このままもっとしたいけど、と言いながらも尾崎は行為をやめてもう一度風呂場に連れて行かれ身体を綺麗にしてもらい、それ以上もなくベッドにもう一度逆戻りする。
「…痛くない?」
「…ちょっとね。でも平気だ」
尾崎が可哀相なくらいに気を遣ってくる。
平気だ、というのに。
このまま今日はもう終わり?と尾崎の顔を見れば尾崎が苦笑を浮べた。
「本当は朝までぐちゃぐちゃにしたいとこなんですけど、克巳の負担が大きくなるし、それだとベッドも使い物にならなくなりそうだし、克巳はちゃんと休んだ方がいいからね。それと話も出来なくなくなる」
「…別にいいのに」
「キミね…」
はぁと尾崎が頭を抱えた。
いいけど、確かにちょっと無茶した身体は後ろが腫れている気がする。
「傷はついてないけど。…俺はキミを傷つけたいわけじゃないのに。大事に大事にしたいのに…。…キミは乱暴にされる方がいいの?」
「そうじゃないけど…。別に尾崎だったらいいわけで」
「そういう殺し文句はまた今度!今日はストップさせといて。おかげで箍が外れたどころか粉々に砕け散った気分ですよ…」
克巳をベッドに寝せて尾崎は克巳の髪を梳きながらまた溜息を吐き出し頭を項垂れる。
そして顔を上げると長い前髪をかき上げた。少し乱れる髪に男の色気ってこれかな、と観察してしまう。
「何?」
「いや…かっこいいなと思っただけ」
「…あのね…。一体俺をどうしたんですか?」
「どう…って…別に思った事言っただけだけど」
「……俺がやり込められる事になるとは思ってもみなかったな…」
尾崎の手が優しく克巳の頭を撫でているのはずっとで、それが気持ちいい。
「昨日克巳のお父さんに呼び出しくいました」
「え!?なんで!?」
「勿論克巳の事で。ただこっちもちょうど聞きたい事があったのでよかったんですが」
「聞きたい事?」
「そう。今日もいたキミの親戚の」
「……ああ…。でも何の事で?」
「何の事って…。キミね、自分がどんな目に合ってると思って!?」
「あ…ああ…ん…そっか」
「そっか、じゃないですよ。贈収賄疑惑、人身売買、クスリ、色々手を出してます。しかも素人がなりふり構わずっていった具合でね…ヤクザのシマも何もあったもんじゃなくて」
「…そうなんだ」
「そう。で、ちょうど昨日お父さんの所に行ってて、ああ、議員庁舎のほうですけど、丁度そこにメール来て、接触ありかもって同僚から送られて来た写真がキミでしたからね…」
はぁと尾崎が溜息を吐き出している。
「どれだけ焦ったと思ってるんですか。そのあと無事に電車に乗って帰ったって報告来て、後は自分に任せて欲しいって同僚に言いくるめましたけど」
じゃあ昨日から克巳が悩んでいたのはまるきり無駄だったって事か?
「すぐにキミから相談されるかと思いきや一言もなしですからね」
「………ごめん」
そこは素直に謝るしかない。
「尾崎の事も知られてて…一言でも言ったら警察辞めさせるって」
「……そこは分かりました」
尾崎が苦々しそうな口調で頷いた。
「でももし今後そんな脅しや何かがあったとしても必ず言うように。いいですね?克巳より大事な事は何一つ俺にはない」
「………なんで…尾崎はそんなに…?俺なんかを」
「なんかじゃないです。…なんで…でしょうね?俺にもわかりませんけど…。はじめは前も言いましたけど綺麗な子だな位で…ああ…俺に八つ当たりした時には可愛いなと思ったけど…」
八つ当たり?
「そこからはもう雪だるま方式に可愛いが加算されていきましたね。家に帰りたくないとかも少しの我儘が可愛くて、無防備に寝られたらそりゃもうね…ころっと」
「………ころっとって…そんな簡単に…大体男なのに…しかもアンタの義理のお母さんの息子なのに」
「そんなの他人でしょう。男の子も…まぁ問題なかったかな。こんな風に人を可愛いとか思える自分がいたのに驚いたけど。だから認めるのは簡単でした。ちょっとした強がりとか意地とかもね全部可愛くて…今も雪だるま形式がますます増えていってる状態なんですけどどうしましょうかね」
「どう…しましょうって…言われても…」
「おかげで自分が抑えられない位暴走しちゃうし…。独占欲まで膨らんでいくし」
「それは…いいけど」
「いいんだ?」
尾崎が目を見開く。
「いいに決まってる…。そんなの…俺なんかに思うのは尾崎だけだろうだから…」
「……だから可愛いって言ってるのに」
尾崎が横になっている克巳の唇を指でなぞった。
「キスしたいけどまたスイッチ入りそうなので我慢しときます」
そう言って尾崎は苦笑を漏らした。
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