尾崎からもう一度電話があって、やはり帰られない事と何もないかと確認の電話が入ったのは夜ももう遅い時間だった。
克巳はただぼんやりと一日を過ごし、克巳がしたのは少し課題の残りをやっつけた位だった。
痛い、というほどでもないが鈍痛がまだあったのでごろごろするしかない。
やっぱりいいと言ったもののこんなだるさががしょっちゅうあるようじゃダメか、とも思いなおした。
尾崎との旅行の予定に近づいてきている。
そこまでにかかりはしないし、ここ2、3日中に終わらせますと尾崎は言っていたがうまくいくのだろうか?
何もする事のない克巳は待つしかない。
日が明ければ身体は楽になっていてほっとした。
夜も早めに眠ってしまったおかげで普通に学校がある時と同じような時間帯に目覚めて朝ごはんを食べたあと自室に戻ったら電話が鳴った。尾崎は電話もまめにかけてくんだとくすりと笑みを浮かべて電話に出た。
「おはよう」
『おはよう。よく寝られた?』
「まぁ。尾崎は?寝てないのか?」
『仮眠位ね。ちょっと色々やる事あって。ところでもしかしたら例の親戚から今日連絡入るかもしれません。こっちの動きを知られたらしくて。ああ、俺の動きじゃないんで俺の事は大丈夫ですよ?』
「…本当に?…動いてるの尾崎だけじゃない?」
『大掛かりな大捕り物になってますからね。俺は別行動なんで』
「…そうなのか?」
『じゃないと肝心の時に動けないですから。上はちゃんと分かってるんで大丈夫。そんなわけでもし連絡があったらすぐに入れてください』
「…分かった」
克巳が頷くと尾崎の携帯はすぐ切れた。どうやら忙しいらしい。
電話…くるのだろうか…?
まだ午前中でさすがにこんな朝から連絡が来る事はないかと思いつつもどうも落ち着かない気がする。
克巳がそわそわしても仕方ない。課題でも終わらせようと真面目に机に向かう事にした。
友達もなく、バイトと簡単に言っていいのか分からない警察への協力もそんなに日数を潰されるわけでもないし、課題といっても簡単なものなので急ぐ事もないのだが…何かをしていたほうが気が紛れるだけだ。
やる事もなくなり本を手に取るとごろりとベッドに横になった。
何も問題がなければ唯くんにでも電話してみるところだがさすがに今電話を塞ぐのは得策じゃないだろうと思って諦める。
本当に雅彦から連絡が入るのだろうか?そしてどうなるのだろう…?克巳には予想もつかない事だった。警察の動きも知らないし尾崎がどんな事をしているのかも分からない。
いちいち全部が知りたいとかそんな事は思わないけれどせめて対等になれればとは思う。
「克巳さん、今雅彦さんからお電話があって今から迎えにいらっしゃると。何か慌てておいででしたけど」
「雅彦が?」
迎え?
家政婦が克巳の部屋をノックしながらそう告げてきて克巳はすぐに尾崎に電話した。
『もしもし』
「尾崎、なんか今雅彦が迎えに来るって連絡家の方にきたらしい」
『携帯離さないで、できれば断って…。もうすぐ令状出る所なんです』
あ、それで焦っているのか…?
「俺いない事にして!」
家政婦に慌てて追いかけてそう言うと家政婦が怪訝そうな顔になった。
「何か問題ですか?…分かりました」
『とにかく今すぐ向かいます。時間稼ぎして!一応佐竹に尾行はついてるはずなんだけど…』
尾崎が苛立った強い口調だ。
「分かった」
ところが雅彦は近くから電話してきたのかすぐにインターホンがなって画面に門扉の所に立つ雅彦の姿がインターホンの画像に映し出された。
『克巳!いるんだろう!出て来い!来ないとここである事ない事全部ぶちまけるぞ!いいのか!?』
閑静な住宅街だが敷地は広い。だからといっても隣家がないわけではないのだ。
克巳の事だけだったら別にいいが、父親にまで迷惑はかかってしまう。雅彦が何をぶちまけるつもりか知らないけれど、力の事も男の恋人の存在も公にはして欲しくないのが実情だ。自分は別にいい。でもそんな事知られたら父親も尾崎にも迷惑になる。見向きされなければそれでいいが、もし誰か記者が興味を持ったら…?
『克巳!出なくていいです!』
まだ繋がっていた電話から尾崎の声が響いていた。
「出るよ」
『克巳!ダメだ!言う事を聞きなさい!』
尾崎が大きな声を張り上げていた。
「騒がないでくれる?迷惑だから」
インターホンから雅彦に話しかけると雅彦はにたりと笑いを浮かべた。
『克巳?出ておいで?』
猫なで声で雅彦がインターホンから笑いかけてきた。
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