時間をかけて夕食を終えると尾崎はキャスターのついたテーブルを廊下に出した。
克巳もお腹が膨れてやっとどうにか落ち着いた感じになりほっとするが、相変わらず尾崎のバスローブ姿にはちょっと目に悪いかも、とも思う。
どうにも尾崎から色気が垂れ流しのような気さえしてくる。
合わせ目からは厚い胸板が見えるししっとりとしている髪も克巳を刺激しているような気がする。
「…キミにきちんと確認してませんでしたけど、何もされていませんね?昨日も」
「……ないよ。ちょっと手とか触られただけだ」
今日触ったのは尾崎だから何も問題はないが。
「…副警視総監と議員の大垣ですね」
それは疑問形じゃなくて確認で、克巳は小さく頷いた。
「………俺は頼りにならないんですね」
「違う!…守りたかった…だけだ」
ソファに少し離れて隣に座っていた尾崎が克巳ににじり寄ると克巳の体をひょいと抱き上げて向かい合わせに膝に跨がされて乗せられた。
「尾崎っ」
バスローブの前がはだけそうになって慌てて前を押さえる。
「俺しかいないんだから見えたって別にいいでしょう?」
…そうだけど…何となくやっぱり恥ずかしいだろう。
「………あの…?尾崎…?」
尾崎の前がすでに膨らんでいるのに気づいた。
「ん?…ああ…」
顔が赤くなっているだろう克巳が何を言いたいのかに気付いた尾崎がくすりと笑みを浮べる。
「ずっと我慢してるんですけど?キミを襲いたいのに。食事はしてないって言うしね。自分を必死に抑えてるとこなんですけど?」
けど?と言われても…。
どうしたらいいのか…。
克巳だって朝してほしかったのに…。
「朝だって時間なくて…せいぜいこんな事する時間しかなくて」
尾崎が克巳のバスローブの合わせから手を身体に忍び込ませ、さらりと克巳の肌を撫でた。
「…んっ」
それだけで思わず声が出てしまって慌てて克巳は口を押さえた。
「…してほしかった?」
「……別に」
思わず悪態をついてしまうがそんなの嘘だとすぐに分かってしまう態度になっているはず。
「素直じゃないな…」
尾崎だってそれを分かっているのだろう。余裕の笑みを浮べられればかえって恥ずかしい気がする。
「っ!」
尾崎が息を飲んだ。
克巳がそっとバスローブの上から尾崎のものに触れたのだ。余裕の尾崎に克巳はちょっとした意趣返しの意味を含めたのだ。
「…誘ってくるなんて成長しましたね?」
「そ、そんなんじゃ……ぁ…」
尾崎が克巳の後ろ頭を押さえて荒々しくキスしてきた。
性急に舌を口腔に差し込むと貪られるように舌を吸い上げられる。
「んっ…んぅ…」
食べられてしまうんじゃないかと思う位の尾崎は口を開け克巳の唇全部を包み、舌を口腔の奥まで突っ込んでくる。
「ん…ふ…ぅ…」
身体が無意識に逃げようとして仰け反りそうになるけれど、尾崎の片腕がしっかりと克巳の腰を支えてそれを許してくれない。
息継ぎも出来ない位深くまで舌が絡められる。
「んはぁっ…」
克巳がやっと尾崎の唇を離し、苦しくなっていた息を整えようと荒く呼吸を繰り返していると尾崎が克巳の体を抱き上げた。
「煽ったのはキミですから責任取りなさい。我慢してると言ったのに。話は後です」
尾崎は克巳をベッドに投げ出すように少し荒っぽく放り、そして圧し掛かって来るとまたも荒々しくキスを貪り始めた。
「お、ざ…」
声を出すのも許されないように口を覆われる。
そしてバスローブの結んでた紐を解かれ脱がされると、尾崎は自分の紐も解き、キスしながら脱ぎ捨てる。
筋肉に包まれた均整のとれた大人の男の体が露わになって克巳の細い身体をかき抱いた。
さっきまで余裕に見えていた尾崎が今はどこにも余裕がないように見える。
うっすら目を開ければ尾崎の目には肉欲が浮かび、ただ獣のように克巳を求めていた。
…怖い…。でもそれでいい…。
優しいだけじゃなくていいんだ。
克巳は自分から尾崎の首に腕を回し、そして自分からも深い口付けを願うと尾崎はさらに克巳の口腔を蹂躙する。
言葉もなくただキスの交わる湿った水音と洗い息遣いだけが部屋に響いていた。
もっと…滅茶苦茶にして…。
克巳は自分から腰を尾崎に押し付け揺らした。
「…やらしい」
尾崎がてらてらと濡れた唇を震わせ言葉を漏らした。それにさえ克巳の身体は官能に震えてしまった。
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