涙は少しして止まったが人の前で泣いてしまったという事が途轍もなく恥ずかしい事に思えて尾崎からなかなか離れられない。
離れたくない、という事もあったし離すタイミングが分からないという事でもあったが…。
「落ち着いた?」
尾崎が静かに声をかけてきて克巳はそっと尾崎から離れようとしたら尾崎が子供を抱くように克巳を抱き上げた。
「ちょっ」
視界が急に高くなって驚き尾崎の首にまたしがみついた。
「風呂行きましょう」
行きましょうって…。
「や…一人で…」
「ダメ」
有無を言わさず尾崎に却下される。
「キミの事許したわけじゃないですけど?まだ怒ってます」
「………」
尾崎の固い声に克巳がびくりと体を竦ませおとなしくなる。
「お仕置きだって言ったでしょう?どれだけ心配したと思ってるんです…?全然分かってない」
だって…。
言い訳したかったけれど尾崎の雰囲気はそれを許してくれなさそうにピリピリしていた。
いつも飄々としている尾崎がそういえばずっと感情を露わにしている?
洗面所に連れて行かれると克巳の服をぽいぽいと服を脱がされてバスタブに押し込まれ、パンツ一丁だった尾崎もすぐにシャワーを出しながらカーテンを引きバスタブに一緒に入った。
お湯は溜めてなく、そのまま尾崎は克巳の頭からシャワーをかけシャンプーしていく。
「自分、で…」
「おとなしくしてなさい」
尾崎にぴしゃりと言われ克巳は黙って尾崎にされるがままにした。
まるで本当に子供になったように尾崎が克巳の髪を洗い、今度は体も洗っていく。
ここでも恥ずかしいから自分ですると言っても跳ねつけられそうだと克巳は黙って耐える事にした。
なんといっても尾崎に言っていなかった事が後ろめたく、そして来てくれた事が嬉しくて言いなりになってしまう。
でも身体を撫でられボディソープで際どいところまで尾崎の手に触れられれば変な声が漏れそうだ。
口を手で押さえて我慢しようと思っても手に感じてしまった身体は正直でむくりと中心が反応してしまう。
「やっ…」
恥ずかしい、と訴えたかった。
「別に恥かしがらなくていいでしょう?克巳の体は全部知ってます」
…そうだけど…。
「俺だって今すぐ克巳を滅茶苦茶にしたいの我慢してるんですから恥ずかしい位我慢して」
尾崎の口調がやっぱり少しきつい。
自分が尾崎に何も言わなかったからだろうけど…。怒っていると言ってたし…。
尾崎は屹立を隠そうともせずに主張をさせたまま克巳の世話を焼いている。
「部屋は広くていいですが、風呂場が狭いな…。ここじゃ何も出来ない」
尾崎が不満そうに呟く。
克巳の体を泡だらけにしていく尾崎だが、前がパンパンになってすでに天を向いている。
…触ったほういい…?
そっと克巳が手を伸ばして尾崎の大きくそそり立ったものに触れると尾崎がびくりと身体をびくつかせたが何も言ってこない。
触ってもいいんだ…?
そっと触れるだけだった手を少しずつ大胆なものに変えていく。
「何?キミもして欲しい?」
…だって…そういえばずっとあの事件以降してなかった。だからといって頷くの憚れ、どうしようと悩むんでいると尾崎が小さく息を吐き出す。
「ここじゃのぼせちゃいますからやめときます。克巳は上がってちょっと待ってて。俺もあとすぐに上がりますから。バスタオルその辺にあるでしょ?」
尾崎が克巳の体をシャワーで流すと抱き上げて湯船から克巳を出してしまう。
「服は着ないでバスローブ羽織っててください」
…口調が戻って来た…?でもそういえばここに来てからも尾崎はキスしてくれてない。
克巳はまた閉じられたバスカーテンの向こうのシャワーの音を聞きながらのろのろとバスタオルで身体を拭きバスローブを着た。
「あの…あっち…いってる」
「何か飲み物でも飲んでて。…ああ、そういえば夕ご飯まだですね。ルームサービスでも頼みましょう。メニュー見てて」
あ…そういえば昨日から全然食べていないんだった、と思い出し、そして尾崎がいると思って安心したのか急におなかがすいてきた。
尾崎に言われた通りに冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出して喉を潤せば身体に染み渡っていくようだ。
「克巳、顔色はまだ戻ってない。具合悪い?」
「…え?」
バスタオルを腰に巻いて尾崎が上がってきた。
「あ、いや…多分…腹減ってるだけ…だと思う。昨日から…」
「食べてない!?」
小さく克巳が頷くと尾崎が頭を抱え込んだ。
もう尾崎の眼鏡は通常通り銀縁に戻っていて、いつも通りの尾崎に克巳はほっとした。
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