このまま全部何もかもを忘れられればいいのに…。
理性の残っている頭の片隅で克巳はキスを貪りながら思ってしまう。
全部交じり合って溶けてしまえばいいのに。
そうしたら余計な事も煩わしい事も考えなくて済むのに。
「尾崎…」
「違うでしょう?」
「…祐介」
正解と言わんばかりに尾崎が何度もキスする。
そして腰を克巳の勃ってる中心に自分のモノを擦りつけながら腰を揺らしている。
「そ…じゃな、くて…っ」
「ん?後ろに挿れて欲しいって…?」
尾崎は余裕を取り戻したのか克巳をからかう口調だ。でもに目はまだ余裕の光りはなくて貪欲な欲が浮かんで見える。
擦り合わされたところからもくちゅりと水音が聞こえている。すでに克巳のそこは張り詰めていてとろとろと蕩けだしている。
「やらしいですね」
「う、るさ…い」
素直じゃない口は強がりな言葉を発してしまう。
脱いだバスローブが床に転がり、広いベッドには裸体が重なっているだけ。
いつもよりも官能の色を強く感じてしまうのはここがホテルだからなのか、それとも尾崎が助けに来てくれたからなのか。
でもそんなのどうでもいい。欲しい、と思っているのは本当だった。
「あっ…」
尾崎の手が克巳の零している雫を掬うと後ろに指を這わせてきた。
指を入れられる、と思ったのに中々尾崎はそうしてはこず、ただ入り口辺りを撫でるだけ。
「んんっ…」
早く、と促すように腰を揺らすと尾崎が意地悪そうな顔で口角を緩めた。
「なんです?腰揺らして」
むっと克巳が眉を顰める。
「お仕置きだと言ったでしょう?随分とひくついて誘ってますけど」
ふいと尾崎から顔を背けた。自分でも分かっている。欲しいと…思ってるんだ。
「こんな…したの…アンタなんだから…責任取れよ」
「勿論そのつもりですけどね」
尾崎が克巳の耳にキスしながら囁けばそれだけでぞくぞくと感じてしまう。
「身体震わせて…感じてるんだ?」
いちいち確認するな!と尾崎を睨むけれど威力はないだろう。いつでも克巳は翻弄されるばかりだ。
「可愛くして、とねだってください」
尾崎が耳朶を食みながら囁く。くそ、と思いながらも克巳は小さく口を開いた。
「…し、て…」
「何を?」
意地悪い!
「ゆ、び…」
早く中をいっぱいにしてほしい。
「あ、ぁ…」
尾崎の指が克巳の狭い入り口から中に入ってくる。
「……中が熱い。それに…きゅっと締まって…待ってたんですね…?朝も足りなさそうだったし」
「だからっ!…責任取れってっ」
「勿論。いっぱい中を衝いてあげますとも。もういいって位にね」
尾崎の声が色を孕んで耳を擽る。それだけでもびくびくと身体が反応してしまいそうだ。
なんでこんな身体になってしまったのか…。
男にされるのを待っているなんて。でもそれは尾崎限定なのも確かだ。昨日は手を触られただけでも悪寒がしたのだから。
「いいからっ…はや、く…あ、はぁ…ぅ…」
くっと尾崎の指が克巳の中まで入ってきて体が跳ねる。足を割られ、尾崎の身体が克巳の身体に圧し掛かり、首や鎖骨にまたキスを落としながらきゅっと肌を吸われている。
「こんなにやらしい痕いっぱいつけて」
「アンタだろっ」
「勿論。俺以外のだったら許してませんから」
尾崎の声が低く響く。
「俺だけにだったらいくらでもやらしくなっていい」
「尾崎にだけ、…だ…」
だから責任取れって言ってるのに。
尾崎の雰囲気がいつもと違う。ずっと今日は店にきてからもホテルに来てからもあからさまに感情が出ている。いつも隠されている尾崎の激情が見え隠れしているんだ。
「くそ…!本当にキミは分かっているのか?俺は必死に抑えてるのに」
「抑えなくていい!俺はそんなの望んじゃいないっ」
助けに来てくれた尾崎を信じていないわけじゃない。言葉だってそうだ。でもいつも自分を隠しているのがどこか遠慮されているようで壁を感じていた。
それが今はあまり感じない。何言われたってされたっていいんだ。
「尾崎…」
克巳は尾崎の顔を引き寄せ自分から唇を重ねた。
「いいから…早く。んん…ぁ…ああ、んっ」
尾崎が指で中をかきまわす。
「傷つけたいわけじゃないっ」
「傷なんかつかない」
「…しりませんよっ!?」
尾崎が切羽詰った顔で後ろに熱い屹立を宛がってくると中に入ってきた。
「あ、あああっ…!」
痛みが走る。でもだからこそ尾崎を感じられる。
「克巳っ」
「いい、から…」
顔を歪めた克巳に尾崎が声をあげたが克巳は小さく顔を顰めながら首を横に振った。
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