朝目覚めて隣に明羅の顔。目が閉じられているのに寝かせてやりたい気持ちとイタズラしたい気持ちがせめぎあってイタズラの方に傾いた。
さわりと抱き寄せた明羅の身体の背中から指で背骨を辿り、目を閉じてすぅすぅと眠ってる明羅の唇を啄ばんだ。
「ん……?…怜さ、ん……?」
ぎゅっと明羅が身を寄せてくるのにやっぱりイタズラ心がさらにむくむくと起き上がってくる。
まだ半分寝ぼけているだろうに、明羅は口腔に差し込んだ怜の舌にたどたどしく応えようとするのにさらに怜は我慢出来なくなって貪るように舌を絡めた。
手は明羅の肌をつたってさらに後孔に指を差し込もうとした時だった。
電話が鳴った。
電子音が鳴り響く。
「怜さん…電話、鳴ってる…」
「………分かってる」
明羅が目を擦りながら言うので仕方なしに携帯を手に取れば宗だった。
はぁ、と思い切り溜息が漏れるとくすくすと明羅が笑った。
「宗?」
「……ああ…」
仕方なしに電話に出る。
『もしもし!瑞希が熱あるみたいなんだけど!』
前置きもなしに宗が慌てたように話始めた。
「ああ~~?……宗、なんだってお前は土曜になると煩いんだ?」
『いいから起きろ!瑞希が熱!』
「寝てりゃ治るだろ」
『……瑞希の携帯から桐生にかけるぞ?そしたらきっと桐生はこっちにすぐきてくれるよな?』
どうしたの?と明羅の目が怜を見ていた。明羅は宗の相手、宇多くんがお気に入りらしいので間違いなく行くだろう。
「……熱何度?」
『知らねぇ。体温計なんてないから』
はぁ、とまた嘆息が出る。
宗は小さい頃はよく風邪ひいてたのに小学校入ってからは全然風邪などひかなくなって自分で対処が分からないらしい。
「とりあえずドラッグストア行って体温計、ヒエピタ、スポーツ飲料水、おかゆ、解熱剤、あとなんだ…?ま、いっか?それ買って来い。そしたらまた電話よこせ」
怜はそれだけ言ってぶつっと電話を切った。
「どしたの?」
「宇多くんが熱出してるらしい」
「え?大丈夫かな…?宗、無理させてんじゃないの~~~?」
「どうだか。あっちはいいから…明羅」
怜が明羅を組みしいて身体の上に乗る。
「れ、怜さ、ん…?昨日…、もしたよ…?」
「……足らないな」
怜が明羅の頬を手で挟んで口付ければすぐに明羅もそれに応える。
「なんだ…明羅だっていい、って言ってるだろ」
怜の手が明羅の起ち上がってきたものに触れる。
「そん、な……だって…怜さんが…」
敏感になった明羅の身体はすぐに反応するようになって明羅は真っ赤になっている。
それがまた可愛くてつい意地悪を言いたくなる。
「ん?そうか…明羅はいらないのか…」
「そ、んな事……言って、ない…」
明羅の声が小さくなっていく。
「んん?じゃ欲しいの?欲しくないの?…明羅のいいようにしてあげるけど?」
「……意地悪っ」
くくっと笑って真っ赤になっている明羅の首筋に唇を這わせた。
後ろだけでも感じるようになって明羅も官能に身を任せられるようになり、いつまで経っても飽きる事なんかなくて、よすぎるのに困ってしまう位だ。
宗に電話をよこせ、といったことはすっかり頭から抜けていた。
明羅の後ろに指を這わせ、明羅が甘い息を吐き出し、さぁ、と思ったらまた電話が鳴った。明羅が目を潤ませながらも電話を指差す。
『8度5分だった!』
明羅の上に乗ったまま仕方なしに出たら宗の声。
「……ああ、それ以上熱上がるなら病院連れてけ。とりあえず薬はのませない方がいいな。ヒエピタ、額と脇の下、首に貼ってやれ。あと水分とるように。おかゆレトルトの買ってきたな?食えそうなら食わせろ。……熱以外は?発疹出てるとかないか?」
少しの間。
『ない』
「なら少し様子見ろ。さらにぐったりとか熱上がったりしたら病院だ。熱下がって食欲あるようなら心配ないだろ」
『…分かった。サンキュ』
「おう。…お大事に」
くくっと怜は笑って電話を切ると心置きなく明羅の身体に自分を埋めた。
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