいらしいのでこのまま向かいます」
「…ん」
見ようと意識しなければ今まで通り普通の光景にしか見えないけれど、目を意識すれば隣を走る車の中まで透けて見えるらしい。
今までこんな事意識した事もなかったから気づかなかったのか?
それとも自在に力を使えるのか。自分でも分からないが、今はそんな事よりも現場を見るのが最重要だ。
固い表情でハンドルを握る尾崎を克巳も強張った表情でじっと見つめた。
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